第9話 デスヨネー!

次の日の学校は少し慌ただしいものだった。

臨時の全校集会が開かれて、高藤先生の逮捕の話が行われていた。

口外するような事はしない事や退学となった生徒が居ても

詮索などしないと言った注意がさていたが焼け石に水だろうと思う。

マスコミこそ来なかったが学校内では話題騒然と言った所だ。


ただ、うちのクラスではその話はあっさり打ち切られた。

と言うのも、源 朱里が一言。

「そういう話はやめにしましょう」

とクラス中に向かって言った為だ。


クラスカーストどころか学年カーストトップのグループの

リーダー的存在が言えばクラスでその話は聞こえなくなった。


裏では何か言っているかもしれないが。


深読みはしたくないが、立花さんが昨日の被害の話を源さんにした可能性がある。

内容が内容だけに口外しないように言われていたはずだが・・・。

人の口に戸は立てられないと言う事だろう。

ただ、これは源さんが知った事で本気になったとも言える。

良し悪しだが、今回は良い方に向かっていると思っておこう。


数日するとそんな話もなくなりいつもの日常がやってくる。

警察沙汰だったにも関わらずマスコミ報道されず、

何処からもそんな話が出ないのだから噂で終わってしまったのだ。

恐らく裏取引で叔父さんが手をまわしているのは間違いない。


それよりも源 朱里が僕にあいさつをするようになって大分立つが、

それ以上の事もなく平和な事が一番だった。

夏休みまでもう少しと言う所で源さんは僕に挨拶以外の事を初めて言った。


「あの、橋場君。私達って友達だよね?」


「えっと・・・そうなるのかな?僕とはあまり親しくないけどね」


まぁイケメンの親友であるコウキとの繋ぎが欲しいのだろう。

ある程度は協力するのはやぶさかではないが、

コウキが嫌がったらそれまでだ。多分、バッサリ行くと思う。


「そ、それでね。

 できればアプリIDの交換とかしない?

 その連絡とかしたいし?」


「それくらいなら、いいよ」


とIDをお互いに交換してテストでメッセージを軽くやり取りしてみる。

ちゃんと届いた所で、


「コウキのIDも必要なら教えるように言うけど?」


「へ?遠海君?なんで?」


「僕の親友だし・・・ほしいかと思ってたんだけど?」


ちがうの?


「ん?ちょっと待って。だったら私の親友のもあった方が良かったり?」


ん?

源さんの親友は確か立花さんだった気がする。

あの事件以来、顔をまともに合わせては無い。

もしかしたら声や顔でバレる可能性があると考えたからだ。

明らかに別人レベルでの変装でもどんな事でばれるかわからない。

だから近寄らないに越したことはない。


「えっと・・・それはどちらでもいいかなと」


当たり障りなく、やんわり断り気味にしてみた。


「そう。それなら後で裕香と相談してメッセ送るよ。

 その、ちゃんと返事返してよ?」


「わかったよ」


まぁ何かしらの返事くらいは返すと思う。

大抵はコウキ関連の事を聞かれそうだが。

イケメンさんはモテますねぇ。


「それと、夏休みとか暇な時あるの?

 ホラ、バイトとかしてると連絡しづらいし?」


源さんは僕に何を連絡するつもりなのだろうか。

アルバイトの斡旋でもしてくるつもりか?


「アルバイトの予定は無いよ?でも用事とかはたまにあるかな」


まぁ「ショウ」の仕事がたまに入るくらいだ。


「そ、そうなんだ。       よかった」


最後は聞き取れなかったが、何か喜んでる風ではある源さん。

まぁここだけ見れば惚れてしまう男が大勢いるのは理解ができる可愛さだ。

この会話の目的がコウキ目当てだと分かっている僕にはまったく響かないのだけれど。


そしてその日の夕方にメッセージが届いた。


「その、遠海君って彼女とかいたりするのかな?」


まぁ予想通りだった。

正直、デスヨネー。って言いたかったけど。

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