6. 二日目・夜:恭哉と明日香の密約

 灰園家は、星河町の町外れの小高い丘の上にある。丘の中に数重の結界や防塁、監視装置があり、屋敷と丘それぞれの入り口には門番もいる。SS級魔術師の明日香を狙う暗殺者などへの備えとして、潜入困難な防衛体制が築かれているのだ。


 夜十時。月が雲に隠れた闇夜。灰園家の庭園を音も無く駆ける影があった。

 侵入者……ではない。灰園明日香が外へと秘密裏に抜け出すところであった。監視網の隙間を通り、結界を魔術で誤魔化してすり抜ける。

 この防衛網の穴は、屋敷が敵の手に落ちた場合に備えて故意に空けられたものだ。この穴を埋めるために警備の者とドローンや式神の類が巡回しているが、単独戦闘が多い明日香は気配を殺すのも得意としている。加えて警備側の協力者から、巡回スケジュールも把握済みだ。

 丘を降りてから更に五分ほど慎重に歩き、警備圏内を脱した。実際にやるのは始めてだったが、抜けるのは難しくない。警備は外からの侵入を防ぐものだからだ。つまり、戻る時は数段難しい筈だが、後の苦労はひとまず頭から置いておく。


 歩行者の多い大通りを避けて、住民が寝静まり始めた人通りの少ない住宅街を歩く。やがて、指定された公園の横に黒い自動車を見つけた。車体には魔術師の目で見ると細かい傷が見えるが、常人なら間近に寄らないと分からない程度の、状態の良い中古車のようだ。

 ナンバーも聞いた通りで、横に黒服の男性が立っている。明日香に気づき、そっと手を上げた。明日香は、そっと頭を下げると促されるままに車に乗った。

 明日香は左から乗り込みつつ運転手と助手席の人物に声を掛ける。男性は明日香が乗り込んだドアを丁寧に閉めると、自分は右から乗り込んできた。

 何と声をかけるべきか悩んでから、明日香は普通に挨拶をすることにした。



「……こんばんは」

「灰園さん?」

「え?」

「……何してるの?」


 男性……百合山恭哉が開口一番語気を強めた。

 今の恭哉は、黒服に身を固め髪を後ろに撫で付けて固めている。服やネクタイなどは、明日香の家の警備員のものと然程変わらぬのようだ。普段学校ですれ違うときと比べて、年齢が五、六歳は高く見える。そのせいか威圧感があった。

 まさか土足禁止だっただろうかと思い恭哉の足元を確認するが、よく磨き込まれて入るものの普通に革靴だった。ならば座り方に作法でもあったろうかと疑念を抱いていると、恭哉の口から耳を疑う言葉が出た。


「駄目だよ!?男の車に簡単に乗っちゃあ?」

「ごめんなさい……待って」


 思わず謝ったのは軽率な行動を恥じたからでは勿論ない。理解が追いつかなかったからだ。


「いくら君が強いからって言っても、不意を突かれたら……オゥェッ」

「だ、大丈夫?」


 明日香は恭哉の体を心配した。まさか車に弱いのに車を密談の場に選んだのだろうか。今のところ車は動いてもいないのだが。


「ごめん……君が不意打ちで意識を奪われて、拷問やりょ……酷い扱いを受けたりした挙げ句にバラバラに切り刻まれて自宅に送り届けられたらと思うと、そんなことをしでかす奴らと、僕も同じ男かと思うともう……ごめんよ、こんな愚かで気色の悪い妄想をして……あとで死ぬよ……」

「大丈夫?」


 明日香が心配したのは恭哉の体調では無い。当然頭である。まさか妄想性障害の類を患ってはいるのだろうか。


「とにかく、これからは迂闊に知らない人の車に乗っちゃ駄目だよ。最低限同行の人にナンバーを控えさせるか、ナンバーを撮影して家の人に送信してからにするんだよ!それを嫌がったり逆ギレしてくるような奴ならそもそも」

