第10話 入院二日目 リハビリ開始!

「骨折さーん、おはようございまーす」


 ん…… なんだよ、ようやく眠れたと思ったのに。

 目を覚ますと、そこにはM医師と看護師さんがいた。

 あら? わざわざ病室まで来てくれたの?


「傷口見させてもらいますねー」


 経過観察ってやつかな?

 俺はうつ伏せになり、折れた足を上げる。

 右足はギプスでグルグル巻きになっているが、踵の部分だけは傷口を見られるようになっている。


「うん、大丈夫そうだね。どう? 痛い?」


 あれ? そういえば、地獄の痛みは引いたな。

 確かにまだ痛みは感じるが、我慢出来る程度の痛みだ。

 意識しなかったらあまり感じない程度の痛み。


 安心した。今日はぐっすり眠れそうだな。


 俺は大量の化膿止めと痛み止めの錠剤を渡される。

 あまり薬には頼らない人生を送ってきたが、これは必ず飲まなくちゃな。


「よし、それじゃ三十分後にリハビリね」


 そういえば、昨日リハビリを始めるって言ってたな。

 リハビリの説明を終え、M医師は病室を出ていこうとするが……


 待って! 聞きたいことがあったの忘れた!


「す、すいません! あの…… 紙おむつですが、これ脱いでもいいですか?」


 もう俺の股間はムレムレなのだ。

 夜何度か尿意をもよおしたが、おしっこは全て尿瓶の中で済ませた。


 つまり俺にもうおむつは必要無いのだ! 脱ぎたい!


「あぁ、いいよー。おしっこも一人で出来てるしね。それと松葉杖が使えたら、トイレ使ってもいいからねー」


 やった! なら早く松葉杖マスターにならねば!

 正直、尿瓶におしっこするのも嫌なのだ!


 よし、目標が出来た。

 今日中に松葉杖を自由に使えるようになる。

 そして、自力でトイレに行く。


 この二つを今日の目標とした。


 M医師が病室を出ていく。

 俺は忌々しくおむつを脱ぎ捨てる。

 さらばおむつ。君に次出会うのは数十年先であることを願うよ。


 俺は戸棚からトランクスを取りだし、履こうとするが……


 グッ グッ


 履き辛い……

 ギプスが引っ掛かって、上手くトランクスが履けないよぅ。


 なんとかトランクスを履き終え、一段落ついているところで……


 コンコンッ


 病室に誰が入ってくる。車椅子を押しながら入ってきたのは……


「おはようございます! 昨日は大変でしたね! 今日から骨折さんを担当させていただきます、理学療法士のWです!」


 この人は…… 昨日会った人だ!

 Wさんは二十代半ばの爽やかイケメンだ。

 物腰も柔らかで、好青年という感じ。

 

「それじゃ、早速始めましょう!」


 俺は車椅子に乗せられ、一階にあるリハビリ室へと向かうのであった。

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