第19話「デブ氏、突然のハーレムに困惑す」
あまり彼女達を長い間二人きりにするのはまずいと思い、俺は急いで冒険者ギルドへと向かった。
「はあ、はあ……」
幸い近くからのスタートだったので、何とかすぐにギルドへと到着できた。
王都では吟遊詩人やベアードにズタボロにされたし、ギルドには正直いい思い出がない。が、今はそうも言っていられない。
お決まりの西部劇ドアをくぐり、俺はそこに突入した。
(……うっ)
むわっとした熱気が、肌をぬるりと一度這って行った。
まだ朝早い午前中とあって、ギルド内はかなりの人でごった返していた。この時間は初級冒険者達がこぞって仕事の奪い合いをするので、トラブルに巻き込まれる可能性も高そうだ。何もなければいいんだが……。
と、不安になりながらギルド内を見渡していたら、二人を見つけた。
お嬢様が興味深そうに周りを見つつ歩いているのを、少し距離をおいてエレナが見守っている。よかった。どうやらフラグ回収はなかったようだ。
「あれ、タツキ?」
早速合流しようとしたその時、ふいに横から名前を呼ばれる。
その聞き慣れたソプラノの声に振り返ると、そこには嬉しい顔が。
「何でギルドにいるの~? もしかしてあの仕事クビになっちゃった?」
水色髪の涼やかベビーフェイス少女、俺にこの仕事を得るきっかけをくれた、彼女である。
「エクレア!」
「やあやあ。しばらく会わなくて心配だったんだけど、元気そうだね」
彼女はこの世界での俺の唯一の理解者だ。うんうんと頷く彼女を見て、俺は自然に笑みがこぼれてしまった。
「おかげさまでね。あれから何とかあの仕事にも入りこめたよ」
「ってことは、今日はその仕事の関係でここに?」
「まあ、そうだね。ほら、あそこにあのお嬢様が」
視線をそちらに送ると、
「あ、ほんとだ。よくこんなところまで連れ出せたね。あんまり外出たことないって聞いてたけど」
「そこはまあ……苦労したよね。マジで」
「へ~。じゃあほんとにちゃんと仕事してるんだ。よかったね~」
「エクレアが発破かけてくれたおかげだよ。ありがとう」
「あたしは何もしてないよ。君が頑張ったからでしょ~」
彼女はそう言って、まるで自分のことのように嬉しそうに笑った。
ほんといい子だよなあ。もうちょい歳が近かったら告白して異世界生活謳歌するところだ。
まあ十中八九フラれるだろうけどな!
「でもそっかあ。もしクビになってたら君と一緒に何か仕事できないかなと思って、いろいろ考えてたんだけどな~」
「え、そうなの?」
「うん。あ、よかったらちょうど見繕ってた仕事があるんだけど、今度どうかな? お嬢様の導師の仕事だってそんな毎日じゃないんでしょ?」
「あ~、まあ、そんなに大変じゃないやつなら……」
と、了承しようとして、そこで俺はハッとなった。
こんなにいい子に見えるエクレアだが、彼女には疑惑がある。実は彼女は俺と同じ初級冒険者などではなく、もっと上の上級冒険者なのではないか、という疑惑だ。
俺を利用しようとしてるんじゃないかと、そう言ったのはフージンだ。だから正直全く信じていなかったのだが、先日俺はこの街でその説を補強するような出来事に遭遇してしまっている。
「──な、何だこれ……」
蒼白な顔をしながらそう言ったのは、道具屋の若い店主だった。
お嬢様との今後にあたり、何とかこの呪われた指輪を外せないかとそこに持ち込んでみたのである。
彼はこの辺りでは割と有名な技師らしく、魔法の込められた道具に関しては右に出るものはいないという人物だった。
なのに、俺がこの指輪の鑑定からの解呪を頼んだ途端、