「大丈夫よ!百合山くんのことは知ってるから……!」

「性犯罪の過半数は知り合いによる犯行なんだよ!?」

「ええ……」


 驚きや同意の『ええ』ではない。呆れである。知らない人も知っている人も駄目ではどうしろと言うのか。だいたい今日呼びつけたのは恭哉である。


 恭哉は昨日のうちに、青木友代という明日香の家の護衛の少女と学校で接触して取次を依頼していた。

 この接触は半ば賭けだったが、明日香のためと訴えると意外にもすんなりと取次と協力を承諾してくれた。明日香の沈鬱な様子を案じていたらしい。


 彼女は今、明日香の部屋で明日香のフリをしている。ただし変装は完璧ではないので、あまり時間はない。友代の髪は明日香よりだいぶ長いので、ウィッグに押し込めている状態だ。これは短髪を長く見せかける場合よりも無理が出る。

 彼女は髪を切ることまで提案してきたが、短時間の変装の為にそこまでさせられないと、恭哉は全力で止めた。

 明日香はこの経緯を聞いているので、恭哉への信頼を以前より強めた矢先だったのに、可哀想にいきなりこの始末である。


「お願いだから、自分をもっと大事にしてよ!」

「百合山くんはまず時間を大事にしましょうか」

「そうだね、それじゃあ時間も押してるし要点から話そうか」

「ええ……」


 今度こそ同意の『ええ』である。いや、呆れも混ざってはいたが。

 恭哉が合図を送ると、運転手が無言のまま車を発進させた。


「行き先は?」

「どこでもないよ。最後は君の家の近くまで送るけど」

「そういうことね」


 盗聴や監視を警戒すると会話の場所を選ぶ必要がある。その点、車であれば監視者も動き続けなくてはならない。たとえ振り切れなくとも、こちらからも相手を発見しやすい。

 魔術師の世界には離れた場所を見通す遠隔視や千里眼も存在するが、これらも動いている相手を追うほうが難しいのは同じだった。無論、前提として車体にはこれらの超知覚への対抗術式も用意してある。


「本題に入ろうか。……今、生徒会が探している『人物X』は雪町さんだ。方法は分からないが彼女には膨大な魔力を隠蔽する処理がされている」

「貴方は……何故それを?」

「それは後で話すよ。その前に灰園さん、君は気付いていたね?」

「ええ。一昨日の朝、お父さんから爆発の件を聞いて……すぐに彼女のことだと思い当たったわ」

……やっぱりか」


 恭哉は満足げに頷き、明日香の怪訝な表情を見て慌てて神妙な表情に戻した。明日香がはただの三人称のつもりで使った『彼女』を、恭哉は交際相手の意と勝手に解釈した。


「確かに封印は強力みたいだけど、長く一緒にいたら何となく気付けたわ。報告したら騒ぎになる気がしたから、誰にも言わなかったけど……友代ちゃんには気付かれていたのね」

「愛だね」

「……そうね」


 青木友代が明日香の不調を感じていたのはここ一・ニ日ではなく、数週間前からだった。その頃から明日香は気付いていたのだった。

 膨大な魔力を持っていることが知られれば、朔夜は普通の生活を送れなくなる可能性が高い。

 しかし放置しておいても封印がいつまでも続くとは限らない。父に相談すれば朔夜の安全は確保できるかも知れないが、彼女を守るために父が政治的に不利な立場になるかも知れない。

