お稲荷さま
翌日、朝から吉川四姉妹は、待ち合わせのバス乗り場に立っていました。
カジュアルな格好をした四人、とんでもない美少女揃い、最早この町の有名人でもあります。
なかでも上の二人は、他を圧倒するほどの美人さん、しかも近寄りがたいオーラを発しています。
この二人に親しく話しかけられる者は、ほとんどいないのです。
聖ブリジッタ女子学園山陽校では女神といわれています。
ちなみに下の二人は妖精といわれているようです。
そこへクリームヒルトのお友達、三名がやって来ました。
よく見ると、健康的な美しさを漂わせています。
吉川姉妹がいなければ、かなり目立つ存在なのですが……
最後に稲田先生がやって来ました。
「吉川茜です、今日は妹たち共々、お誘いいただきありがとうございました」
「また、いつもクリームヒルトが、ご迷惑をかけています」
「いえ、そちらが美子さんで、こちらがヴァランティーヌさん?」
「吉川美子です、今日は宜しくお願いします、ヴァランティーヌ、ご挨拶は?」
「吉川ヴァランティーヌです、よろしくおねがいします」
バスに一行は乗り込み、お宮まで……
この町には有名な仏教系の稲荷があります、どうやらそのお寺が目的地の様です。
お宮では無いのでは……
バスの中で、稲田先生がレクチャーしています。
「お稲荷さまは仏教系と神道系があります、元々は神仏習合だったのですが、明治の神仏分離で別れたのです」
「神道では稲荷社、その神様は宇迦之御魂大神(うかのみたまおおかみ)様、仏教では荼枳尼天(だきにてん)様をお祭りしています」
「いまから行くお稲荷様は仏教系、しかも明治の廃仏毀釈に会わなかったところです」
美子姉様が難しい顔をしているのが、クリームヒルトにはわかりました。
なぜ……そんなに難しいお顔をされているのかしら……
茜姉様はわくわくしているようなお顔ですし、ヴァランティーヌも同じような雰囲気です。
美子姉様が、
「ヴァランティーヌ、遊ぶのは程々にしてね、わかっているでしょう?」
「オフ・コース」
と、返事したヴァランティーヌ、額を抑えた美子姉さんでした。
クリームヒルトが、
「ヴァランティーヌ、美子姉様を困らせてはいけないのよ」
「分かっています、クリームヒルト姉様、心配は無用です!」
額を抑えたクリームヒルト……近頃、仕草も似てきているようです。
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