第12話
第十二話
窓から光が差し込んでいる……
外からは小鳥のさえずり声が聞こえてくる……
「これが朝チュンってやつか……」
独り言を呟く
隣には裸のアデレーナが気持ちよさそうに寝ている
"あ~あ~……ヤっちまた……"と心の中で背徳感に苛まれるが
幸せそうに寝ているアデレーナの顔を見ていると
"まぁ~いいか"と思える私であった
"それにしても……デカイ乳だな~"
寝ているアデレーナの立派な胸を見ていると、じわじわと殺意が湧いてくる……
寝ているアデレーナを起こさないようにベッドから出ようとすると
「うわっ!」
ベッドのすぐ下にポチが寝ていた……危なく踏むところだった
「……なんか……こいつ、前よりデカくなってない……」
ポチを踏まないように注意してベッドから出ると裸のままで居間の方に行く……
テーブルに置かれていた手鏡を手にすると体にアデレーナのキスマークが付いているのがわかる……
「うわ~、そこら中にキスマークついてるよ……」
自分の体を見て少し驚いた……
なんだか、体がベトつくし……それに……アソコがちよっと痒いし……
「温泉にでも入るか……朝風呂って気持ちいいし……」
独り言を言うと温泉の方に歩いていき温泉に浸かる
「あ゛~! 気持ちいい~生き返るっ!!!」
お湯に浸かりボ~っとしていると、昨日の夜の事が脳裏をよぎる
"アデレーナって柔らかくて、スベスベで……けっこう……抱き心地良かったな……"
"特にオッパイの揉み心地は……私って何変な事考えてるんだろっ!"
昨日の感触が残っている手を見ながら独り言を心の中で呟く
"にしても……アデレーナのやつ……そこいら中、容赦なく舐め回すんだから……"
"いくら何でもやりすぎよ……あんな所まで……"
"少しは手加減してもいいのに……イッちゃ……"
突然ガタガタという音がする……驚いて途中まで言いかけて止める
「エレーヌさんっ!」
「そこにいたんですか……良かった……」
「起きたら、居なくて……どこかへ行っちゃったのか心配で……」
そう言うと涙を流す
「ごめんっ! アデレーナが気持ちよさげに寝てたから……」
「その……起こしちゃ悪いと思って……」
私は慌てて説明する
「もうっ! ホントに心配したんですよっ!!」
少し安心したのかその表情はさっきより緩んでいた
「朝から温泉に入ってるなんて……私も入りますけど……いいかな」
そう言うと温泉に入ってくる
「エレーヌさんっ! 体中に何か赤い斑点がありますけど……」
アデレーナが驚いてる
「……アデレーナが……跡だよっ……」
私は恥ずかしそうに言うと
「私ですか! なにか酷いことしましたか……」
びっくりしたようにアデレーナが言う
「昨日……アデレーナが吸ったの……跡になってるのよ……」
「その……キスマークってやつよ……」
私が俯いて恥ずかしそうに小さな声で言う
「きっ! 昨日は、その……初めてだったので、無我夢中で……」
「痛かったですかっ!」
アデレーナも俯くと顔を真っ赤にして言う
「そんな事なかったよ……どちらかと言うと……」
「気持ち良かったかな……」
アデレーナを心配させないつもりで言ったのだが、すぐに恥ずかしい事を言った気が付き自分の顔が火照るのが分かる
二人して黙り込む……なんだか、気まずい空気が流れる
「それって消えるんですか」
沈黙を破ってアデレーナが小さな声で言う
「多分……数日で消えると思うよ」
私は、キスマークの部分を手で触りながら言う
「なんだ……消えちゃうんだ……安心したけど、ちょっと残念……」
「私の"愛の刻印"なのに……」
アデレーナが呟くように言う
「"愛の刻印"って……」
「それより……いいの……その……あんなことしちゃって」
「アデレーナって"聖女"なんでしょう……ダメなんじゃないの」
私がアデレーナの方を見て心配そうに言うと
「大丈夫ですっ! 相手が女性ならノーカンっ!ノープログレムっ! 全然OKですっ!!」
「それに、もう"異界の門"も封印済みですから、そんなもん用無しですっ!」
そう言うとアデレーナは胸を張ってデカイ乳を揺らせる
「例え問題が無くて……もう……ああいう事は止めておこうね……」
私が照れ臭そうに言うと
「えーっ!!! 嫌ですよっ!!!!」
びっくりするような大声でアデレーナは拒否する
「だって、凄く幸せな気持ちで身も心も満たされて……本当に幸せだったんです!」
