第3話 チョロくなんだからね!

告白されることは多々あった。

だけれども、すべて見た目で判断されての事だろう。

美人と言われればそうなのだろう。

親からもらった容姿に磨きをかけてより一層努力した。

中学の時には言い寄ってきた男子が多くて困った。

一度付き合って見たがすぐに体を要求するのですぐに分かれた。

そう言う事が数回続き、今度は敵視された。


モテすぎるとこういう事にもなると言う事だ。

そんな事を子供ながらに悟ってしまった。


で、周りで敵視するのは振った男の関係者達だ。

仕方ないので女子を味方につけるべく、ICレコーダーの情報を開示。

最後の一人で何とか証拠を押さえていたのでギリギリでいじめを回避した。

その事もあり、まず告白されるのではなく、

好きな男の子に告白してみる事にした。

周りの女子にその事をちょっと相談してみる。


「あのね。その好きな人が居たら皆どうするの?」

「え?朱里って好きな人いるの?」


友達の一人が聞いてきたが恥ずかしくなったので言葉を濁した。


「いや、例えば!例えばの話!」

「例えねぇ。まぁ朱里がそう言うならイイケド?」

「で、みんなどうしてるの?」

「まぁ、男も女も同じっしょ?」「チョクで告ってみるトカ?」

「あとは紹介してもらうとかが多いんじゃない?」

「女子から言って断られるのって嫌われてるか他に女居る時くらいじゃない?」

「なんかさぁ彼女いても隠して付き合ったりする奴いるよね?」

「いやいや、それ女子にも言えるジャン?ちょっとカッコ良かったらキープっしょ?」


と友達はこういう会話で盛り上がる。

聞き逃さずに聞いていると、やはり可愛い女子は有利らしい。

何の根拠があるのか解らないけれど。

実際、私の中学時代を知っている立花 裕香(たちばな ゆうか)も

「朱里が告ってフラれるとか普通にあり得ない」と言っていた。

裕香はちょっと私を過大評価するところがあるので話半分ね。


意を決する前にやはり人となりは見るべきだと思い。

こっそりと観察をしてみる事にした。

観察していて解った事があった。

とても顔が良い男子がいつも話しかけてくるようだかなり目立っている。

普段自分から誰かに話しかけに行くことは全くない。

ぼっちというやつかしら?

あの時に声をかけられたのは偶然なのだろう。


あれは・・・・

当番だった料理部の食材の買い出しを終えて帰る時に荷物を持ってくれたのだ。

まぁお米を買ってしまったのは失敗だった。

買い物カートに乗ってるときは重くないのにと。

予定外の買い物をしてしまい一人でしょぼくれている所への助け船だった。

地味な感じの男子だった。

学校までの通学路に買い物帰りの女子がいる。

普段と違ってポニーテールにしており、雰囲気が違ったからかもしれないが、

下校中の他の生徒には声をかけられなかったのだけれど彼は違った。


「どうしました?手伝いましょうか?」


へこたれて道路わきに座り込んでいた私は顔を上げる。

そこにはうちの制服の男子。

かなり、警戒しながらも限界に近いので正直お米を担いくれる人が欲しかった。

頼んでみると。


「ああ、それで困ってたんだですね。うん、学校まで持っていきますよ」


そしてそれをあっさり承諾。

あっさり10Kgのお米を担いでさらに、ビニールに入った食材も持ってくれた。

代わりに相手の鞄を持って私はついていく。

鞄に名前が記載されているのを見ると

「1-A 橋場翔」

とあり、この時初めて同じクラスである事が分かったくらいだ。

これは入学後すぐの話だ。

それ以来、付きまとわれたりしないかと観察をしていたが全くなく・・・。

多分、私だと気が付かれていないのかもしれない。と思った。

当然だがチョロくはないつもりなのでそれくらいで好きになったりはしていない。


それから3か月の間にかなりの数の告白が私に嫌気をもたらす事になる。

告白されるとその人を好きだった女子が私に詰め寄るのだ。

「別に好きな人が居るから」と言って一途さアピールと

その女子に対する味方宣言だ。

そんな感じで私の周りには結構女子が多い。

ただ親友は裕香だけである。

あとは話する友達で普通にファミレスの寄って話したりする程度だ。


ファミレスでちょっとうんざりしている事を言ったら、

「あれよね。とりあえず誰かと付き合ったら?」

誰かって誰だと言いたかったが。

「好きな人いるんでしょ?」

と断り文句を言っているのを皆知っているから大変だ。

あー、そんな人いないのに・・・と思っても言えない。

また、この女子達が敵に戻ったりされても困るのだから。


そしてちょっと考えてみる。

誰に告白すればいいのかを。

そして思い当たったのが橋場くんだったが。


「付き合ってる人いればもう告白されなくなるって事?」


聞いてみたが。


「無いわけじゃないけど・・・減るよね?」

「ていうか、うちらが広めるし?」

「それな?チョーラブってるっていうし?」

「」

この面倒な告白が減るのかな?

週に2回以上も呼び出されるとか正直嫌になる。部活にも遅れるし。


「こっそり告白して付き合っても誰にも言ってなければまぁ減らないかな」


親友の裕香の意見だ。

彼女は幼馴染と付き合っているがあまり知られていない。

通っている高校が違うからだ。

彼女もかなりモテているのだが


「じゃああれじゃね?もう皆の前で告って付き合ってわーってなるの?どう?いいしょ?」

「ああそれ、フラれたら最悪な奴ね?」「いや、朱里だったら男即落ちデショ?」

「でも0じゃないからね?相手に女居たらだめじゃん?」


そう言う事をまぁワイワイ騒いでドリンクバーのみの会計。

これファミレスも儲からないよね?

まぁ今回の内容は検討するとして帰ったらもう一度裕香に相談するつもりだった。

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