第4話 10パッター!

「で、随分お疲れみたいだけど?」

「やっぱり、誰かと付き合っているとかの方がいいの?」

「え?朱里マジで好きな人いんの?」

「はぁ?い、いないし・・・」

「ニヨニヨ(*'ω'*)」

「ちょ、ほんとに居ないから!」

「ニヨニヨ( *´艸`)」

「そのね」

「好きな人がマジでいたのか!( ゚Д゚)」

「ちょ、いきなりなんで好きな人が居る事になってりゅの!」

「違うから、ただね。ちゃんと頼んだら偽装の恋人くらい

 やってくれそうな人が一人いる・・・かもと・・・」

「真実の愛じゃなかったかぁ~(/_;)」

「まぁうちの彼氏に朱里の写真見せて告られたらどうするって聞いたら」

「聞いたら?」

「お前がいなかったら速攻付き合うって言ってたw」

「のろけか!のろけだろ!」

「まぁ別に付き合いたい人が居るわけじゃんだよね?」

「単純に面倒なだけよ。ほんともう男って・・・」


と会話アプリでバンバン打っていく。


「でもさ、高校逆デビューしても良かったんじゃない?」

「・・・」

「中学の時があるからどうかと思ってたけど・・・酷くなった気がするし」

「・・・」

「で?どうして、その美形保ったままにしたのかなと?」

「告白するとね。うらやましかったのよ。裕香が」

「その可愛くしてればね。良い人見つけた時に確立上がると思ってたのよ」

「ちょ、まって。何その告白。うちの彼を取る気とかじゃないよね?」

「そんな訳ないよ!」

「ならまぁイイケド。羨ましねぇ・・・」

「なんて言うか多分心が通じ合ってる風なのがね」


羨ましいと。


「それでね。か、身体の関係とかはど、ど、どうなのかなとかね?」

「ブフーーーーーーー!!さっきまでの乙女回路はどこ行った!」

「だって気になるじゃない!心が繋がってたら身体もなのかなぁって」

「ノーコメントで!」

「幼馴染いいなぁ。私も欲しかったよ~」

「ちょ、あんたほんとに狙ってないよね?(-_-メ)」

「狙ってないってw私の幼馴染じゃないモン」

「そうね。朱里からすれば友達の彼氏か」

「うん、やっぱり告って余計で煩わしい事を減らそう!きっと分かってくれる」

「それ事前に言っとかなくていいの?」

「だって、相手のメルアドとか知らないし?」

「頭いいんだか悪いんだか・・・」

「良し、なんか行ける気がして来た!」


そして次の日。

実際気になる人ではある。

全く私に興味が無いのだろうけれど。

自信はあったのだがかなりてんぱってしまった。


「ねぇ。橋場くん私とお付き合いしない?」


かなり上から目線で言ってしまってしまったと思った。

告白の言葉をどうするか考えていなかったのだ。


「唐突だね。お断りするよ」


は?一瞬固まった。

断られたのだ。私は膝から崩れ落ちなかったがプルプル震えていたかもしれない。

ふり絞って出したのだが一応の確認のため。


「そう、私は振られたって事?」


「まぁ、そうだね。

 よく知りもしない人を好きにならないし、

 僕にそう言ったアプローチは無かったよね?」


ん?

そう言えば何かアピッた訳じゃない。

一方的に見ては居たけれど。

それも単に気になった程度で。

思うにこれは友達ルートで付き合ったという風に行けばいいのではないだろうか?

それ以外だと、このまま何の改善もなく無駄に恥をかいて終わってしまう。


「わかったわ、今日はこのまま引き下がるけど

 できればこれから友達になってほしいの」


「友達なら構わないよ。僕みたいな地味で面白みもない人間でよければね」


ふう。

何とかなったなと思う。

周りには私の好きな人が彼だと伝わっただろう。

告白の嵐から解放される日は近そうだ。


「ねぇ。大丈夫?」


裕香に言われて「ん?」と周りを見るとすでにほとんどの人が居なくなっていた。

ホームルームが終わり放課後すぐに告白しに彼の前に行ってからの記憶がちょっと曖昧だ。


「あれ?裕香?」


「うん、あたしだけど」


「橋場くんはどこに?」


「もう帰ったよ?さすがのあたしも何がしたかったのか解んなかったわ」


「え?だ、だから橋場くんのそのなんて言うか友達になって?

 その付き合ってるみたいな流れでもう告白減るかなと?」


言いながらよくわからない感じなったがどうも通じたっぽい感じだ。


「うーん、それはどうかなぁ。

 多分皆違う方向で納得してると思うから減りはするかもだけど・・・」


うん、これはまぁ50%成功って事なのかな?


「しっかし、朱里ってはかなりテンパってたね?」


「え?って、テンパってた?ひょっとして言動可笑しかった?」


「まぁフラれたの見たの初めてで面白かったけど!」


「あ・・・私なんでフラれたんだろう?」


「いや、言ってたじゃん。よくわかんない人と付き合えないって。

 だからお友達からって言ったんじゃないの?」


「わーーーなんか頭が真っ白だよ!どうなってんの?

 これからどうするべきなの?」


自分で何言ったのかさっぱり覚えていない。

いや、フラれたのはうん覚えてるけどそこから・・・。

どうなった?


「いやいや。まぁ落ち着くためにもとりあえず部活一緒にいく?」


「うん。そうする。今日は何だっけ?」


「多分、今日はお菓子作りよ?」


ああ、作ったらお茶会になるケースかなぁ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る