 明日香はこの二律背反に苦しみ、当面は自分が朔夜を見守りながら打開策を見出そうとしていたのだと説明した。


「大変だったね。ところで、気付けたのは灰園さんだから?」

「どういうこと?」

「君レベルの感知能力じゃないと気付けないのかな?部活で少し同室になる程度の僕には分からなかったけど、僕の感知力じゃ低すぎて参考にならないよ」


 明日香の感知力を最新の軍事用偵察衛星とするのなら、恭哉のそれは高く見積もっても個人用の望遠鏡並である。比喩でなくそれほどの差がある。


「私は最近になって気付いたけど……普通は私以上の感知力の人でも疑って掛からないと気付けないと思うわ」

「最近恋人ともだちになったの?」

「いえ。はっきり何時からとは言えないけど大型連休の前くらいには友達ともだちになっていた、と私は思っているわ」

「大型……ああGWゴールデンウイークの前か。遊びに行ったりとかは?」

「いえ?」

「どうして!?……いや、ごめん。忙しいからね灰園さんは」

「そうでもないと思うのだけど……。それで、一緒にいる時間が増えてきたのは夏休み明けくらいからかしら。涼しくなってきたのもあって昼休みに外で一緒にごはんを食べるようになったりして……それで段々気付いてきたの。最初は私より少し多い魔力くらいかと思っていたのだけれど、それどころではないと確信したのは、一ヶ月前くらいかしら」

「文化祭の前くらいだね?」

「ええ。ちょうど生徒会の人も町内会の人も忙しい時期だから、余計に相談しにくくて、それで引きずっていたらこんなことに……」 

「とにかく交際期間は半年強か……いや、そうじゃないそうじゃない!……となると他に気付いていそうな人はいない、ということだね?」

「多分……待って、おかしいわ」


 明日香は違和感に気付いた。封印があるとはいえ、入学時の血液検査までは誤魔化せない筈だ。

 仮に体から抽出した血液まで誤魔化せるような高い効果の隠蔽が使われているのなら、明日香でも気づけはしない筈だった。


「そう、彼女の検査結果か検体をすり替えた人間がいる筈なんだ」

「誰が……いえ、そもそも目的は……?」

「誰がか、に関しては、町内会の誰かだよ」

「それは……そうか、そうよね。確か……」


 『身内』が関わっていると聞いて明日香は一瞬驚いたが、すぐにあることを思い出した。


「そうだよ。四月の健康診断も町内会の人間が関わっているんだ。あの時も今と同じで人手不足だったからね。というか『人手不足でしょうからこちらで手伝います』と町内会が申し出た記録がある」

「誰かは分かっているの?」

「申し出た人間自体は。ただ別の人物の指示で行った可能性が高そうだし、すり替えの実行犯も絞りきれていないよ。でも関わっている人間は少ないし、物証が無いだけで主犯はほぼ分かっているんだけどね」

「阿久津派の人たち?」

「灰園さん」


 恭哉は片手で明日香を制した。魔術師が使う千里眼などの超知覚も、普通の人間と同じく自分や自分に関係ある名前ほど認識しやすい。人混みの中でも自分の名前を呼ばれると認識しやすい、カクテルパーティー現象と呼ばれるものと同じだ。

 車に妨害術式は施してあるし、気にし過ぎだとは思うが、無用なリスクを負う必要もない。


「ごめんなさい」

「まあ、流石に警戒のし過ぎだとは思うけどね」


 車は人通りがなく信号も少ない道を直線に数キロ走っては曲がり、走っては曲がり、のプロセスを数回繰り返している。今の所、何者かに見られている気配はない。


「取り敢えず明日は僕も検査に参加するから、上手く雪町さんのことは誤魔化しておくよ。四月に検査を手伝ったメンツは分かっているし現場検証も兼ねて動いてみればついでに実行犯を特定できるかも」

「まずいわ!」


 改竄を行うのは一歩間違えば犯罪、良くて町内会を追放されかねない行為だ。


「灰園さん。これは最初に聞くべきだったのかも知れないけど」

「何かしら」

「君は雪町さんとどうなりたい……じゃない!……雪町さんをどうしたいの?」


 恭哉は自分の頬を張ると、明日香に慎重に尋ねた。


「私は……死なせたくないわ。でも、もし爆発の件が本当なら……」

「爆発の件、そもそもお父さんからはなんて聞いたの?」

「基本的には生徒会の皆と同じ内容よ。ただし、町内会ではその人の抹殺を優先することに決めているの。生徒会の人には内緒でね。相手は高い魔力を持っているから、私が担当することになっているわ……」

