第20話

第二十話



 一時凌ぎとは言え、安心して落ち着ける居留地に腰を据えた旧トリニア帝国・タイノス帝国の反乱軍の生き残り1700人は久しぶりにまともな食事にありついていた


 聖都には戦争に備えて大量の物資が蓄えられていたため1700人分の物資は直ぐに手配できたのだった


 「あーーっ! 美味いっ!!!」

そこかしこから、兵士の声が聞こえてくる

焼しめたビスケット、干し肉、チーズ、豆のスープ、漬けたオリーブの実、それにワイン……典型的な神聖ノーワ帝国軍兵糧食であるが、携帯食などはとっくの昔に喰い尽くしここ数日は森の中に自生する草を食って生き長らえてきたのだから、簡単な物でもどれはどありがたく美味く感じた事だろうか……

 もっとも、反乱軍の兵士達から見れば質の良い食事だったのだが……


 ただ、名産のワインだけは別格で神聖ノーワ帝国のワインはダルキア帝国皇帝バルドゥイノですら認めた逸品なのである……いつも、傍らに置いてあるぐらいである


 当然、兵士達にも非常に好評で顔を赤くして歌を歌い踊る者もそこかしこで見られる



 神聖ノーワ帝国には、 旧トリニア帝国・タイノス帝国からの移住者が多く住んでいる


 ダルキア帝国皇帝バルドゥイノが帝位についてから、より一層激しくなる争いで住むところを失くし移り住んだ者達も多く、それに少数だがダルキア帝国皇帝バルドゥイノと対立したダルキア帝国の住人も移り住んでいる

 ただ、パナル神一神教のパルキア公国は住人はピレウス神一神教の神聖ノーワ帝国へ移住は認められなかった

 それ故、国を失ったパルキア公国の民は"流浪るろうの民"として長らく大陸中を彷徨さまよう事となる


 神聖ノーワ帝国へ移住した旧トリニア帝国・タイノス帝国、ダルキア帝国の移住者たちは、それぞれの生きるために職に就き新しい生活の道を歩んでおり、輸送部隊や兵士の中にも出身者がかなりの数がいた

 彼らに共通しているのは、筋金入りの"ダルキア帝国嫌い"である、今回の戦争でも彼らが最も戦闘意欲が高く貢献度も大きかった


 輸送部隊の兵士達も荷物運びの人足達も反乱軍を同胞と捉えており友好的であった……とは言え、万外一の事も考えて警備の兵士は付いていた



  「ここも、随分と賑やかになったね」

ラミアが屋敷の居間の窓から外を眺めながら言っていると玄関の方で大きな声がする


 「失礼いたします、誰かっ! おられますかっ!!」

明らかに、兵士の声だ


 「はいっ!」

私は大きな声で返事をすると玄関に早足で向かった……玄関の扉を開けると二人の男性兵士が立っていた


 「皇帝陛下っ! 本官はバート・バルテルス、輸送隊の責任者であります!」

 「テオドラ様の命によりこの屋敷の警備に当たらせていただきます」

そう言うと、お付きの兵士と共に私に向かって敬礼をすると去って行った



 「この屋敷を警備してくれるんだって」

 私は、今に戻るとラミアにそう言う


 「警備ね……まぁ……いいんじゃない」

ラミアは、窓から完全武装の兵士があちこちに立っているのを確認していた


 ビアンカの容態はどうなんだろうか、心配になった私はゲストルームに向かう、ドアをノックをすると中からサリタの声が聞こえてくる


 ドアを開け中に入ると私の服を着てビアンカは自分で立って歩いていた

 「もう大丈夫なの」

私が声をかけると


 「はい……嘘のように楽になりました」

 「もう、大丈夫だと思います……本当にありがとうございました」

そう言うと私にお辞儀をした

 「それと……その……男の人と間違えて、大変失礼いたしました」

そう言うと申し訳なさそうにする


 「気にすることは無いです……いつもの事ですから……」

私は力なく言うと笑って見せた


 ビアンカはゲストルームの窓から外をうかがうと、兵士達が楽しそうに笑い語らいながら食事をしている姿が見える

 「よかった……」

小さな声で呟くように言うと

 「ありがとうございます……全てエレーヌさまのおかげにございます」

問う言うと、サリタと一緒に大きく頭を下げる……


 「そんな……たいそうな……」

私が話そうとするとドアをノックする音がするとラミアの声がする


 「ビアンカさん……カミロさんって人が会いたいって」

それを聞いたサリタがアッと言う顔をする

 

