第6話 コミュ障じゃないんだからね!
携帯の会話アプリを開き睨むように眺めている。
宛先にある「橋場」とアプリのグループを作成しようと思うと手が止まる。
グループ名を友達にするべきなのかどうがだが・・・
他人に見られた場合も考慮すると・・・
しかもこのグループは二人きり・・・
ああ、よくわかんない!
混乱で思考がうまくまとまらない。
それとフラれて友達宣言したあの日から3日が経っている。
アプリじゃなくてもメールでやり取りするとかの方法もあったかもしれなかった。
が、
音信不通が3日もあればどう話せばいいかすらわからない。
ていうかふつう、男子が先に送ってくるものじゃないの?
というか、地味な彼自身は多分、女慣れなんてしてはいないのだろう。
そう言う所にまるで配慮がない!ちょっとイラっとする。
「3日放置とか・・・ありえない!」
当然のように自分の事は棚上げではある。
まったくもう。
と唸っていたらメッセージが来た。
「めっちゃ怖かった(( ;゚Д゚))ブルブル」
「いや、どうしたのよ?」
「なんか京ちゃんの学校の不良に絡まれたら」
「たら?」
「もっと怖いのが出てきた!(( ;゚Д゚))ブルブル」
「意味が分かんないんだけど?」
「今日ね。放課後デート行くっていったじゃん?」
「そうね。私放置で良いご身分だこと」
「デート中に彼の高校の不良4人が絡んできて」
「絡んでってちょっと怖いわね。うちの学校は不良とか居なくてよかった」
「そんなのんきな話じゃないって。それでなんか強制連行されそうになって」
「へー」
「それから彼が身を挺して私を庇ってくれて惚れなおしちゃった( 。・・。) ポーッ」
「のろけかぁ(-_-メ)」
「実際、ほんとゲキヤバだったんだから!」
「まぁ無事で何よりだよ」
「それがここからが怖いんだってば!金髪のアブナイ人が出てきて
絡んできてたその高校の4人の内二人を瞬殺しちゃって・・・」
「瞬殺ってそんなマンガみたいなw」
「追っ払ってくれたんだけど・・・
その後私その金髪のアブナイ人に連れて行かれそうになって
まぁそこでも庇ってくれたんだけどキュン死するとこだたけどね」
「いや、だからのろけか(-_-メ)」
「そしたら冗談だと言って逃がしてくれた・・・」
「何それ単にそのアブナイ人に助けてもらったって事じゃない」
「雰囲気ゲキヤバなんだって!絶対クスリとかやってそうだったもん」
「あれだなぁ。私の悩み放置で親友より男取った罰だとおもって忘れたらいいよ」
「なんか、根に持ってるし」
「だって、3日も連絡なしなのよ!どうすればいいのよ?」
「いや、ちょっとまって、あんたひょっとして結構マジだったりしたの?」
「はぁ?sそんなわkないし!」
「冷静にメッセージ打ててないわよ?」
「だ、だから、協力してもらって告白減らしたいだけ!」
「じゃぁメッセージ送ればいいじゃない?」
「そこはホラ。なんて言うかまずはお友達からって事になってるし
もうちょっと仲良くなってからじゃないと不自然っていうか?
うん、私は別になんとも思ってないけど?
間違って勘違いとかされても困るし?」
「あんた、めんどくさい女ね(-_-メ)」
「しょうがないじゃない!自分からアピるの初めてなんだから!」
「あーやっぱ橋場くん本命なの?ラブなの?」
「違うし!」
「なるほど。ではただの協力者とな?」
「近いけど・・・なんか違うかなぁ。
そんな事よりホラちょっとは仲良くなるためになんかアイデアプリーズ!」
「まずは朝の挨拶でもしてみたら?」
「はぁ?そ、そんなの恥ずかしいじゃん!
人前で挨拶とかこないだのテンパった私を忘れたの?
思い出したくないけど、記憶から消えないのよ!」
「いや、まだ3日だし盛大に振られたの知ってるし。
あのさぁ、いつも告ってくる男フル時みたいな感じでしれっと挨拶すれば?」
「え?あなたの事は好きじゃありません。別に好きな人がいますのでっていうの?」
「それ言ってどうすんの!挨拶をそんな感じでさらっとしたらと言ってるの!」
「な、なるほど?明日やってみればいいの?」
「まぁ、そのカミカミでもいいからさ、とりあえず一歩目進もうよ」
「分かった。明日頑張ってみる」
この日の決意を無駄にはしない!
そう思って次の日。
朝の教室を見回すと橋場くんはすでに席に居た。
地味な感じがする黒縁のメガネの男の子。
身長が高くなく隣のクラスの遠海くんが隣に居ると
彼の高身長イケメン具合でもう霞んでそうな感じすらある。
周りの女子も始業前に見たかったものが見れていて妙にテンションが高く見えた。
が。
私には使命がある。
コミュ障みたいだが橋場くんにまずは朝の挨拶を交わす事だ。
よくよく考えてみると自分からそんな事をするのは始めてた。
ドキドキと言うよりバクバクと鳴っている心臓が煩い。
緊張の中私は二人に近いづいて行き・・・
「お、オヒャヨう」
そして盛大に噛んだ。
とてもじゃないが橋場くんの方は見れないのでそのまま顔を逸らして
いくと遠海くんと目が合う。
一瞬ホカンとした顔をしたと思ったら、顔を伏せながら肩を震わせていた。
「プッ、おはよ、源さん。ククク」と返ってきたのは遠海くんからだった。
笑いは私にしか届かない程の小さなもの。
「あ、おはようございます。源さん。どこか調子でも悪かったですか?」
橋場くんも挨拶に加えて私が遠海くんを見て項垂れたのを見て気を使ったようだ。
気を取り直して、逃げに入る。
「大丈夫よ、問題ないわ」
そのまま自分の席へと座った。針のむしろだった。
すぐに始業のチャイムが鳴ったのでかなり助かったけど。
けど、朝のホームルームが終わるなりすぐに追及が来た。
「朱里、ってやっぱり遠海くん狙いだったねぇ」
「そうそう、今日のでかなりアピってたシ?」
まぁクラスの噂好きそうな
「このクラスのあの地味メガネクンだっけ?親友とか言ってたシ?
まずは馬から落としてってとこだったんでしょ?」
「わかるー、遠海くん告っても絶対断るらしんだよねぇ」
「探り入れるならそこからかぁ、あたしもそこまで気が付かなかったわ」
「もうコレマジで落とすきっショ朱里?」
「今朝のメッセバンバン飛んでるよwウケル」
「今朝の朱里の動画が出回ってて、めちゃくちゃカワイイってなってるよ?」
「恋する乙女が片思いで見つめる視線がイイとか」
「あっちにも付き合いなよ~的なの行ってるってコレ」
はぁぁぁぁぁぁあああああああああああああ?!?!?!?
どどどどどどどどうなってるの????
私の本命が遠海くんになってる?
そんな事一言も言ってないのに?
マズイ。マズイ。マズイ。マズイ。マズイ。マズイ。
何故か焦っている自分が居てその理由には思い当たらない。
ただ、それは違うと心が叫ぶ。
それに本当に付き合ってしまっても困るのだから。
「偽装」目的なのであって男子と付き合うつもりは無いのだ。
しかも、あんなイケメン困る。
パニックになった頭のままその日の学校は終わった。
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