「無茶苦茶だね」

阿久津派あの人たちに何か目論見があるんじゃないかとはお父さんも疑問には思っているのよ。でも実際に膨大な魔力を持った人が実在している。お父さんは私が手を汚さなくて済むように、念の為、腕の良い解呪師を手配してくれているけど、それが上手くいかなかったとしたら……!」


 本当に『爆発』が起きるとして、その原因が呪いなり本人が無自覚に発動させる魔術だとすれば、解呪は不可能ではない。しかし複雑な構造の呪いや本人が意図して使う魔術であるのならば、一気に解呪の難易度は上がる。


「今日さ、様子見を兼ねて文芸部に行ってきたんだよ」

「?」

「昨夜は君が任務でいなかったからこうやって接触することが出来なかったけど、結果的には良かったのかもね……これを」


 恭哉は明日香に一冊の本を渡した。ホッチキスで閉じた、いわゆるコピー本だった。文芸部の小説本らしい。意図を察した明日香はこれを読み始めた。

 『銀雪よりも白い月』は今日持ち込まれた分までで約十二万字、文庫本一冊ほどになる。今回の月刊誌用だけではなく、入学前から書いていて文芸部のサイトに公開したものや、季刊誌に寄稿したものもあり、まとめると一本の長編を名乗れる文量になっていた。

 魔術師は集中すれば常人の倍以上の速度での読書も可能だが、明日香の速度はその基準でもなお文字通り目を見張る物だった。

 B5本の一ページ二段に五百文字、見開きで千文字あるというのに、一秒に三回はページを送っている。本当に読んでいるのかと疑いたくなる速度だが、明日香の目をよくよく見れば右の上下から左の上下、そして右上へと規則正しく動いている。

 表情も細かく動いており、情報として漫然と流し込んでいるのではなく感情が動かされているのが見て取れた。

 読み終わるのに一般人なら数時間掛かってもおかしくなく、恭哉は明日香でも二十分は掛かるかと思っていたが、一分と掛からずに読み終える勢いだった。

 だがその速度は後半の二万字で徐々に弱まり、最後の五千字の途中で一度完全に止まった。明日香は一分ほど瞑目し深く呼吸すると、残りを比喩でなく一瞬で読み終えた。

 それでも結局五分ほどで明日香は全てを読み終えた。自分の気に入った本をそんな速度で読み飛ばされたら、普通なら怒りを覚えてもおかしくはないが、恭哉はむしろ涙を堪えるのに必死だった。明日香は泣いてはいなかったが、『貰い泣き』をしそうだった。


「……これは、これは……?」

「多分……本人も気付いているんだ。偶然にしては状況があまりに近すぎる。それに今日最後の原稿を持ってきて、部活を辞めると言ってきたよ」

「そんな……!いつ?雪町さんはいつから自分のことを知っていたの?」

「分からない。これを書き始めたのは一年以上前みたいだけど、夕子姫の秘密が明かされたのは入学後に書いた部分からだしね。翼様がどことなく灰園さんっぽくなってきたのもその頃からだし、文芸部の影響で文体や作風が変わってきた部分もあるから、どの程度がかは断言できないよ。当然、もっと昔から知っていた可能性も充分ある。逆にたまたま、もしくは無意識に自分のことを小説に書いていて、自分の秘密は最近知っただけの可能性もあるからね」