 「おじいちゃん……」

サリタが言うとビアンカも心当たりのあるような表情をする

どうやら……サリタさんのお爺さんらしい……


 「大丈夫です……私の侍従です」

ビアンカがそう言うとヨボヨボの老兵士が部屋に入ってくる


 「よくぞっ! よくぞっ!! 御無事で……」

顔をしわくちゃにして言う


 「ごめんね……心配かけて……」

ビアンカがカミロの手を握る


 「姫様、皆に元気なお姿をお見せ下さりませ」

床にうずくまると涙ながらにビアンカに訴える


 「……はい……わかったから、泣かないで……」

ビアンカはカミロの手を取り立ち上がらせた



 その後、嫌がる私は半ば強制的に三人に連行された……

 ビアンカとサリタ、私とラミアの4人が屋敷のバルコニーに姿を現すと兵士達から歓喜の声が上がる


 「皆、よくぞ辛抱しました」

 「我らは、ここに居られる、神聖ノーワ帝国神聖皇帝エレーヌ様のご厚意により」

 「正式に亡命が認められました、これよりは、皆自由の身となります」

 「各自、各々好きな道を歩みなさい」

ビアンカがそう言うと兵士の歓喜と共に私の名をコールする


 「エレーヌさん、何か兵士たちに一言、お願いいたします」

ビアンカとサリタが私をバルコニーの前に押し出す


 "へっ……またっ、いきなり振るんだからっ!"

私は、小さな声で文句を言うとラミアが私の背中を押す……バルコニーの前に立つ歓声がピタリと止まり大勢の兵士が一斉に私を見つめる

 "うっ……みんなの視線が熱いっ!"

私は心の中で呟くと、深く行き吸い込んだ

 

 「兵士の皆様、私は神聖ノーワ帝国、神聖皇帝エレーヌです」

 「遠路遥々、ご苦労様でした」

 「神聖皇帝の名に於いて貴方がたを同胞として迎え入れます」

 「ようこそっ! 」神聖ノーワ帝国へ、貴方がたを歓迎しますっ!!」

何とそれらしいことを噛まずに言いきる


 「うおーーーーーっっっ!!!」

兵士の間から物凄い歓声が上がる


修羅場を潜り抜けホッとしていると

"今のって、1000年前のピレウス白魔術学校の新入生歓迎の言葉、そのままじゃん"

ラミアが私の耳元で呟いた

 私は、ニコッと笑うと後ろからラミアのお尻を思いっきりつねった


 "うっ!!!"