「あれは、完全に神の与えたもう"幸福の極致"ですっ!!!!」
「今は、教会の修道女の"愛"の形が何なのか理解出来ますっ!!!!」
アデレーナは握りこぶしでニヤつきながら力説する
「あのね……アデレーナ……それって、"快楽に身を任せる"ことで"堕落する"の間違いだよ」
「"聖女"様がそれじゃ……まずいんじゃないの」
私が横目で言うとアデレーナは黙り込む
「そっ……そうとも言いますがっ! 違うんですっ!!」
アデレーナの声が少し震えている
「わっ! 私は、ただ、エレーヌさんの事を……体を捩じらせ可愛い声でよがせるのが好きなだけですっ!!!」
「神に誓って、この気持ちに嘘偽りはありませんっ!!!」
堂々と胸を張り言うが……暫くして、自分の言ったことがむちゃくちゃに恥ずかしい事だと気が付いたようで、顔が真っ赤になる
「……もう……その事は忘れて……お願い……」
私が震えるような小さな声で言う
「そんなのっ! 無理です……あの時のエレーヌさんって凄く可愛いんですよっ!」
「凄くイケメンなのに凄く可愛いよがり声で体を捩じらせて……その時の表情がまた
アデレーナは嬉しそうに鼻息を荒くするが……ハッと我に返ると途中まで言いかけて止める
「う~ブクブクブク」
私は恥ずかしさのあまり温泉の中に沈んでいく
「……温泉出たら、朝食にしましょう」
「私、先に上がって用意しますね」
そう言うとアデレーナはそそくさと温泉を上がって行ってしまった
「……アデレーナって、やっぱり……そっちお方なのか……」
「何となく、そんな気はしていたけど……」
じつは、私も何か失ったものを取り戻せたような気がしていたのだった
それが何だったのかを知るのはもう少し後の事である
私が温泉から上がって居間の方に行くとアデレーナが朝食の用意を終えた所だった
何だか、アデレーナの顔を見るのが恥ずかしい
「用意が出来たので食べましょうか……」
私は頷くと椅子に座った
「私は今日は、"異界の門"の事を教会の大司教様に報告に参ります」
「エレーヌさんはどうします、一緒に来ますか」
アデレーナが何もなかったように私に問う
「私も教会に一緒に行くよ」
「あれはどうするの」
私も変に意識しないように石柱の入った箱と剣とランプの方を見る
「両方とも得体が知れないので、とりあえずここに置いておきましょう」
「ポチに留守番をしてもらうつもりですから」
アデレーナは、いつの間にか足元で寝ているポチを見て言う
「なんか、ポチ……前より大きくなってない」
と私がポチを見て言うと
「そうですね……進化する前兆なのかもしれません」
アデレーナがポチを見て言う
「聖獣の生態は分からないことが多いですから」
「この姿になった時もいきなりでしたから」
それを聞いていた私は、まるでポ〇モンみたいな感じなのかなと思った
食事を食べ終わると聖都に向かって歩き出す
「聖都ってなんていう名前なの」
私が以前から思っていたことを聞くと
「聖都は"聖都"です……それが名前です、固有名詞のような物です」
とそっけなくアデレーナが答える
直ぐに聖都の裏門が見えてくると門番の兵士が二人出迎えてくれた
「アデレーナ様ですね……どうぞ、お通りください」
そう言うと前と同じように道を開けてくれる、もう一人も門の端に身を寄せた
「ご苦労様です……」
とアデレーナが無表情で言うと足早に通り過ぎる、アデレーナは妙によそよそしい……そういえば前に来た時もそんな感じだったな
「どうしたの何だか、アデレーナらしくないよ」
疑問に思い問いかける、アデレーナは暫く黙っていたが私のそばに来ると小さな声で話し出した
「以前にも言いましたが、私は人の心がある程度読めるのです」
「裏門の門番をしている兵士の心も例外ではありません」
暫く黙っていたが、更に小さな声で私の耳元で呟くように話し出す
「男の人ってエッチな事ばかり考えているんですよっ!」
「今だって、内心は私の胸を見て"いつ見てもいい乳してるな~"とか考えてました」
「おかげで私は男性不信です……因みに、もう一人の兵士さんはエレーヌさんの事を男だと思ってましたよ」
「その兵士さんは"私とエレーヌさんはエッチな関係なのか"と考えてました」
と耳元で少し笑いながら言う
「アデレーナさん……貴方も凄くエッチだと思うよ」
とアデレーナの耳元で囁くと
