Scene 15

「こんばんはー」


バスローブを羽織り、シャリシャリチャプチャプ音が鳴る靴を履いた少女は玄関を進んでいく。


奥のガラス戸から光が差した玄関ホールは格子がついたように輝いていた。


正面から踊り場で左右に分かれて二階へと回り込む階段が生えている。


闇の中にいるのはなんだか落ち着かなくて、また自然と光に引き込まれる。


どうしよう。


なんとなく入ってしまったけれど、誰か住んでいたら泥棒と間違われたりするかも。


そうは思ったが、玄関を叩いても誰も出なかったのだから仕方がない。


入ってしまったらドアが勢い良く閉じて出られなくなったし(予想はしてたけど)。


階段は、木か何かでできているのか、足音が軋んだ響きをする(ここまできたら定番かもしれない)。


私は取り敢えず二階へ行って、部屋を一つずつ漁ってみることにした。


他人の家にこういう風に上がり込むのは本来なら気が引けることだったが、ミュペにバレたら「別に禁止されてないし」と言えばいいやという妙な自信と、お化けが出てきたら戦って捕まえてやろうという気概から、別段気にすることもなくドアを勢い良く開けては、誰もいないのを確認して閉めてを繰り返した。


数回それを繰り返した時あることに気がついた。


今までカーペットに隠れて見えなかったが、床は石でできていた。


軋む音はまだ止んでいない。


急に歩くのを止めてみると、音が遅れて止んだ。


振り返ったが、誰もいない。


こういう時、人はどこを見るべきだろうか。決まっている。


上を見上げた。


いない。


胸を撫で下ろした。


その拍子にふと、下に目をやった。


白い小さな女の子がそこに立っている。


まあお決まりだと思った。


私は気を失った。

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