「む、無理だ……。こんな複雑な術式見たことない。一体誰がこんなものを……う、うーん」
「あなた!?」
「パパー!!」
と、こんな具合で、店主は知恵熱でも出してしまったのか、突然その場に倒れてしまった。
フージンの言っていたことは本当だった。どうやらこの指輪は、本当に大した代物であるらしい。
そうなると、フージンのエクレアに対する人物評も無視できなくなってくる。完全に口から出任せだったと断ずることはできなくなってしまった。
悲しいことだが、一応彼女のことも警戒しておかなければならない。
「……なに~? どうかした?」
「あ、いや。別に何でもないよ」
「ん~? もしかして報酬のこと気にしてる? それなら大丈夫だよ。もしうまくいかなくても、今回は最低補償付けちゃうから」
「最低補償?」
珍しい言葉が出たなと思わず聞き返すと、彼女は「うん、これ」と胸を張った。
「……どれ?」
「うん? これだよ。この首飾り」
見れば、ヒスイのような緑色の石を中心にした、少し無骨なデザインのネックレスだった。
実はさっきから少し気になっていた。エクレアみたいなかわいい系の女の子にはちょっと合わないなあと思っていたのだが、これが報酬ということなのだろうか。
「もし受けてくれるなら、前払いでこれをあげちゃうよ! 一見何の変哲もない首飾りだけど、魔法が込められた魔道具なんだ」
「へ~、どんな魔法が込められてるの?」
聞いてみると、エクレアはニヤリと笑い、得意そうに胸を張った。
「何とこれ、自分の残りの天命がどれぐらいあるかわかっちゃう首飾りなんだ!」
「ええ!? 天命がわかっちゃう!?」
何だそれめっちゃ欲しい。まさに今の俺にうってつけのアイテムじゃん。
でもいくらファンタジー風味の世界とは言え、そんなアイテムホントにあるんだろうか。
あとちょっとタイミングも良過ぎるな。まさか俺の天命のこと知ってる? 偶然にしてはちょっとでき過ぎているような気がする。
と、少し訝しげな視線を送ってしまうと、エクレアは頬をぷくっと膨らませて不満げな顔をこちらに向けた。
「む、その顔は信じてないな~?」
「あ、いや……」
「まああたしもちょっと怪しいなとは思うよ。これ安かったからあの指輪の解呪をしてもらった人から買ってみたんだけど、あたしが着けても何の反応もなかったし」
「え、じゃあそれ嘘じゃん。おもちゃ的なやつじゃん」
「どうだろねえ。あんまり変なもの売る人じゃないから大丈夫だとは思うけど。何か条件があるのかもしれないし、タツキが着けてみたら何か反応があるかもよ~?」
「え~そうかなあ……」
とは言いつつも、やはり捨て置くには早いかと俺はその首飾りを見た。
相当怪しくはあるが、もしこれが本当だったら俺にとって超絶至高のアイテムだ。ここで逃す手はない。
「まあせっかくだし、ちょっと着けてみようか」
と、手を差し出してみたが、しかし彼女は身を捩ってそれを拒否した。
「いやいや、それはダメでしょ~」
「え? 何で?」
「だってこれでもし何の反応もなかったら、タツキ、あたしとの仕事受けてくれないかもしれないじゃない」
「うっ!」
確かにそうだな。使えなさそうだったら普通に断るつもりだったわ。さすがにそこまで抜けてないか。
(ううむ。そうなると困ったな……)
ここで欲しいって言っちゃうと、何かやばいことやらされそうなんだよなあ……。
エクレアが仮に上級冒険者だった場合、わざわざ俺なんかに声を掛けて仕事に引っ張る理由がないのだ。
命と引き換えにしないと手に入らないアーティファクトのために捨て駒に使う気とか、そんなんじゃないよね? 大丈夫だよね?
