第8話 入院一日目
ゴロゴロッ
暇である。俺は一人で病室のベッドの上で寝転んでいることしか出来ない。
テレビからはひっきりなしに煽り運転のニュースが流れている。
世の中にはこんなお馬鹿ちゃんがいるのか……
悲しいことだ。
テレビを見たり、スマホで気になる小説の新着をチェックする。
因みにカクヨムを読み始めたのはこの時期なのだ。
俺は他のサイトで小説投稿を楽しんでいた。そこで、とあるSF作品の続きがカクヨムに投稿されていることを知りアカウントを取得した。
この時は読み垢だけだと考えてたんだけどな。
更新は無し。
テレビからは煽り運転のニュースばかり。
「つまらん……」
動こうにもまだ麻酔が効いている状態で、満足に寝返りも打てない。
トントンッ
おや? ノックする音が。
ドアが開くと、愛しの我が妻がお見舞いにきてくれた!
「嫁子ー!」
「ちょっと、大丈夫なの!?」
と、嫁は少しお怒り気味だった。
俺は事の顛末を話し、手術は無事終わった事を伝える。
「そうなんだ…… ゆっくり治してね」
「すまん、少しの間迷惑をかける。なに、一週間もすれば退院出来るから」
「え!? 一週間で!? 治るまで入院してていいのに……」
ちょっ!? そんな、愛が冷めたこと言わないで!
だが嫁子の言いたいことも分かる。彼女は会社では、それなりに上の立場だ。
忙しい業務をこなしつつ、娘の面倒をみる。
恐らく彼女は俺の面倒は診られないだろう。
骨折宅は嫁子の采配で動いているのだ。
お、俺だって会社ではそれなりに上の立場なんだからね!
だが、最近ボーナスの額では彼女に負けており、経済的ヒエラルキーが逆転しつつあるのも事実。
嫁子、いつもありがとうございますm(_ _)m
「まぁ、長い夏休みだと思ってゆっくりしなさいね」
「はーい」
そう言って嫁子は鞄から真新しい本を二冊取り出す。
おぉ、お見舞いの品ですな。
本を持ってくるとは、俺の趣味を理解してくれている。
椎名 誠先生の怪しい探険隊シリーズだ。
実は一冊は持っているヤツなのは秘密にしておこう。
「ありがとう」
「ふふ、それじゃまた来るわね」
えー、行っちゃうの?
「なぁ、今日は泊まっていけよ……」
と、少しキザッたらしく言ってみた。
「泊まらないわよ」
「ならチューしてくれ」
「しないわよ」
「嫁子、スケベしようや」
「お断りよ」
「ふぇーん」
いつもの調子で嫁子は帰っていった。
明日も来てくれ~。
そして俺は病室に一人残される。
もう夜の10時か。
やることないし、寝るかなー。
ズキッ……
ん? なぜか右足に痛みが。
そ、そうだ……
麻酔が切れてきたんだ……
こうして入院一日目の夜を迎えるのだが……
それは激痛との戦いだった……
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