第13話

第十三話


 神聖ノーワ帝国から遠く離れたダルキア帝国の皇帝バルドゥイノ・アルカンタル5世のもとに、私とアデレーナが"異界の門を"封じたことが伝わったのは"異界の門"を封じた四日後だった


 この知らせを受け取った皇帝バルドゥイノの表情が険しくなった

 年齢30歳、身長190センチ、体重90キロの筋肉質で屈強な戦士でもある黒髪の皇帝は

 歴代ダルキア帝国の皇帝の中でも貪欲で狡猾な事で知られ、他国からも恐れられている

 

 「やはりな……」

 「この"衝立の女神"なる者が"異形の者"より受けっとたいう剣とランプの詳しい事は分からぬのか」

 周りに優美な衣装を身に纏った何人もの女性を侍らせ、玉座に座りワイングラスを片手に言う


 「申し訳ございません……詳しい事は分かりません」

帝国軍総長のカリスト・コルデーロが床にひれ伏し答える


 「そうか……その剣とランプを手に入れよ……"衝立の女神"は始末せよ、手段は問わぬが、あからさまには動くのは許さぬ」

 「まだ、あの国と事を構えるのは時期尚早……」

 「それと、三カ国同盟との戦況はどうなっておる」

皇帝バルドゥイノは、グラスの中の赤ワインを揺らしながら静かに問いかける


 「ははっ! 順調に推移しております」

 「既に、トリニア帝国・タイノス帝国の首都は陥落しております」

 「後はパルキア公国のみでありますが……あの地は、聖地でありますので……」

帝国軍総長のカリストが戸惑いながら言うと


 「ふっ……聖地か……構わぬ、同じように焼き払うがよい」

皇帝バルドゥイノは、何のためらいもなく言う

 「どうせ、血塗られた道だ神にすがることも許しを請うこともあるまいし……たとえ、許しを乞うたところで許されることもあるまい……」

そう言うと、自分の手にワイングラスが透けて映る赤い色を見ながら言った


 「ハハーッ! 陛下のお言いつけのままに……」

 「剣とランプについては、神聖ノーワ帝国に忍びの者を送り込みまする」

 「ではっ! これにて御免っ!」

そう言うと帝国軍総長のカリストは立ち上がり静かに玉座の間から立ち去っていく


 「神聖ノーワ帝国か……よいワインのできる地だな……」

去って行くカリストの後姿を見ながら言う、その口元は微かに笑っていた

 「しかし……あの者達がまだ生き残っていたとは……」

 「本物ならば簡単には始末できまいな……これは、厄介なことになったな……」

そう呟くとグラスのワインを一気に飲み干した

 


 ここ、3週間ほどの訓練によりアデレーナは魔力制御のコツを掴みつつあるようだった

 その頃には、私の記憶もほぼ戻っていた……自分がどういう生活をしていたのかも……


 何事も無い、平穏な生活は心地よかったが相変わらずアデレーナは人のベッドに潜り込んでくるのだった……

 

 アデレーナも私もお互いにお互いを必要としている事は分かっている……一人になるのが怖いのだ……唯一無二の存在といつも一緒にいたいと思えるのは当然だった……

  

