何となく導かれた箱の中で聞こえた声は

やわらかくて穏やかな口振りだったけれど

私の聞きたい言葉じゃなくて

むず痒くて

仮面を剥ぎたくなった


優しくみせかけて好きなんて

簡単に言うけどさ

その言葉を重く捉えてないよね

見えない誰かを喜ばせる為の単語の羅列

強そうで脆くて 負けず嫌いで

どうしようもない頑固者

それでも

分からないくらい一瞬の隙間に見せた野心と

果てしなく続くだろう地図の先を見たくなった

君の見る景色はどんなものなんだろうね

その道進む背中をそっと押してあげるよ

甘い言葉で飾って 優しい振りしなくてもいい

君の言葉で紡いで 君の本当の声を聞かせて

どうすれば皆から好かれるかなんて考えなくていいよ

本当の君を認めてくれる人がいつか

君の姿見つけてくれるから

自分を消さないで


そとした瞬間に選ぶ言葉が少し違うだけで

同じこと考えたり

ため息のつき方ひとつだけでも

つかれたのを感じてるよ

もう頑張らなくていい

あとは私が背中を守る

暖かい毛布にはなれないけど

牙を避けるだけの鎧の代わりにはなるでしょ?


運命なんて言葉 信じてなんかないけど

この出会いが偶然だったんじゃなくて

必然だったなら

いつか思い出せないくらい遠い昔

ひとつの命を分け合っていたのかな

こっちへおいで

伸ばされた手を掴んだあの夜に

わたしは生まれたの


もし、覚えていたらでいい

君が見た景色をいつか聞かせて

どんな色だったの

どんな人に出逢ったの

一緒に見ようってあの言葉は嘘なんかじゃないでしょ?

震える声で絞り出した言葉を逃したりはしないよ

もうひとりにはさせない


君の羽根で高く飛んで 君はもっと飛べる

どこまででも いつまででも

一緒にいてあげるよ

唇噛みしめて 血が滲むほど努力しても

他人には その姿見せないでしょ?

苦しんで足掻いて踠いて 耐えても

何でもない顔してたんでしょ?


でももうそんなことしなくていい

だってほら見て ひとりぼっちなんかじゃない

呆れてかける言葉がなくなっても

その背を押すから

最後はもういいよって私の背を躊躇わず押して

優しい振りなんてしなくていい

もうひとりじゃない

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