小さな悲鳴を上げながらもなんとか耐えて愛想笑いを兵士達に振り撒いていた



 兵士達に対する最後の挨拶を終えたビアンカはゲストルームで物思いにふけっていた

 その傍らでサリタが心配そうな表情でビアンカを見つめている


 日が傾き、周りが暗くなってくると松明が灯される、野営地では夕食の支度が始まりいい匂いがしてくる……どうやら、夕食のメニューはシチューのようだ

 ゲストルームの窓の外では、兵士達が語らい笑っている、皆、希望に満ちた顔をしているのが分かる


 不意にコンコンとドアを叩く音がする、ドアの外からセレスティナの声がする

 「夕食の支度が出来たのでキッチンまでお越しください」

 「サリタさんもご一緒にどうぞ」

そう言い残すとセレスティナは戻っていた、ベッドに腰かけたままビアンカは動こうとしない


 「ビアンカ様、少しはお食べにならないと……」

気が抜けたようなになっているビアンカにサリタが話しかける


 「そうね……」

ビアンカは重い腰を上げるとキッチンに行く……ビアンカの目が輝く、テーブルの上には、懐かしい故郷の料理がいくつか並んでいた

 「これは……」

ビアンカが驚いたように呟く


 「私の故郷はダルキアの北部の"ニステ"と言う小さな村なんです」

 「トリニア帝国の国境近くの村なのでトリニア帝国の郷土料理の幾つかは作り方を知ってるんです」

セレスティナはそう言うとビアンカとサリタをテーブルの椅子に案内する、テーブルには留守のアデレーナ以外の全員が既に席についていた


 「さあっ、食べましょうかっ! 味には余り自信はないんですけどね」

笑いながらセレスティナが言うと皆で料理を取り合う、トリニア帝国は大皿料理が伝統なのだメインの鶏肉のパイ包み、香草のスープ、などなど……


 料理を口にしたビアンカの目に涙が浮かぶ……ほんの数か月前までは家族と共に同じ料理を口にしていたからだ

 父も母も兄も、もうこの世にはいない……


 「……ごめんなさい……私……」

ビアンカが涙を手で拭う……外からは、兵士達の騒ぐ声と歌声が聞こえてくる

私もラミアも他の三人も何も言えなかった……


 それでも、ビアンカもサリタも凄い食欲で全て平らげてしまった

 「ありがとうございます……美味しかったです」

ビアンカとサリタがセレスティナにお礼を言う


 「さて……お腹も膨れたし、次はお風呂ねっ!」

私がそう言ってビアンカとサリタの方を見る


 「お風呂……ですか……」

ビアンカとサリタがポカンとした表情をする

 「先程、エレーヌ様がお創りになった温泉の事でしょうか」

ビアンカが窓の外を見て困ったように言う……兵士達から丸見えだからだった


 「アレ以外にも、もう一つあるんです」

 「あっちの方は、兵士の皆様に使っていただくように言ってあります」

そう言うと私はビアンカに手を伸ばすと礼儀正しく

 「どうぞ、こちらへ……」

ビアンカの手を取る……ビアンカの頬が少し赤くなった

それを見ていた、ラミアの目元が少し引き攣っていた


 「私とカリナは片づけが済ませますので」

そう言うとセレスティナとカリナは食べ終えた食器を手にする


 「あの……私もお手伝いを……」

ビアンカが申し出ようとする


 「気を使わなくてもいいんですよ……ここの温泉、疲れを癒す効能があるんですよ」

 「ビアンカさんもサリタさんもお疲れでしょうから、ごゆっくりどうぞ……」

ニッコリと笑った



 焼け落ちたが再建された小屋に私とラミア、ビアンカとサリタの四人で行くとうらの温泉に案内する

 「こんな所に、温泉が……」

ビアンカが驚いたように言う


 「反乱軍の中に女の人は何人いるの」

私がビアンカに問いかける


 「私とサリタの二人だけです……他には居りません……」

 「わが国では……軍に女性は一人もおりません……」

悲しそうな顔をすると横からサリタが話を続ける


 「……女、子供は……皆、ダルキア帝の奴隷に……」

そう言うと俯いた


 「ごめんなさいっ! 嫌なこと聞いちゃって……」

私は、拙い事を言ってしまったと後悔した……すると、突然……


 「さあっ! 入りましょっ! 脱いで脱いでっ!!」

場の空気を読んだのか、ラミアが私の服をいきなり引っ剥がした


 「ぎゃ! 何すんのよっ! いきなりっ!!」

私は、大事な所を両手で隠す


 「何、恥ずかしがってんのよっ!」

恥ずかしがる私を見てラミアがニヤリと笑うと

 「ねっ! 外見は男でド貧乳だけど、一応はちゃんとした女でしょう」

私の胸を指差してビアンカとサリタに言う


 「……は……はい……そのようですね……」

ビアンカが目のやり場に少し困ったように言う


 「ラ・ミ・ア~」

私は、容赦なく"ソトフ・ライトニング"の呪文を唱える……


 「ひっ! あんっ! ふげっ! あひっ!」

 「そこっ! だめっ! がはっ! うげっ!」

 「ごっ! めへっ! んぐふっ! なあはっ! いいっっ~!!💛」

床でのたうち回りながら喘ぐラミアにビアンカとサリタが怯えている


 「もうっ! こいつったら……ほんとに……」

私はブチブチ言いながら悶絶して床に転がっているラミアのお尻に一発蹴りを入れてから、ビアンカとサリタの方を見る


 「ひぃーーっっっ!!!」

ビアンカとサリタは抱き合うと悲鳴を上げる


 「そんなに、怖がらないでよ……何もしないから」

そう私が言っても二人は青ざめた顔をしている


 「ああーーっ この感じ久しぶりっ! 」

何事も無かったようにラミアがムクリと起き上がる


 「ひぃーーーっっっ!!!」

それを見てビアンカとサリタが再び悲鳴を上げる

 

