第22話最後の無茶②

 10月が終わりを迎えようとする、とある平日。

 俺は両手いっぱいの買い物袋を下げて家に帰ってくる。


 袋の中には俺の好きなものばかり。

 夕食の食材の他、お菓子、パン、清涼飲料水等々。


 まだ午前中であり、家には俺一人だ。

 アイウォークを外し、ソファーに座る。

 テーブルの上には先程買ってきた好物の数々が並ぶ。


「さてと……」


 俺はそれらを封を開け、無言で食べ始める。


 ポリポリッ 

 ムシャムシャッ

 ゴクゴクッ……


 詳しいカロリーは知らんが、恐らく同年代の中年男性が一日で食べる量だろう。

 俺は満腹になってもひたすら食べていく……


「ウプッ……」

 

 うぅ、もう限界……


 ゴロンッ


 俺は一人横になり、昼寝を始める。

 何をしてるかって?

 もちろん足を治すためだ。


 皆様は知っているだろうか?

 唯一無二、世界最高と言っても過言ではないアニメ映画……


【ルパン三世 カリオストロの城】を……


 ルパンはヒロインであるクラリスを助けようとして、胸に銃弾を受ける。

 命からがら隠れ家たどり着き、意識を取り戻したルパンは次元に伝える。


『食いもんじゃんじゃん持ってこい! 血が足りねぇ……』


 そしてルパンは信じられない量の食材を食べ、見事復活するのであった。


 そう。俺は今、ルパンと同じようなことをしているのだ。


 しかもそれだけではないぞ。

 俺が愛して止まない格闘漫画、【グラップラー刃牙】もミックスしてあるのだ。←今は刃牙道だね。


 この漫画は滅茶苦茶で、イメージすることで、体内の関節を増やし、正拳の稼働領域を増やし、正拳がマッハを超えるという恐ろしい漫画だ。


 俺がやろうとしているのはマッハ突きじゃないぞ。

 大切なのはイメージなのだ。

 

 つまりこうだ。


【俺ルパン位食った。だから俺、足治る。インディアン嘘つかない】と自分に言い聞かせているのだ。


 アホである。

 医学的見地を全く無視する方法を選んだのだ。

 でもさ、プラシーボ効果ってあるじゃん?

 人間って無限の可能性を秘めてるじゃん?

 そう信じて、世界最自由の男ミスターアンチェインことビスケットオリバは一日に10万カロリーの食事をしていたのだ!←また刃牙かよ


 こうして俺は、滅茶苦茶食う➡寝る➡リハビリ➡滅茶苦茶食うのローテーションを繰り返すことに……


 そして俺は運命の日を迎える……


 

 

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