「……そんな事……少し……だけならあるかな……」
「何にせよ、こんな私にはエレーヌさん以外の人は考えられないんです」
そう言うと私の手を握った、私にはアデレーナの苦悩を実感した出来事だった
アデレーナは、特異な能力の所為で一年以上も森の奥深くで一人っきりで過ごしていたから人恋しくなるのは当然で、偶然に出合った私が神の啓示であった"衝立の女神"だった
そして、私が心が読めない唯一の人間で性別が女だっただけの事なのだと思うと……何だか、悲しいなぁ……
教会に着くと大司教テオドラに"異界の門"と"異形の者"の事を話す
「そうですか……"異形の者"どもにこの世界への侵略の意思は無いというのですね」
「そして、"異界の門"は"衝立の女神"様が再び封印なされたと」
テオドラは考え込むように言うと
「最後に"異形の者"が言い残した言葉が気になりますね」
「その者たちから受け取った石柱と剣とランプの管理は貴方達に任せます」
「よくやってくれました、そして報告ご苦労様でした……」
「この事は、私から兄に話しておきます……暫くはゆっくりとしなさい」
そう言い残すとテオドラは席を立とうとする
「あのっ! テオドラ様っ! お聞きしたい事がありますっ!」
私は、思わず席を立とうとするテオドラを呼び止める
「何でしょうか……"衝立の女神"よ」
少し驚いた様子で私を見る
「アデレーナの事なのですが……"聖女"の役目はもう終わったのでしょうか」
と私が問う、アデレーナが呆けたように私を見ている
「そうですね……"異界の門"の件については終わったと言えます」
「しかし、アデレーナの特殊な能力は今後も必要となるかもしれません」
「ですから、"聖女"であることはこれからも変わりません」
テオドラの言葉に私が少し失望したような表情になったのを感じ取ったのか
「でも……少しぐらいなら自由にしても良いと思いますよ」
微笑んで、そう言いうと部屋を出て行った
「"少しは自由にしていい"って微妙な言い回しだね」
テオドラが部屋を出て行くのを見送りながら言う
「それでは、少し自由にさせてもらいましょうか」
「森の小屋に戻りましょう」
そう言うとアデレーナは私の手を引く
「もういいの……まだ、来たばかりだよ」
私が戸惑うように言うと
「いいんです……ここは、
そうアデレーナが不機嫌そうに言う
「
私が不思議そうに言うと
「エレーヌさんの事、狙っている
「ここに来るまで何人かの修道女とすれ違って挨拶しましたが」
「エレーヌさんに……その……とにかく危険ですからすぐに出ましょう」
そう言うと足早に出口に向かう
「あら、アデレーナ様っ!」
後ろから声がする、振り返るとそこにはアレクシアが立っていた
「いつ、お戻りになられたですか……気付きませんでした」
そう言うと私とアデレーナをジッと見る
「アレクシアっ!……あっあっ貴方っ!! 何て事をっ!!!」
急にアデレーナがアレクシアに向かって言う、顔が真っ赤になっている
「どうかなされましたかっ! アデレーナ様っ! お顔が真っ赤ですよっ!!」
「どこか、具合でもお悪いのでは……」
心配そうにアデレーナに問いかける
「べっ別にどこも悪くはありません」
そう言うと大きく深呼吸をする
「心配をかけて申し訳ありませんでした」
不思議そうにしているアレクシアに、いつものアデレーナに戻って挨拶をする
「それでは失礼いたします」
そう言うと更に足早に歩き出す
「どうしたのっ! アデレーナ……なんか変だよ」
私が心配して言うと
「あの娘ったら……もう……なんて事を考えてるのよっ!!!」
ブツブツ言いながら歩いている
「もうっ! 本当にっ!! ここの女どもはっ!!!」
もの凄く不機嫌そうなので私は何も言わずにアデレーナの後に付いていった
教会を出ると裏門を通り抜け森に入るとアデレーナは私に話しかける
「どうしましょう……何だか私……以前よりも人の心が読めるようになっているみたいなんです」
アデレーナが困惑したように言う
「そうなの……私の心も読める」
と尋ねるとアデレーナは首を横に振った
「私の心は読めないんだ……」
私は内心ホッとした
「たぶんですけど……エレーヌさんとヤっちゃったからじゃないかと……」
「よく考えてみれば、エレーヌさんって"神"なんですよ」
「私って神様とヤっちゃったんですよ……なんて、大それたことをしちゃったのかと」