 そんなある日……


 「今日、町に食糧とか買い出し行きますが一緒に行きます」

アデレーナが聞いてくる


 「ああっ、一緒に行くよ」

 「アデレーナがどのくらいまで能力の制御が出来るようになったか知りたいし……」

二日から三日に一回の割合で町に買い出しに行くついでに町の人には申し訳ないがアデレーナの読心術制御の練習台になってもらっているのだ


 「ポチは……最近、よく居なくなるけど……」

 「体も随分と大きくなっているし」

私はアデレーナに気になっていたポチの事を尋ねてみる


 「あ~……多分、狩りに言っていると思います」

 「ポチはまだ幼生体てすから……人で言えば7~8歳ですからね」

 「これからドンドン大きくなりますよ」

そう言うとテーブルの上でリュックの用意をしている


 「まだまだ大きくなるのっ!」

私は、聖獣の事は全く知らないので少し驚いていると


 「私も良く知りませんが、不思議なことに昔からポチの事が分かるんです」

 「成体になって体が出来上がれば後はずっと食事の必要が無くなることもね」

アデレーナはリュックを背負うとこちらに向かって歩いてくる


 私は、ここ1週間ぐらいのアデレーナを見ていて感じていることがある……この子はもしかしたら"黒魔術師"なのかも知れないと……


 私たち"白魔術師"とは対極に位置する存在、主に"呪術・占術"を得意とする魔術師で高位能力者は人や動物の意思を読み取り、予知能力がある


 我々、白魔術師にとっては天敵のような存在であるがその数は極めて少なく多くの魔術師がいた1000年前のピレウスでさえでもで3人ほどだった

その厄介な能力から1000年前の戦いでは"異形の者"ですら恐れた存在なのだ


 しかも、アデレーナは高位能力者にしかないとされる人や動物の意思を読み取りる能力を既に持っている


 「行きますよ」

アデレーナの声で我に返った私はアデレーナの方に歩き出した


 

 町で一通りの買い物を済ませて夕刻になる頃に森の小屋に帰るとポチがお気に入りのテーブルの下で寝ているが少し窮屈そうに見えた


 「ポチそろそろ、そこ限界じゃない」

ポチは私の方を見ると"クォ~ン"と鳴いた


 簡単な夕食事を済ませた後に温泉に入る……ハッキリ言って……私はもう、この温泉無しでは生きていけないと思う

 暫くすると、食事の片づけを済ましたアデレーナも入ってくる

「あ~ったたたた」

と温泉に浸かりながら痛そうにしている


 「大丈夫……痛そうだけど」

 「後で指圧してあげようか……少しは楽になるし思うよ」

じつは、私はこの手の事には自信があるのである……


 「し・あ・つ……って何ですか」

アデレーナが私を見て聞きなれない言葉に困惑している


 「まっいいから……温泉上がったらやったげるよ」

困惑しているアデレーナにニヤリと笑って言った


 「うっ……まさか……ザ・ゼ・ンみたいなのてすか……」

アデレーナは露骨に嫌な顔をした……

 "確かに、初めは痛い……だが一度、その味を覚えたが最後……麻薬の如き中毒性がある……それが、指圧マッサージなのである"

 ムカつくがアデレーナのように立派なモノを2つぶら下げている奴ほどその効果は絶大なのである



 私が温泉から上がると就寝用の貫頭衣かんとうい姿でアデレーナが待っていた

 「ここにうつ伏せ寝て」

私がベッドをポンと叩いて言うとアデレーナは疑惑に満ちた目で私を見つつも素直にベッドに横になった

 「じゃ、やるね」

私はそう言うとアデレーナの凝っていそうなところを指でグイッっと押す


 「うっ! 痛いっ! ちょっと待ってっ! 痛いですっ!!」

アデレーナは体を捩じらせて足をバタ付かせる


 「大人しくしろっ!!!」

そう言うと私はアデレーナのお尻をバシッと引っ叩くとそのまま、指圧を続ける


 「痛っ! 痛いですっ! いっ! あっ! うっ! 」

段々とアデレーナが大人しくなっていく


 「あっ! これっ! いいかもっ! あっ! そこっ! いいっ!!」

アデレーナは完全に身を任せている"落ちたっ!"私は手応えを確信する……実は、指圧しながら指先から微弱な高電圧の電撃をしているのだ


 アデレーナは押されるたびに気持ちよさそうな声を出している

 一通り全身の指圧を終えるとアデレーナは頬を赤くして虚ろな目で口からよだれを垂らし昇天していた

 「どう、アデレーナ……痛いのマシになった」

私がベッドでぐったりしているアデレーナに聞く


 「なんれひゅか……これ……無茶苦茶に気持ちいいんれひゅけど」

 「フワフワして、こんなに体が軽く感じるのは久しぶりれひゅ……私……」

そう言うとそまま眠ってしまった……私はアデレーナに毛布を掛けると自分のベッドに行くために居間の方に行くテーブルの下にはポチは居なかった


 "ポチのやつ、こんな時間にも出かけてるのか……"

そう思いながらベッドのある部屋に入ろうとすると何者かの気配を感じる……

 記憶がほぼ戻り防御魔法がうまく使えるようになった私はにアデレーナとポチ以外の敵意を無意識に感じ取ることが出来るようになっている


 "複数か……数は3つ……かなり鋭い気配……盗賊……いや違うな……"

 "それに……この感覚……毒と睡眠薬か……アデレーナが危ない……"

私は、気付かないフリをして防御魔法を最大級に発動させアデレーナの部屋に向かう


 アデレーナの部屋に戻りベッドに入り私の防御魔法の範囲にアデレーナを抱きよせると寝たふりをする……

 「ひっ!」

こいつ……寝てるのに……こんな時ぐらい私のお尻を撫でるのやめろっ!