 「何してんの、二人とも青い顔して仲良く抱き合って」

 「早く、温泉に入った入った」

何食わぬ顔をしているラミアを二人揃ってポカンと口を開いたまま眺めていた



 一足早く、私とラミアが温泉に入っているとビアンカとサリタがやってくる……何故か二人とも恥ずかしそうだ

 「どうしたの……二人してコソコソして……」

二人のコソコソした態度にラミアが問いかける


 「その……トリニア帝国では……その……裸で入浴する習慣がないもので……」

サリタが恥ずかしそうに言う


 「アンタ達、服着たまま風呂に入んの」

呆れたような表情で二人を見る


 「そうではなくて、このようにして湯に浸かったりしないんです」

サリタがトリニア帝国の入浴の事を私とラミアに説明する……

 

 トリニア帝国の浴室には浴槽が無い、代わりにサウナとシャワーがあり、入浴専用のローブを身に付けてサウナに入り垢すりをし、その後にシャワーを浴びて終わり……なのだそうだ


 「そうなんだ……トリニア帝国には温泉とかはあるの」

ラミアが尋ねる


 「このようなものは無いです……」

 「人前で……裸になるなんて事は無いものなので……」

サリタが顔を赤くして答える


 「もしかして……恥ずかしいの……」

 「まぁ……とりあえず入んなよ」

ラミアはそう言うと立ち上がり二人の手を掴むと温泉に引きずり込む


 「あっ! ちょっと!……なんだか……意外とコレ、気持ちいいですね」

初めは躊躇ためらっていたサリタが気持ちよさげに言うとビアンカも同意するのだが……二人とも胸を両手で隠し膝を曲げ縮こまっている


 「何で二人とも胸隠して縮こまるの……そんなに貧相でもないのにねぇ……エレーヌ」

ラミアが私の胸をチラ見する


 「ラミア……私の胸に何か付いてるの」

私が不機嫌そうに言うと


 「何も無いわよ……というより胸自体がな……」

言いかけると"やべぇ"と言う表情をして話題を逸らす

そう言うと、二人の手と足を掴むと引き延ばすようにする……


 「あっ! ちょっと! ダメですっ!!」

二人とも抵抗するが怪力のラミアの腕力には抵抗できずに手足を引き伸ばされる


 「二人とも、いい乳してるじゃないっ! 特にビアンカさんナイス・乳だよっ!!!」

二人の胸を見るとラミアはわざと卑猥な言い方をする、ここら辺はラミアらしい


 「ラ・ミ・ア~やり過ぎっ!」

私はラミアに止めるよう言うが、二人はもう吹っ切れたようで気持ち良さげに温泉に浸かっているビアンカが話し出す


 「ノーワ帝国は、いい国ですね……」

 「豊かな国だとは以前より聞き及んでいましたが、兵士や私達に用意して下さった食事も良い物でしたし、ワインまで……」

 「そして、このような贅沢な入浴設備もあって……ここまで、豊かな生活を……」

そう言うとビアンカは背伸びをする……すると、その体からボリッ!バキッ!という音がする

 「痛っ!」

ビアンカは体を捩じらせる……それを見てたいサリタが心配そうな表情になる


 「ビアンカ様! お体に何かっ!!」

慌ててビアンカに近寄る


 「だっ大丈夫です……」

肩を回しながらビアンカが言う


 「随分と凝ってるようね……まぁ……ずっと、あんな鎧着けてたから仕方ないか」

 「エレーヌ……風呂上りに全身指圧でもしてあげれば」

ラミアがビアンカとサリタを交互に見て言う


 「全身……指圧って……なんて何ですか……」

不安そうな表情でビアンカとサリタが私を見つめる

 「まっ!まさか、先程……ラミアさまにやっていた……アレ……」

温泉で赤く火照っていた二人の顔が見る見るうちに青ざめていく

 「たっ!大変申し訳ないのですが……ご遠慮したく……」

ビアンカが引き攣った声で言うとサリタがコクコクと何回も首を縦に振る


 「心配しなくてもいいって……アレじゃないよ」

