第2話 八月二十一日②

 高所から落下してベキィッからのズキィッを経て、俺はN総合病院に向かうべくAさんの車に乗っている。


 その間、痛みにより、冷や汗でびっちょりだった。


 病院に到着し、緊急外来に行くわけだが……

 おっと、そうだ。

 俺は受付を済ませ……


「すいません、労災でお願いします」


 自分がまさか、労災を使うことになるとは……

 部下が怪我をした時などは、労災手続きをやってあげたものだが。


「労災ですね? では一時預かり金、五千円をお願いします」


 え!? 一時預り金って!?

 そうだったのかー。

 まぁ戻ってくるお金だから、いいか。


 俺は一時預り金五千円を支払い、問診票に何があったのかを記入。

 お盆時期、そして夜の七時を回っていたので、病院内は暗かった。

 

 待合室にはなぜか警察官がいて、事件でもあったのかな?なんて思っていたが、酔っ払いのおじさんを保護し、病院に連れてきたようだ。

 お勤めご苦労さまです!


 そして問診票を受け取りに、看護師さんが来てくれたのだが。


「はい、記入は大丈夫ですね。歩けないですよね? 車椅子用意しますね」


 人生初車椅子である。

 うぅ…… 40で働き盛りなのに、こんなものに乗ることになるとは……


 痛みを堪え、車椅子に乗りこむ。

 うん、快適。

 これはいいものである。


 俺はそのまま地下にあるレントゲン室に連れていかれた。

 技師さんは俺を台に寝かせ、足のレントゲン撮影を始める。


 どうか折れてませんように……

 俺の仕事は営業。足を使う仕事だ。

 しかももうすぐ八月は終わるが、夏の繁忙期だ。

 仕事に穴を開けるわけにはいかん。


 祈りつつ、レントゲン撮影を終え、俺はお医者さんとの診察に入るのだった。

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