アデレーナが頬を赤らめながらも不安そうに言う
「そう……なんだ……」
「アデレーナの能力って自分でコントロールできないのかな」
私が考えながら言う
「そんな事考えもしませんでしたけど……出来るんでしょうか」
「出来るならやってみたいです」
アデレーナが期待の眼差しで私を見る
「小屋に帰ったら一度、魔力制御の訓練してみる」
私が言うと
「はいっ! やりますっ! やせらて下さいっ!」
そう言うとアデレーナは早足で歩きだし、私も早足で追いかけた
小屋に帰るとポチが出迎えてくれる
「クォ~ン」
と小さく鳴きながらアデレーナに近付いていく
「いいわよ……いってらっしゃい」
アデレーナがそう言うとポチは森の中に姿を消した
「ポチどうしたの」
私がポチが消えていった方を見ながら言うと
「お腹が空いたみたい……本当に進化するかもね」
「前に進化した時もやたらとお腹が空いたみたいだから」
「猪か鹿の3~4頭も食べれば戻ってきますよ」
アデレーナは、まるでポチの言葉が分かるかのように言うと
「そんな事より、早くヤりましょう」
目を輝かせながら私を見る
私は、アデレーナの"その言いまわし方……なんか嫌だな……"と思いながらも
早速、魔力制御の基本の精神修行の初歩をレクチャーする
「こうして、足をこうっと……」
アデレーナに座禅を組まそうとする
「痛っい! 痛いですっ! 足がっ! 足がっ!」
座禅を組むのは初めてのアデレーナは物凄く痛がる何とか、座禅を組ませた途端に
「ひっ! あっあ~っ!! 足がっ
目に涙を浮かべて
「仕方が無いな~」
と言って私が
「ひぎぃ~っ!! 死ぬっ! 死んじゃう~!!」
悲鳴を上げてのたうつ
「ん~……座禅は無理か……仕方が無いな正座にしようか」
うつ伏せになって果てているアデレーナを見て言うと正座の仕方を教える
「これなら、大丈夫です」
「こんな座り方で何するんですか」
そう言うと不可解そうに私を見ている
「そのまま、姿勢を伸ばして目を閉じて、無心になる」
と私も正座を組んでお手本を見せる
「"無心"ですか……何ですかそれ……」
アデレーナに"無心"という意味が分からないようだ
「どう言ったらいいのかな……何も考えずに……」
「そうそう……何も願わずにお祈りする感じかな」
アデレーナは、私の言っている事がどうもよく分からないような表情をしてる
「"何も願わずにお祈りする感じ"ですか……」
「分かりました……一度、やってみます……」
そう言うとアデレーナは目をつぶって呼吸を整える……背筋も伸びて中々、様になっている流石は聖職者だけの事はある……が、暫くすると震えだす
「あっ足がっ! 足がっ! 痺れるっ!!」
そう言うと足を投げ出す、私はその足首を手で掴むとポンポンと叩く
「あひっ! やっ止めてっ! ひぃ~っ!!!」
「もうっ! 勘弁してくださいっ!!」
目に涙を滲ませてのたうつ
「う~ん……これもダメか……」
「仕方がないか……アデレーナが一番リラックス出来る態勢でいいよ」
そう私が言うとアデレーナが私の方を見る
「あの~、エレーヌさん協力していただけますか……」
そう言うと私にベッドに座るように言うと私の膝を枕に寝そべる
「あ~! リラックスする~っ! 」
そう言うと私の膝に顔を摺り寄せる
まあ、"これで何とかなるならいいかな"と思ってたら、アデレーナの手が私のお尻を撫でる
「アデレーナっ! ダメっ! それ邪心だよっ!!」
「ちゃんと"無心"にならないと」
そう言うとお尻を撫でている手を
「痛っ! ケチ……少しぐらいいいじゃないですか……減るもんじゃないのに……」
ブツブツ文句を言いながらも呼吸を整えると静かになった
「うんっ その調子いい感じだよ……」
「膝の上のアデレーナの顔を見ていると表情が凄くリラックスしている」
「……が……やっぱり、寝てるかな……こいつ……」
少し前の私なら迷わずそのデカイ乳を掴んでやるところだが、今はこのままでいいかと思った
安らかに眠っているアデレーナを見ていると私も眠くなってくる
アデレーナを起こさないようにベッドに寝かせると私も隣で眠りに就いた
その時、石柱の入った箱が僅かばかり動いた事などに私は気付きもしなかった
第十二話 ~ 終わり ~
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