第7話 お兄ちゃんはゲームをしたい。

 趣味のゲームをネッ友とVCをしながら横で初見の妹が会話に参加してきた・・・


 俺のネッ友、レインと紫苑が自己紹介を終えて、沈黙が続いている。


(ま、そりゃそうなるわな)


「とりあえずいつも通りカジュアルマッチからプレイするか~」

「そうだね!」


「今日はダメージ(主に相手にダメージを与える役職)でもしようかな~」

「おっ、珍しいね。堅実にタンク(主に前線で敵の弾幕から味方を守る役職)でもしたら?wま、ボクはヒーラー(主に味方の回復をする役職)一択だけどね」


「いいなぁ~コレ使えば勝てるみたいなやつがあって」

「なっちゃん普通にタンクうまいじゃん!」


俺とレインの会話は聞かせてるものの何を言っているのかわからない様子の紫苑。


「ありがと、けど耐えてるだけじゃつまらないしさ~」

「そんなこと言ったらヒーラーだって味方を回復してるだけになっちゃうけど」

「確かにな~」


 正直レインに褒められるのは凄く嬉しい、なぜならレインのゲームテクニックはプロゲーマー並みなのだ。お世辞ではなく実際にレインはプロチームにスカウトされるほどゲームがうまい。

 

 しかし当の本人は趣味程度に遊んでるのが一番楽しいと色んなお誘いを断ってきている宝の持ち腐れだ、俺だったら大好きなゲームして暮らせるなら飛びきたいがきっとプロはそう甘くないのだろう。


 色んなゲームを一緒にしてきてわかったのが、レインは普通の人よりゲームがうまいのはもちろんだが、このOWと言うゲーム内ならヒーラーが桁外れでうまいなど、好きなキャラや事を見つけると極めるタイプらしい。


 そんなすごい奴が並みのゲームテクニックしかない俺とパーティーを組んで遊んでくれるなんて光栄である。初めてのオンラインゲームで右も左もわからない初心者の俺に色々教えてくれて、気づけば数年続いてる仲だ。俺は運がよかったのだろう。


 レインとプレイをしているせいか、最近は俺もぐんぐんゲームが上手くなってきてオンライン上位の奴らと熱い戦いができるほどまでにプレイは上達している。現実世界ではそううまくいかなくても、ゲームではぐんぐん成長を感じられて楽しい。


「よいしょっと」

「お、おい!」


 コントローラーを持っている両手の腕の中に紫苑が入ってきた。さらさらした髪の毛が腕をかすめ、ふわっと甘い香りが鼻孔をくすぐる。美少女に急接近どころかあぐらをかいている上に乗って来られるなんてドキドキしないはずがない。


 改めて言おう今日兄妹になったばかりだぞ、、、


「…紫苑さん??、、、何をしているのかな?」

「ここが一番画面見やすいかなと思いましたので!」


「あなた今何歳よ、、、」

「15歳!JKです!!」


「なおさらダメだ!どけッ」

「きゃっひどい」


 心臓のドキドキを悟られまいと焦った反動でとっさに紫苑をのけてしまったが正しい判断だろう。一応家族だが犯罪にならないよな??


「・・・なっちゃん今本当に妹といるんだよね?もしかしてボクに嘘ついて彼女なんじゃないの??」

「ぶっっ!!そんなわけないだろ第一俺に彼女ができるなんてありえないし、7歳も離れててJKだぞ??」


「じゃあ犯罪だね。通報しなきゃ!でも流石に今日できた妹との距離感じゃなくない?イチャイチャ見せつけてくれちゃってさぁ」


 とむくれるレイン。


「お兄ちゃん私たちカップル見たいだって!」

「ちょっと静かにしようなー紫苑?」


 何故か頬を赤らめ満更でもなさそうな紫苑。


「カ、カオス…」


 まだゲーム開始から1プレイ目だというのにすでに疲れた優作であった。

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親父が再婚したのはいいが、何故か俺の周りに妹が増える。 かしづき @ninomaru

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