「……ちなみに、エクレアの見繕った仕事ってどんなの?」
思い切って聞いてみる。すると「よくぞ聞いてくれました!」と、彼女は嬉しそうに手を叩いた。
「実はさ~、ちょっと大変そうではあるんだけど、結構おいしそうな感じの仕事があってさ」
「ほほう。と言うと?」
「簡単に言うと、捜索任務かな。この街の周辺を警らしてた騎士さん達が、定刻になっても帰ってこなかったんだって。できればその捜索隊を出したいんだけど、領主さんのところの人手が不足してて、難しいらしくて」
「で、冒険者に募集がかけられたと」
「そういうこと」
「ほほーん……」
領主ってことは、貴族相手の仕事になるってことだよな。うーん。それはちょっと怖いな……。
俺はすでに貴族の家でめちゃくちゃややこしいことに巻き込まれてる感があるので、依頼主が貴族というだけでちょっと及び腰になってしまう。
そもそもの依頼内容もかなりきな臭さを感じる。警らを任される騎士ってことはおそらくそこそこ戦える人達のはずだ。それが帰ってこないとなると、何かやばいことに巻き込まれたと考えるのが普通じゃないだろうか。
まあ何かの事故って線もゼロじゃないから何とも言えないが、少なくとも安請け合いできそうな案件でないのは確かだ。
「領主さんとか、貴族の人から直接ギルドに仕事が来ることってめったにないんだよね。かなり報酬がいいから、ここは一発当てたいな~って思ってさ。どうかな? ちょっとやってみない?」
エクレアはそう言ったが、正直俺の腰は重かった。いろいろわからないことが多い今、下手に動くのは得策ではない気がする。
とは言えこの首飾りは捨て置けない。とりあえずは貸し出しなりなんなりさせてもらって、いろいろ検証させてもらえるように交渉するべきだ。
「ねえエクレア、ものは相談なんだけど……」
と、彼女に交渉を持ちかけようとしたその瞬間。
ギルド内に、突然大きな声が響き渡った。
◆
「我こそはという者はおらぬか!」
見ればギルドの最奥。掲示板周辺の少し開けたところで、見るからに重そうな鎧を纏った中年の男が幾人かの鎧男を引き連れて声を上げている。
周囲を煽るような演説めいた物言いで、何かを募っているようだ。
「お、噂をすれば」
エクレアが一言そうこぼすのをかき消すように、鎧男が続けてがなる。
「これはこの地を治めるゼノン伯からの依頼である! 故郷に錦を飾りたい者、地を舐める暮らしを脱したい者は名乗り出よ!」
かなりの声量で目を引くはずなのだが、しかしなぜか彼らの方に興味を持つ者はまばらだ。皆スルー気味である。それどころか、はいはいまた来やがった、ちっうるせーなっ、てな感じで疎ましそうにしている。
はてこれは何ぞと隣に目を向ければ、その意をくんでくれたエクレアが説明してくれた。
「あれがまさにあたしが今言ってた仕事の募集だよ。この辺り一帯を治めるゼノン伯の騎士達が、ギルドに直接その依頼に来てるんだ」
「ほほーん……」
何で皆こんな迷惑そうなんだろうな。誰かが文句を言い出したらあっという間に帰れコールが起こりそうなくらいに冷えっ冷えなんですけど。
そんな超絶アウェイの中でも、鎧男は声を張り上げて募り続ける。ハートくそ強いな。俺なら一発で帰るしもう二度と来ないけど。
「もしかしてあれって、もう何回も来てる?」
聞くと、エクレアは首を縦に振った。
「割と本気で困ってるみたいだね~。あたしが見るのはこれでもう4回目くらいかな。一応ちゃんとギルドの仕事として登録されてるんだけど、誰も受けないみたいでさ」
「へえ……」
これだけ喧伝してもまだ捕まらないのか。エクレア曰く報酬はいいって話だったけど、やっぱり皆もこの依頼にきな臭さを感じているということなのだろうか。
「ちなみにゼノン伯ってのは? この辺りってマグナース領だからレオナルドさんの領地だと思ってたんだけど、違うの?」
「あー、まあ普通そう思うよね。確かに昔はそうだったんだけど、マグナース卿はちょっと前にあった事件か何かで伯爵から子爵に降格してね。今も何か問題を抱えてるらしいから、領地運営をゼノン伯に委任してるんだってさ。名目上は今もマグナース領になってるけどね」
