第14話 改めてやべえ学校だと気づく

本当に大切なものは、失ってから初めて気づくのかもしれない


スティーブン先生がいなくなってから1週間・・・


スティーブンの世紀末的な教育のおかげで抑えられていた不良たちも以前の活気を取り戻してきた


田中は、また以前の取り巻きを引き連れ、スティーブンの後任で入って来た教師をいじめ一日でうつ病にさせて辞めさせる


切間は、教室の隅でトランプタワーを積み上げ


さくらは、スマホをいじるなり出会い系で男漁り


白井は、変わらず教室の外を見てたまにニヤッと笑う


スティーブン先生が来る前と何も変わってない


ヤンキー高校の日常だ


 


教頭は放課後の教室の窓からぼーっと空を眺めていた


 


時折、校長の言っていた言葉を思い出す


 


“目には目を歯には歯を毒には毒を。ヤンキー高校の生徒という猛毒に対抗するにはスティーブン先生という猛毒が必要なのかもしれない”


教頭はぼそっと呟く。


「その通りだったよ・・・」


教頭の目から涙が流れてくる


 


「教頭!!」




教室の入口から声が聞こえた。教頭は振り向く。かすかな希望をもって


教頭「スティーブン!?」


鍋島「あ?俺だよ」


いたのは、闇金鍋島くんだった


教頭「すまん」


鍋島「なに?泣いてんだよ。あんた、あいつに迷惑ばっかり掛けられてたんだろ。いなくなってせいせいしただろ」


教頭「確かにな」



教頭は、スティーブンとの日々を思い出す。


 


教頭「本当に糞みたいな教師だったよ。あいつが来てからいきなり生徒ぶん殴るわ、銃ぶっぱなすわ」


 


教頭の目から流れる涙がだんだん強くなってきて


 


教頭「賞味期限切れの給食仕込むわ、無銭飲食するわ、自分の生徒口説くわで本当に最悪だった」


 


教頭の声がだんだんと震えてきた


 


教頭「でもな!俺にとって!いや!皆にとってあいつは本当に必要な存在なんだよ!糞教師だけどいなきゃだめなんだよ!なんで意味も分からずいなくなってんだよ!じゃあなじゃねえよバカ!」


教頭は自分の本当に心にため込んでいた本音を吐き出したのかもしれない。


鍋島「で?じゃあどうすんの?あんたも大人だろ。考えろよ。誰も助けてくれないし教えてくんねえよ?」


教頭「でも、あいつ刑務所に入ってるし・・・」


鍋島「なよなよとキモイんだよ!助けたいのか?助けたくないの?決めろや」


教頭「助けたい!!!!!」


鍋島「じゃあ、刑務所に行ってあの糞教師引きづりだしに行くか。貸した金返ってきてねえし」


教頭「へ?」


 


鍋島「言ったろ。貸した金は地獄の果てまで取り立てる」


 


つづく!!!!

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