 暫くすると、ドアがスッと空き賊が二人入ってくる気配がする……一人は外で周りを警戒しているようだ

 居間の方で何かを探しているような物音がする


 "ただの物取りの泥棒なら、石柱や剣、ランプなどでければそのまま気が付かないフリをしてもいいのだが……"

 "こいつらの気配は明らかに暗殺などのプロの気配だ……"


 "こちらの方に一人来る気配がする"

 手には短剣を握りしめている……明らかな殺意を感じた私は、体を麻痺させるパラライズの魔法を発動する

 「ぎゃ!」

短剣を床に落とすと賊は激しい痙攣けいれんを起こして倒れる


 それに気付いた、残りの二人が剣を抜くと斬りかかってくる……


 「なによ~騒がしいわね……」

こんな時にアデレーナが目を覚まして起き上がってくる


 "こいつ……大人しく寝てりゃいいのに……"

剣を振りかざし斬りかかってくる賊を見てアデレーナが悲鳴を上げ私に思いっきり抱きつく

 「馬鹿っ! 放せっ! このままじゃ二人とも殺られるっ!!」

焦った私がアデレーナの手を振り払うと攻撃魔法を発動しようとするが……

 "クソッ! 間に合わないっ!!"


 "これまでかっ!!!"っと思った瞬間に私の顔に生暖かい液体がかかり、族の姿が無くなる……


 「せっせっ聖獣っ!!!」

後ろのもう一人の賊が叫ぶと剣を必死で振り回す

 「うぎゃぁ~!」

ポチの一撃で上半身が無くなる


 「えっ! なになにっ!! どうしたのっ!」

薄暗い部屋の中でアデレーナは状況が掴めずに混乱している……私がライティングの呪文を唱えて周りが明るくなると、血塗れで遺骸が散乱した部屋を見て呆然としている


 「あっ! ポチっそこで気絶しているのは食べちゃダメたよっ」

私がポチに言うとがっかりしたように床に散らばった賊の遺骸を食べ始めた


 「とりあえず、気が付いても暴れたりしないようにしないとね」

私が床で気絶している族の一人を見て言う


 「ロープ持ってきますね」

そう言うとアデレーナは居間の方に行く


 深く被ったローブを外すと若い女性だった……

 年の頃は身長は170センチぐらい二十歳前後で黒髪のショートヘアでガッチリとした鍛え上げられた体つきだった……"胸の大きさは並みか……"と心の中でいつもの査定する


 気の毒だが暗器あんきを隠し持っている可能性があるので身包み剥いで裸にするとロープで両手両足を縛り上げて舌を噛んで死なないように口に布を噛ませる……若い女性には流石に可愛そうなので毛布を掛けてあげる