ふむ。何だかややこしいことになってるみたいだな。
しかしレオナルドさんは爵位が降格してたのか。もしかしてバーンズさんとベアードが揉めてたのってその事件が原因だったりするんだろうか。
「ってか、領地運営を委任? 何だそれ大丈夫なのそんなことして。普通に乗っ取られかねないと思うんだけど」
そう聞いてみると、エクレアは肩をすくめながら言った。
「どうだろね~。貴族の世界のことはあたしにはあんまりわかんないけど、まあ、そういうこともあるんじゃない?」
エクレアのそれを聞き、俺の腹は完全に決まった。
やはりこの依頼、受けるべきじゃない。ゼノン伯とレオナルドさんのところは微妙な関係だ。レオナルドさん一派の俺がこの依頼に介入してしまうと、最悪領地への復権を狙っているだとか、向こうにいらぬ嫌疑を掛けられてしまうかもしれない。
(やっぱり今は大人しくティアの導師に専念すべきだ)
と、改めてエクレアに断りを入れようとした時、ちょうど向こうに大きな動きが起こる。
痺れを切らしたのか、鎧男達が周囲への直接的な煽りを始めたようだ。
「何と、これ程お膳立てされてもなおただの一人も名乗りを上げぬとは! 冒険者ギルドの名も地に落ちたものよ! 臆病者の集まりか!」
さすがにそこまで言っちゃうと感じ悪いのでは? と思ったが、鎧男は煽るのをやめない。そのまま近くにいる冒険者に直接絡み始める。
「そこな女。どうせ貴様も初級冒険者で仕事がないのだろう。どうだ。うまくいけばクズ漁りのような生活から脱却できるかもしれんぞ。やってみんか?」
相当切羽詰まっているのか、言葉選びがよろしくない。言われた女冒険者は、ああん? と不機嫌そうに振り返り、鎧男を睨みつけた。
もっさりとした黄金色の髪を腰まで垂らしたその女性は、やはりその物言いにカチンと来たのか、鎧男にでこをぶつける勢いでずかずかと詰め寄り……。
と、二人を目で追っていて、アホな俺はそこでようやく気づいた。
(って言うかエレナじゃん!?)
おいマジかよ! よりにもよってそこに声掛けちゃうのかよ! 確かに目立つビジュアルしてるけどさあ!
このての挑発にはたぶん全力で乗っかっちゃう系女子のエレナである。放っておいたらめんどうなことになりそうだ。て言うか絶対なる。
何とか間に割り込もうとしたが、人だかりのせいもあって届かず、時既に遅し。
俺がそばに寄れた頃には、二人はもう最高にヒートアップしてしまっていた。
「何でてめえみたいなクソ騎士くずれにんなこと言われなきゃなんねえんだ! ああん?」
「ふん! んなことも何も、事実を言ったまでよ!」
「んだとぉ!?」
まさに一触即発。放っておくと刃傷沙汰にまでなる勢いだ。周囲もザワザワし始めて、野次馬が集まり始める。このままではまずい。
しかしそう思った矢先、ことは意外な方向に転がり始める。
エレナが憤慨するのを見て、鎧男が彼女に背を向けつつ、かすかにほくそ笑んだ。明らかに何かを企んでいる顔だ。
「ふん、もういいどいてろ。どうせ貴様のような女にはできん依頼だ」
なるほど。そういうことか。
外から見ていた俺はすぐに鎧男がやらんとしていることに気づいたが、彼女の方はやはりそれに気づかなかったようで、
「バカにすんのもいい加減にしろよてめぇ……。んなもん余裕に決まってんだろ!」
(あー……す)
やっちまったなこりゃあ。
絵に描いたような安い挑発だが、ヒートアップした今のエレナには効果てきめんだろう。いともたやすく誘導されてしまった。
もはや取り繕う必要もないと思ったのか、鎧男はニヤニヤと笑いつつ言った。
「ふん。よく聞こえなかったな。何が余裕だって?」
「オレなら余裕だって言ったんだよ! てめえみたいなしょぼっくれたエセ騎士にゃあできねえかもしれねえけどよ!」
「ほお、言ったな? ならば口だけではないことを証明してもらおう。幸い今日はまだ始まったばかり。早速今から向かおうじゃないか」
「は! 上等だ。やってやろうじゃねえか!」
いや今からかよ! あなたお嬢様の護衛でしょ? まさか俺らをほっぽって行くつもりですか?
