第7章 光の女神、怒った?
怒りに燃えていたアルウィは、タニルにひどく説教し、タニルも不機嫌そうな顔をした。
「……わかった。」
「ちょっと。 二人とも落ち着いて。」
グランは二人を説得しようとした。
「だってこいつは!!! 」
アルウィは怒ってタニルを指さした。 はっきりとは言えないが、彼女には確かに自分の原則がある。――タニルが犠牲者の財物を捜索する行為をは、彼女にしたらあまりにもひどいものだった。
だが、グランはそう思わなかったようだ。 グランが尋ねたのを見た。
「タニル、私は先にあなたを責めない。 ただ聞きたいのが、これらの財物を集めるには、もともとどうやって計画していたか?」
「なぜかというと… 昨日から考えていた。冒険に行くんじゃないの? 俺たちと…アルウィ。」
タニルは悔しさを顔に書いて、漫然と言ったようだった。
「つまり、アルウィのためにそうしたのか?」
グランは微笑みながら尋ねた。
タニルは渋々うなずいた。
「ははは、そうだったのか。」
グランは何かを考えたように笑っている。
だがアルウィはあっけにとられて、信じられないように訊き、
「本当に? タニル?」
「もちろん本当だ!! 」
アルウィの問い詰めに反感を抱いたらしく、タニルはひどく怒っている。
しかし、アルウィ同じような怒った態度ではなく、しばらく沈黙していた。
「まあ、一度許してやるよ。 次はそうはいかない。」
結局、アルウィは受け入れた。
「それなら、 」
二人の仲がむつまじいのを見て、グランは満足げに言った。
「そろそろ荷物をまとめて、こっそりと冒険に出かけましょう。」
ここは田舎の小さな村。 勤勉でさえあれば、誰でも安心して暮らせる。
アルウィの家は二階建てで、彼女は両親と二階に、タニルとグランはは一階に住んでいる。
タニルは自分の部屋で、持っていく衣類などを畳んで布の袋にしまい。ベッドに座って、休憩するつもりた。
今夜は、三人でここにいる最後の夜かもしれない――少なくともこれからは長い間だ。
少し感懐しながら、タニルは寝転んで布団をかけた。 この時、誰かがドアを軽く叩くのを彼は聞く。
そしてまたベッドを降り、ドアの前に歩いて、ドアを開けた。
ドアの外に立っているのは、伯父さんと伯母さんです。
二人の顔色はあまりよくない。 彼らの短い説明を経て、
「つまり、伯父さんと伯母さんは知っていたということですか? …私たち三人で家出をするつもりのこと。」
ドアが閉まった。 伯父と伯母はベッドの枕元に座り、タニルは一人でドアのそばに立っている。
「うん… そうだ。」
伯父はとても冷静に見える。 伯母はうつむいたまま、両手を懐に置き、時に戸惑ったように彼女の連れ合いを見上げた。
「あの……伯父さん、伯母さん…」
タニルは言葉遣いを探するのに苦労し、彼はきちんと謝るつもりできている。 家出の件に至っては……しばらくは通用しなかったようだ。
「タ二ル。 」
「はい…」
伯父は突然口を開いて、タニルを震え上がらせた。 目はそばを見ていて、伯父さんの次の怒りを待っている。
しかし伯父は止まって、長い間静かになった後、
「途中で、アルウィを守ってください! …お願いします!」
タニルはほとんど自分の耳を信じられない。 そこで伯父さんを見た。
見ると、そんなことを言いながら、伯父さんは重々しく頭を下げた。
「ということは… 貴方たちは私たちに反対していませんか?」
タニルは目の前の状況を理解しようとしたが、 感謝するべきなのか、感動するべきなのか、それとも責任を感じるべきなのか分からない。
「今となっては、もう止められないでしょう? 私もお願い…タニル。」
伯母もそう言って、タニルを見た目には、いつもの威厳も理不尽もなかった。
「伯母さんとは、もうちゃんと相談した。 後でグランのところにも行く。」
伯父の口調は幾分重かった。そして伯母と目をちらっと合わせ、お互いに事実を受け入れているようだった。