 暫くすると、気が付き予想通りに暴れ出す

 「はひもははふこほははひ⇒ "何も話す気は無いっ! さっさと殺せっ!"」


 聞き取りにくいがそう聞こえる、そして激しく暴れる……余りに暴れるのでかけられていた毛布が取れてしまうと自分が丸裸だということに気付く

 「おほへはふははふはへははほははへ⇒ "おのれっ! こんな辱めっ! さっさと殺せっ!"」


 顔を真っ赤にして激しく暴れると態勢を崩して横に倒れてしまう……更に恥ずかしいかっこうになってしまう

 「くうっ!」

恥ずかしそうな声を上げると黙り込んでしまった


 「他の2人は気の毒だったけど、貴方を殺す気は無いよ」

私が倒れている彼女を起こしてあげると


 「……」

何も言わずに物凄い形相で私を睨んでいる


 「事情を話してくれるのが一番いいんだけど……無理だよね……」

 「仕方が無いな……アデレーナ出番だよっ」

私がアデレーナを呼ぶと耳元でヒソヒソと話をする……その姿を彼女は不安そうに見ている


 「貴方は誰、名前は、何の目的で何処から来たの」

と私が問いかけるが完全に無視している


 「どう、アデレーナ分かった」

と私がアデレーナに問いかける


 「はい! 今の質問は全て分かりました」

そう言うとアデレーナが話始める

 「彼女の名前はカリナ・アビレス、十八歳」

 「ダルキア帝国の特殊部隊第二軍所属の第十二隠密隊の隊員」

 「目的は"剣とランプ"の奪取と"衝立の女神"の暗殺」

アデレーナの話を聞いているカリナの顔が青ざめていくと体がガタガタと震えだす


 「それでは質問を続けようか……カリナさん」

私がカリナに向かってニッコリと笑って言うと


 「ふぅふふひてふらはひおへほいひはふ⇒ "ひいっ! 許してくださいっ! お願いしますっ!"」

 「ほへいひよふほふひははいへふははひほほひてふははひ⇒ "これ以上は、もう聞かないでくださいっ!! 殺してくださいっ!!!"」

カリナは涙を流して懇願するがアデレーナは無表情で容赦なく彼女の心を読む


 「これ以上質問され秘密が露見すると裏切り者とされ家族の身が危険」

 「大切な人の命も守れなくなる」

 「もう、死ぬしかない」

 「ごめんなさい……セレスティナ、私、約束を守れなかった」

カリナは自分の心を完全に読み取るアデレーナの言葉に完全に気力を失ってぐったりとしている


 「アデレーナっ! もういいっ!! もういいよっ!!!」

 「これ以上すると彼女の精神が崩壊してしまう可能性があるからっ!!!」

カリナの状態を見てこれ以上は危険だと思いアデレーナを止める


 「どうして止めるんですっ! このおんな、エレーヌさんを殺そうとしたっ!!」

 「私からエレーヌさんを奪おうとしたんですよっ!!!」

 「許せないっ! 絶対にゆるせないっ!!」

 「このおんなも分かっているんですっ! 私がセレスティナって人を殺そうとしたらどうするか」

涙を流しながら憎悪をむきき出しにし狂ったように言う……こんな取り乱したアデレーナを見るのは初めてだった


 「ごめんっ! 心を読ませたりしてっ!! もういいのっ!!!」

私はアデレーナを抱きしめると……自然と涙が溢れ出てくる

アデレーナの呼吸が落ち着いていくのが分かる……私はアデレーナを見て真剣な表情で言う

 「アデレーナ……この状況で、お尻撫でるの止めてくれる……」

アデレーナの手はしっかりと私のお尻を撫でていた


 「……ワザとじゃないんですっ!」

 「いつも、たまたま丁度いい位置にエレーヌさんのお尻があるんですっ!!本当ですっ!!」

アデレーナは顔を引き攣らせながら必死で言い訳をする


 その様子をカリナが唖然とした表情で私たちを見ている事に気が付くと……アデレーナがニヤリと笑いカリナの前に堂々と立つと

 「そうよっ! 私とエレーヌさんは、貴方の想像通りの関係よっ!! 」

 「ふぅ~ん……貴方もセレスティナさんてひととそういう関係なんだっ!!」

 「うんうんっ! 素直に反省しているようで結構ですっ!!」

カリナの心を読んでニヤニヤしながら言う……

私、抜きで勝手に話が進んでいく、すると


 「私、この人許しますっ! じつは結構、素直でいい人です」

アデレーナの態度が急に変わるり口の布を外してあげると……カリナがびっくりした表情をする


 「私の負け……もう、打つ手なし……」

 「本当に神様みたいなのね……」

カリナはそう言うと表情が柔らかくなった

 「本当に人の心が読めるのね……貴方が"衝立の女神"なの……」

カリナはアデレーナの方を見て言うとアデレーナが首を横に振る


 「違いますよっ、私はアデレーナと申します、だたの修道女です」

 「……"衝立の女神"はこの方です」

アデレーナはそう言うとわたしの方を見る……カリナも同じように私の方を見る


 「……この人が……"衝立の女神"……なの……本当に"女神"なの」

 「胸も全くないし……どこからどう見ても、男にしか見えないけど……」

