ちぐはぐ
そして私は命を授かった。
父をおじいちゃんにはしてあげれないだろうと思っていたのに。
おじいちゃんになった父。
安産だったことに感謝し、私を労う夫。
私はなんだか、やっつけ仕事でもしている気分だった。
親孝行なんて、綺麗事だと思う。
どんどん大きくなっていく我が子。
どんどん小さくなっていく父。
ちぐはぐな二人を見るのが辛いわたし。
入退院を何度も繰り返し、手続きに慣れっこになるわたし。
闘病が長いけど、死ぬことなどないと信じて疑わなかったわたし。
だけどいつか来る「その時」を誰よりも恐れていたわたし。
父の息が止まったあの日から、私の心も止まったまま。
ねえ、いつ帰ってくるの。
仏壇の前で手を合わせながら、ちぐはぐなことを考えるしか、今のわたしにはできないよ。
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