第3話 八月二十一日③

 まず言っておく。

 N総合病院をディスるわけではなく、俺を診てくれたお医者さんがヤブというわけではない。

 ボタンの掛け違い、そして怪我をした時期。

 そう、俺は運が悪かったのだ。

 それでは本編スタート!



 N総合病院に到着し、レントゲンを終えた俺はお医者さんとの診察に入る。

 緊張しつつ、診察室に。

 

 中には白衣ではなく、薄いグリーンだかブルーのシャツを着たお医者さんが半笑いで俺を出迎えてくれた。

 

 どんな会話が繰り広げられたか、よく覚えていないが、怪我した経緯など話した気がする。

 そしてお医者さんがレントゲンを見つつ……


「んー。よく分かりませんね。多分…… 大丈夫」


 おい!? 今多分って言ったな!?

 あんた医者だろ!?


「どういうことですか? 折れてはないんですか?」

「レントゲンを見る限りだとね…… それと申し訳ないんですが、私内科医なんですよ。今お盆時期で、外科のお医者さんはちょうどいなくって……」


 そう、俺が怪我をしたのは盆が終わりを迎えつつある時期だった。

 お医者さんだって人間だ。

 休むこともあるだろう。


 だからN総合病院に罪は無い。

 分かっているのだが、こっちは激痛を堪えつつ必死でここまで来たのだ。

 治してくれ。翌日は休みだが、このままでは明後日から働けない。


「まぁ、捻挫でしょう。湿布だしておきますね」

「湿布……」


 いや、湿布で治るのか!?

 俺史上最大の激痛だぞ!


「これで診察は終わりです。気になるようでしたら、また明日来てください」

「はい……」


 少し疑いつつも、診察を終えた。

 しかし俺はこのお医者さんの『折れてない』との言葉に安心した。


 車椅子のまま、病室を出ると……


「あれ? この線はなんだろ?」


 とお医者さんはレントゲンを見つつ、呟いたのが聞こえた。


 診察室を出ると、俺をここまで連れてきてくれたAさんが出迎えてくれた。


「どうでしたか?」


 と心配そうに尋ねるAさん。


「とりあえず…… 折れてないみたいです。Aさん、営業所が心配なので戻りましょう」


 俺はAさんの車に乗りこみ、営業所に戻った。

 幸いにも、帰省ラッシュの影響も少なく営業所は平和だった。

 これなら責任者がいなくても大丈夫だな。


 俺は何かあった時の対応方法を伝え、上長に早退する旨を伝え早退することにした。

 バイクどうするかな……

 ここに置いていくってのもな。


 俺は激痛を堪えつつバイクに乗って帰ることにした。←馬鹿

 両足を地面につけられないので、かなり危険な運転だった。

 事故起こさなくて良かったよ……


 何とか自宅に到着。

 普段帰る時間では無かったので、嫁さんがびっくりしながらも出迎えてくれた。


「どうしたの!? こんな時間に!?」

「すまん、怪我したわ。このまま痛みが引かなかったら明日また病院行ってくる」


「そうなの…… お父さんに車だしてもらう?」

「そうだな。悪いけど、お願いしていい?」


 骨折宅は二世帯住宅なのだ。

 俺は義理の両親と一緒に住んでいる。

 あまり顔を会わせないような作りになっているので、最近彼らとは会っていない。

 仲がいいとは言い難いので、お願いするのは気が引けたが、そうも言っていられなかった。


 そして俺は痛みを堪えつつ、横になる。

 でも眠れなかったので、一人PS4の電源を入れ、「ゴーストリコン ワイルドランズ」をプレイし始めるのだった。←寝ろよ


 

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