私をまじまじと見てから真剣な表情でボソッと言った……それを聞いていた、アデレーナの表情が引き


 「ねぇ……アデレーナ、このおんな……やっぱり、少しお仕置きが必要なんじゃない」

 「そう思わない……思うわよねっ!」

薄ら笑いを浮かべる私を見ていたアデレーナが焦る


 「エレーヌさんっ! こらえてっ! こらえてっ!!」

必死で私に自制するように言う

 「貴方もっ、ちゃんとエレーヌさんに謝りなさいっ!!」

とカリナにも必死で謝るように言う……それを聞いてカリナは……


 「私は、何も謝ることなど言ってはいない……」

 「何なら、私の心を読んでもいい……」

カリナが堂々とした態度で言う


 「あわあわあわわわ……あああああああ!……」

アデレーナは完全にパニックに陥っている


 「"カリナさん"……長旅で疲れたでしょう」

 「かる~く、全身電気マッサージしてあげるねっ!!」

私はそう言うとニッコリ笑った……それを見ていたアデレーナはカリナに最後のお祈りをした


 「えっ……全身電気マッサージ……なにそれっ」

とカリナが言い終わったと同時に私は魔法を容赦なく発動した


 「ひいっ! あっ! なにコレ! あんっ! そんなところっ!」

「あひっ! ぎゃ! やんっ! ちょっと待ってぇ! ひゃ! めへっ! てぇ!」

容赦なくカリナの局所を襲う……すっ裸で両手両足を縛られたままカリナは悶絶している

 「ひぎゃ! あふっ! ひゅ! るぅ! しぃ! てへぇ!」

 「そこはっ! セレスティナ以外のひとはダメっ!!」

 「ひへっ! うぐっ! もふっ! ひゅ! るぅ! しぃ! てへぇ!」

カリナの懇願もむなしくお仕置きは続く……


 「根性ないわねっ! 隠密がこれぐらいで弱音吐くんじゃないわよっ!」

 「次行くわよっ!!」

そう言って床でピクピクしているカリナをうつ伏せにすると

 「結構、いい体してるわねっ! 良く鍛えてあるのねっ!!」

そう言うと私は、御自慢の究極指圧術を施術する、当然、アデレーナの時の様に手加減は一切しない


 「何すんのっ! このエロおやじっ! 汚い手で触るなゲス男っ!!」

カリナが私に罵声を浴びせる……


 「痛いっ! ちょっと止めて、ひぃっ! ううっ! あっあっ! 」

当然、指先電気マッサージ付きで凝っていそうなところを押しまくる

 「あひっ! あはんっ! ああっ! もうっダメえっ! そこっ!気持ちいいーっ!!!」

私の口元が緩む……カリナの体の力が抜けていく"落ちたっ"私は手応えを確信した

 

 その後も容赦なく体中を押しまくる

 「ひっひっひっ……ひゃめてっ! ダメっ~!」

そう言うとカリナは動かなくなってしまった


 「あれっ……動かなくなっちゃったよ……」

 「どうしたんだろう……」

私が動かなくなったカリナを見ていうと


 「……あの……カリナさんっ……完全に昇天しちゃってます」

アデレーナば顔を真っ赤にして私に言う

 「見てください……この幸せそうな顔……なんか腹立ちませんかっ!」

 「連続でアレを喰らったらこうなりますよね……変な癖にならなければいいんですけど……」

そう言いながらカリナに毛布を掛けるアデレーナに


 

 「教会には賊は三人で三人ともポチのエサになったと報告してほしいんだけど」

私はアデレーナにそう言うと


 「別にいいですけど、この人の事どうするんですか」

 「この調子で下僕にでも調教するのですか」

アデレーナは真面目な顔で恐ろしい事を平然と言う


 「違うよっ! そうしないとこの子の家族や大切な人の命が危ないみたいだから」

 「それに……内通者がいるわよ……それも、かなり上の方の大物ね……」

 「だから、この子の事は私とアデレーナだけの秘密」

私がカリナを見て言う



 それから、五日後に神聖ノーワ帝国に送り込んだ忍びの者の作戦行動が失敗したことがダルキア帝国に伝わり、皇帝バルドゥイノに報告される


 「申し訳ございません……陛下……失敗いたしました……」

 「隠密でも特に優秀な者を送り込みましたのですが……」

 「全て私の不徳にございます……何なりと罰をお申し付けください」

そう言うと帝国軍総長のカリストが床にひれ伏す


 「よい……お前の罪は問わぬ、本物の"衝立の女神"ならば当然の結果よ……」

 「死んだ者の家族には十分な褒美を与えよ、もう下がってよい……」

皇帝バルドゥイノは淡々と言うと帝国軍総長のカリストは立ち上がり深々と頭を下げて玉座の間を出て行った


 それから間もなく、セレスティナにもカリナの死が伝えられた


 「カリナーっ!!!」

幼い頃に買ったお揃いのお守りを握りしめ 泣き叫ぶセレスティナ……小柄な少女の悲痛な叫び声は神聖ノーワ帝国で生きているカリナの耳に届くことはない


第十三話 ~ 終わり ~

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る