第4話 魔王との対面

 しばらく城内を歩き回ってついたのは、明らかに王様が住んでいそうな豪華な部屋だった。奥のほうにある安全な部屋だし、魔王の部屋なのはまず間違い無いだろう。

黒い布を被った人物は、やっと黒い布を取り、私を見た。

え、ちょっと待って…めっちゃイケメンじゃん!

そこに現れたのは、絶世の美男子ともいえるほど美しい青年だった。年は私と同じくらい…20歳くらいだろうか?

「改めて、魔王のアルベントだ。」

えっ?魔王なの?聞いてないんですけど…。

辺りをチラッと見てみるも、他に人はいない。魔王の部屋に何の躊躇もなく、勝手に入れるのは、やはり会おうという証拠だろうか?

「…あらためまして。松長命と申します。」

私が改めて自己紹介し直すと、魔王は笑ってこう言った。

「魔王と分かった途端に態度が変わるとは…お前もあいつらと一緒なのだな!」

その瞳は、どこか寂しそうだ。

もしかして、魔王って孤独なのかしら?…そうなんでしょうね。魔王に気軽に話せる人なんていないだろうし…。私だったら寂しくて泣いちゃうだろうなあ…。

「もし、それを魔王様が望むなら、普通に話しても良いのよ?」

内心ドキドキしながらまだ笑っていう魔王に話しかける。すると、アルベントはじっと私を見つめ、少し嬉しそうに

「ああ、そうしてくれ。」

と言った。やはり、魔王という職業は孤独なのだろう。

「それで?さっきの話、信じるの?」

私がそう問いかけると、魔王は

「ふむ。」

と言って考え出した。そして、ニヤリも笑うと

「人間の王に直接聞きにいくとしよう。」

と言うのだ。半信半疑というところだろうか。

「いいわ。いきましょう。」

私がそう言うと、魔王は私に手を差しだした。恐る恐るその手を取ると、魔王はヒョイっと私を抱き上げてしまったのだ。それも、お姫様抱っこ。何だかとても恥ずかしくなってきて、

「お、おろして!」

と抵抗するも、魔王は嬉しそうに私を抱えたまま、何と飛び立ったのだ。

「どうして護衛もつけずに、しかもとんでいくのよおおおおお!」

私の声は空に響いて、吸い込まれていった。

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