と、まさかの仕事放棄かと思いきや、事態はさらに思わぬ方向に行くことに。
「おいタツキぃ!」
「は、はいぃ!?」
突如エレナに名前を叫ばれ、俺は飛び上がった。この状況で気づいてたのかよ俺がいるの。
エレナがこちらに鋭い視線を向ける。すると、やり取りを見ていてビビったのか、あれだけいた野次馬がその視線を逃れるように動き、俺とエレナを結ぶ道を作る。
モーゼのように開いたその道を、エレナはずかずかと歩き、俺の前へとやって来た。
「……聞いたな?」
「や、な、何を……?」
「今のやり取りだよ。聞いてたよなあもちろん」
「ま、まあ……一応聞いてたけど」
「よおし、そんなら話がはええ。ってことで、ちょっと今から行ってくるわ」
「いやあなたまだ仕事中でしょう……。こっちどうすんの」
「んなもん放棄に決まってるだろ。あっちの方が面白そうだしな!」
しれっとそんなことを言うエレナに、俺は絶句してしまった。
何てこった。奔放そうに見えはしたが、まさかここまで責任感がないとは……。このままではお嬢様外出企画がおじゃんだ。
(ティアから何か言ってくれないかなあ……って無理か。ティアからしたら、エレナには出てってもらった方がいいだろうしな)
と、そんなことを思いつつそのティアの方に目を向けようとして、俺はぎょっとした。
いつの間にやら隣にいた彼女が、目をキラキラさせながらエレナのことを見ていたのである。
「ん? 何だよ。もしかしてお前もこの仕事やりてえのか?」
エレナがそう聞くと、ティアは前のめりにコクコクと頷く。え、お嬢様……?
彼女のそれを見て、エレナは嬉しそうにティアの肩をがばりと抱いた。
「んだよお前! 話がわかるじゃねえか! そんならお前も一緒に行きゃあそっちの仕事も続けられるな!」
「え! いやいやいや……」
「いや~よかったよかった。正直お前んとこの仕事も惜しかったから助かったぜ!」
スキンシップが得意そうでないお嬢様が、ふんすふんすと鼻を鳴らしつつ目を輝かせ、エレナのされるがままとなっている。いやいや、君達そんな仲良くなかったはずでしょ……?
「お嬢……」
対照的に、その二人のそばをパタパタと飛ぶフージンの方もちょっと引き気味である。
こいつがティアをこういう目で見るのは珍しい。こいつにとっても彼女のこの行動は意外だったということだろうか。
しかしこれはまずい。ティアがその気になってしまったのなら、もう俺にそれを止める手立てはない。ティアが行くなら俺もこの依頼に参加せざるを得ない。
と、そうして絶望している俺のところに、さらに後ろから肩を叩く人物が。
振り返れば、こちらもニコニコと機嫌のよさそうな女の子だ。エクレアである。
「何だか大変そうだけど、よかった~。二人だとちょっと不安な依頼だったけど、これなら気兼ねなく皆で行けるね」
無邪気な微笑みを向けられ、俺は思わず彼女に唖然とした顔を向けてしまった。どうやら俺は、このビッグウェーブには逆らえない運命らしい。
おいおいマジかよ。こんなきな臭い依頼にこのメンツで挑むのかよ。やば過ぎだろこれ。
一人目は、俺を騙して素性を隠していそうな女冒険者。
二人目は、トラブル上等の脳筋女戦士。
そして三人目は、何だかよくわからないけど俺のことを殺そうとしている貴族のお嬢様。
こんなやばいハーレム、誰も望んでないんだよなあ……。
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