第3話 魔王城到着!
転移魔法を手に入れた私が魔王の城へ着くまでに、時間などほとんど必要なかった。無詠唱だから、1秒もかからなかったと思う。門の前に急に現れた私を見て、門番の魔族、2人は悲鳴を上げた。
「ぴぎい!」
先ほど得た情報によると、どうやら使っている言語は人間とは違うらしいが、人間の言葉は理解できるらしい。
「始めまして。勇者です。魔王様にお会いしたくてきたんですけど、いつならお会いできます?」
わざと会えることを前提で話を進めてみると、門番は手を出して待て、というジェスチャーをすると、片方が中に入っていった。
もう片方は、驚いて動けないらしい。
「大丈夫ですか?」
にっこり微笑みかけると、危ない奴ではないとわかってもらえたようで、その門番もにっこり笑ってくれた。
どのくらいその門番と一緒に待っただろうか。中に入っていった門番と、黒い布をかぶって顔を隠した人物が、私たちの前に現れた。私とジェスチャーで会話して待っていた門番は、恐れ多いものでも見たかのように平伏した。
「あ、あの…。」
と私が声をかけると、黒い布をかぶった人が反応して、
「なぜここにきた?」
と聞いてきた。なので、私は簡単にだが理由を説明した。他の3人は頷きながら私の話を聞いてくれた。
私の話が終わった頃、黒い布をかぶった人物が私に
「それが本当だという証拠は?」
と言いながら手を出してきた。私は困った。証拠などない。地球から持ってきたものも全て王宮のメイドさんに剥ぎ取られてしまったからだ。
けれど、ここで臆するわけにはいかない。
「証拠はありません。気になるなら、自分で確かめてくればどうですか?」
と笑ってやった。私は力を手に入れた。だから、魔王を巻き込む必要なんてない。それでも巻き込もうとしたのは魔王さんがかわいそうだから一緒にどうかなと思っただけなのだ。
すると、黒い布をかぶった人は私の手を引いて
「来い。」
とだけ言った。魔王のところに連れて行かれるのかと思った私は、抵抗することなく大人しく着いていった。
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