「でも……!」

「うん。終盤の真の迫りようは筆力が上がったからだけとは思いにくいよ。きっと僕の知らないところでも何か変化があったかもね。灰園さんは何か知らないかい」

「実は昨日……」


 昨日の二人の様子は只事ではなかった。恭哉は屋上から見ていたことは伏せつつ明日香から自然に話を引き出すことに成功して一瞬安堵し、


「……友達をやめようって言われたの」


 そして愚かな自分を呪った。


「私は雪町さんを助けたいわ。でも私にそんな資格があるのかしら、それに何をどうしたら……」

「灰園さん。釈迦に説法になるけど、まずは作戦目的をはっきりさせて情報を得ることが第一だよ。姉さんの受け売りだけどね。灰園さんは目的ははっきりしてるじゃないか。それ以外のことは一旦全部忘れよう。家のことも学校のことも町のことも忘れよう。周りへの迷惑を考えていちゃ駄目だ。最大の目的を達する算段を立ててから、他のことを拾えるだけ拾えば良い。それは僕が少しはフォローできると思う」

「百合山くん……」

「灰園さん、君に足りないのは唯一つ。情報だけだ。今から特に大事な話をするからよく聞いて……」



 恭哉は前の席の二人以外には身近な誰にも明かしていないことを、明日香に伝えた。語り終えたのを見計らって、車は灰園家の警戒網まで五百メートルの辺りで止まった。


「貴方は……どうして……どうしてそこまで?」

「最初は、姉さんたちを守るためだけだったよ。それこそ雪町さんが殺しても良心の痛まないような悪いやつだったら始末して終わっていた話だよ。でも彼女を見ていたらとてもそんな訳にはいかなくなったんだ。彼女は君と一緒に幸せになるべきだよ」

「……ありがとう」

「礼を言われることはまだ何もしていないよ。まずは明日の作戦を乗り切ろう」

「そうね。全力を尽くすわ」

「うん。それで全部上手く片付いたら、いつか君たちの式の末席とは言わずともせめてスタッフとして使ってくれたら幸いかな」

「ええ……?」


 今のは疑問の『ええ』である。友達同士で上げる式とは一体何かあっただろうか?真っ先に浮かんだのは朔夜が小説で賞を取って授賞式が開かれるだったが、それでは『君たち』とは言わない筈だ。明日香のまともな頭ではそれ以上思いつかなかったが、今は気にしている場合ではない。恭哉たちに改めて謝意を告げ、密かに屋敷へと戻っていった。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「はい。状況が動いているのですね?」

『ああ、他の組織が動くようだ。星河町そこの内通者が密告した可能性もある。こちらも急がなくてはならない。予定を早め、明日迎えを出す』

「明日ですね?例の生徒会が手配した検査があるので、日中は動きづらいのですが」

『ああ、放課後から夜の間だな。だが夜になれば、他組織が動く可能性が高まる。なるべく早めに動きたいが、上手くいかない場合は逆に彼らの動きに乗じる場合もある』

「こちらはもう何時でも問題ありません。灰園明日香を遠ざける算段は立ちましたので」

『君の実力はB級と聞いているが、問題はないか』

「いえ、大丈夫です。戦うわけではありませんので私への援軍は不要です。他へ回して下さい。その代わりという訳ではありませんが、お約束通り他のメンバーは可能な限り無傷でお願い致します」

『善処しよう。こちらもいらぬ反撃と恨みは貰いたくないからな』

「ええ。ありがとうございます」

『君の義姉はどうする?』

「明日は無理でしょう。失礼ですが、貴方方は少数精鋭。二兎を追うのは危険でしょう。今回の計画が成った後で説得を行いますよ」

『そうだな。人質役を兼ねて貰うにはA級魔術師の拘束は難しすぎる。君を人質に使う手もあるだろうが……』

「前も申しましたが、それは不可能です。姉は私を撃てます。内通がバレれば殺せもするでしょう」

『分かった。この案はやはり破棄する』

「明日は電話は難しそうですので、変更や指示はメールのほうでお願いします」

『宜しくお願いする。全ては人類の新天地のために』

「全ては人類の新天地のために」


 百合山恭哉は通話を終えた。

 

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