第21話最後の無茶①
「はーい、そのまま体重計に足を乗せて、20キロの加重をしてみましょう」
「20キロですね……」
グググッ
俺は今T外科病院で絶賛リハビリ中だ。
加重トレーニングも順調に進み、十月半ばには俺の折れた右足は三分の二の加重まで耐えられるようになった。
だがそれ以上の体重をかけると……
ビリッ
「うっ!?」
右足に電気のような感覚が走る。
それを見た理学療法士のWさんは心配そうに俺を支えてくれた。
「無理しないでください! 一旦休憩しましょう!」
「す、すいません……」
俺はベッドに寝かされ、マッサージを受ける。
二ヶ月近く使えなかった右足首の関節はすぐには戻らないようで、カチカチに固まっているのだ。
だがWさんはマッサージをしながら……
「心配ありませんよ。他の患者さんに比べればすごく柔らかいですから。骨折してたとは思えないくらいです」
「そ、そうなんですか?」
「そうですよ! 大体骨折さんの治りはかなり早いです。このリハビリを行うのは二週後の予定だったんですよ。若いだけじゃなくて、治したいっていう意思の強さなんですかね……」
むふふ。褒められてしまった。
だが俺の足はまだ完治していない。
油断せずゆっくり治していこう。
まあアイウォークという装具があるので、それなりに働けるし、日常生活にはなんら問題は無い。
だが仕事に関しては月に100時間程度の実働をしているに過ぎない。
月間で200時間をコンスタントに続けていた俺にとっては暇でしょうがないのだ。
早く治してバリバリ働きたい……
そしてリハビリを終えた俺はH営業所に向かう。
今日は出勤なのだ。
営業所に着いて、作業指示を出し、管理業務を終わらせる。
そして空いた時間で新作小説を書く。
因みに新作は骨折している期間に書き上げた。
【娘と一緒に異世界転移!?】が完結したら投稿するので読んでね~。
とステマを終えたところで、俺は月間予定計画に目を通す。
一応俺は全治三か月。
11月後半には復帰出来る予定だ。
計画書に目を通すと……
ん? 後輩のK君は11月前半から二週間の休暇……
そして後輩のH君は11月後半から育休……
「あかんやん……」
三回目のあかんやんである。
前回も書いたが俺が所属している地区は8つの営業所で構成される。
当初は社員数がそれなりにいたのだが、現在問題を起こした社員が2名飛ばされている状態だ。
幸い9月末にはようやくM君という前途有望な後輩がこの地区に異動になった。
仕事が出来る男前というチートな男だ。
だがかなりのエロ属性を秘めているので、将来が楽しみである。
M君のおかげで何とか崩壊の危機は乗り切れた。
だが依然人手不足は解消されていない。
数字に表すと、マイナス600時間を各社員が肩代わりしている。
あかんやん。
俺が貢献出来るのは100時間程度だ。
このままでは再び月間労働時間300時間の危機がやって来る。
この状況を打破するには……
俺は変態Bさんにラインを送る。
Bさんは変態だが地区の労務管理をしてくれているのだ。
いつもありがとうございます<(_ _)>
【11月前半までに復帰します】
ピロリン♪
すぐに返信があった。
【何言ってるんですか! 治るのは11月末なんでしょ!】
【ご心配なく。進捗は追って報告します】
完治まで本来ならもう一月かかる。
だがこの危機を乗り切るには治すしかないのだ。
俺には完治を早める一つの秘策があった。
まさかそれを実践することになるとは……
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