彼らの話を聞いて、タニルも、このときは自分の態度を見せる必要があると感じていた。 それで体をまっすぐにして、また真剣にお辞儀をした。
「伯父さん、伯母さん。 アルウィを必ず守ってくれると、約束しておきます!」
この瞬間、部屋のドアの外。
アルウィは体の背中を使って、タニルの寝室のドアにそっと寄りかかっている。
先ほど、タニルとアルウィの両親の会話を、アルウィは全部聞いた。
誰も見ていない場所で、アルウィは唇をすぼめてて、
顔の表情を静かに隠した。
そこで、 タニル、アルウィ、グラン、 三人は家を出て、冒険という旅をすることになった。
途中歩いたり、ピクニックしたり、町を通ったり。
狩りをしたり、訓練をしたり、商人と取引したりする。
壮大な出来事は何も起こらず、ただの旅のようだった。 勇者の使命が真実なのかどうか、疑問を禁じえなかった。
月の都に行くには十分な資金が必要なので、三人は野外キャンプか、それとも安いホテルに泊まる。
ある夜、三人は相変わらず粗末なホテルで夜を明かしている。
安さに対応して、ホテルは快適なベッドを提供するのではなく、三人を三枚の毛布に寝かせている。床も柔らかい素材ではなく、ただの木製で、毛布をかけていてもごつごつしてたまらない。
タニルは入り口の近くの床で寝、アルウィは真ん中で寝、グランは一番内側で寝ている。
この夜が更けて人が寝静まる時、タニルは奇想に突発した。
近づいて、アルウィが熟睡していることを確認。 すると、タニルは喉をきれいにした。
「召喚……
成功した―― アルウィの体が微弱に輝き、ふわりと浮き上がるのを見ている。 身についた布団がずり落ちた後、アルウィは横になった状態から立った状態に変わり、それて両足が地面から離れた。
アルウィがゆっくりと目を開けて、タニルを驚かせた。 しかし、相手の穏やかな視線に、タニルは目の前にあるのは光の女神だと確信させた。
タニルはじっくりと鑑賞している。 光の女神に憑依されたアルウィは、相変わらず少女の体躯でありながらも、気品的には大人の成熟や艶やかさを感じさせる。
久しぶりに、タニルが鑑賞した後。
「もう大丈夫です、光の女神。」
言葉なのか、意志の影響なのか、女神の意志が消えた。アルウィの身体も軽く落下し、タニルに受け止められた。
アルウィはまた目を閉じて、まだ眠りの中にいる。 柔らかな身体にタニルは慌てて退却したが、軽挙妄動でアルウィを起こしてしまうのではないかと心配した。 でも……
「……光の女神」
タニルが軽く言った。 アルウィはまた体を輝かせ、タニルの懐を離れて、宙に漂いていた。
再び憑依した女神は怒らず、ただ静かにタニルを見ていた。
「終わります。」
女神の意志が消え、タニルがアルウィを受け止めた。
「……光の女神」
光の女神、光の女神、光の女神…
いずれにしても、タニルはあくまでやんちゃな子だ。 アルウィは何度も浮き上がってから落下し、光の女神も何度も憑依してから離れた。
タニルは飽きることなく試してて… アルウィが彼の懐で目覚めるまでしまった。
「うん………どうしたの?…」
アルウィは少しうとうとしている。
「えっ?!…」
びっくりしたタニルはあわてて、アルウィの元から飛びだした。 しばらくしてアルウィが反応してきて、そしてもびっくりした。
「タ…ニ…ル、……私に何をしているの!!」
アルウィはとても腹を立て、掌を上げると、タニルにビンタをするつもりた。
「光の女神!! 」
アルウィの上げる掌のせい、反射的に目を閉じたタニルも、無意識のうちに前と同じ名前を叫んだ。
声が終わると、空気は急に静かになった。 そしてタニルはわずかに目を開けた。
光の女神が再び憑依しているのを見て、アルウィも自分の意識を失い、手を下ろした。
その後、タニルは両足が柔らかくなり、毛布の上に座った。
「あの……光の女神、怒ったんですか?」
「怒ってないよ。」
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