ラミアが笑って二人に言う

 「さっさっ! 二人とも上がった! 上がった!」

 「エレーヌ……後でゲストルームに来てね……」

そう言い残すと、二人の手を引いて行ってしまった


 「さてと……私も上がろっか」

温泉から上がると入れ替わりにカリナとセレスティナの二人が入ってくる


 「エレーヌさん……上がられるんですか」

セレスティナが私に問いかける


 「そうだよ、これからビアンカさんとサリタに指圧マッサージすることになってんのよ」

体をタオルで拭きながら言う


 "指圧マッサージ……ですか……"

 "アレは……いいですね……本当に……"

呟くように言うカリナをセレスティナが不思議そうに見ていた



寝間着の貫頭衣を着るとラミアに言われた通りゲストルームに行くとビアンカとサリタがベッドに腰かけてラミアと何か話をしていた


 「あー来た来た、二人ともお待ちだよ」

 「全身満遍なくタップリとヤっちゃってね」

そう言うラミアを青ざめた顔で見ているビアンカとサリタ……


 「それでは……始めますか」

 「ビアンカさんとサリタさん、どっちからやる」

私が切り出すと二人が顔を見合わせる


 「わっ! 私が先にいきますっ!」

サリタが引き攣った声で申し出る


 「じゃ……サリタさんからね」

 「そこに寝てくれる……体の力を抜いて……」

 「初めは、少し痛いかも知れないけど我慢してね……」

不安そうな表情で私の指示に従うサリタをビアンカが心配そうに見ている


 「いや~まるで、怪しいお店のお姉さんだね~」

 「これから、エレーヌお姉さんがいい事してくれるよっ💛」

 「部屋には、封印魔法してあるからぁ、いくらでも、声出していいからね」

すぐ横でラミアが不安を助長するような事を言うとサリタが怯えるのが分かる


 「余計な事は言わないのっ!」

そう言うと私はラミアの右乳を思いっきり掴んだ


 「ふげっ!」

胸を抑えてラミアはうずくま


 「こいつの言う事なんてきにしないでね」

そう言うと私はサリタに指圧マッサージを始める……思った以上に体中が固くなっている

……無理もないか……何日も鎧着て、深い森の中歩いて……


 「痛っ! あっ! うっ! はあっ!」

サリタは体を捩じらせうめき声を上げる……サリタの様子を見ていたビアンカが少し慌てるが……私は気にせずに指圧マッサージを続ける

 「んっ! あんっ! あはっ! あふっ!」

 「うっ! そこっ! いいっっ!!💛 すっごいっ!!!💛」

 「あんっ!💛 そこっ!もっと強くっ!!!💛」

サリタの異変にビアンカが呆然している……サリタの全身を押し続ける事、約四十五分ほど……サリタはぐっすりと眠ってしまった


 「次は……ビアンカさんね」

私がビアンカさんの方を見ると、観念したかのような表情をするビアンカ……


 「あのっ!・・・・優しくしてください……」

頬を赤らめる……"ヤバい……ビアンカさん可愛いっ!"私はビアンカの仕草に心を奪われる


 その後、ゲストルームはサービス精神全開の私の指圧マッサージでビアンカの妖艶な喘ぎ声が一時間近く溢れた……


 二人とも寝てしまったのでラミアと私は部屋を出ると自分の部屋に戻る

 私の後にラミアが部屋に入りドアを閉めると……ラミアは再び部屋に封印魔法を発動した


 「なに……ラミア……」

私はラミアの行動に何があるのかと不安になる


 「ねぇ……エレーヌ……あの女(アデレーナ)に私達の事……いつ、話すつもり」

ラミアの口調も表情もいつもとは全然、違っていた……


 「……ラミア……」

私はラミアの真剣な表情に少し戸惑った



 第二十話 ~ 終わり ~

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