第4章 選ばれた勇者

 アルウィの体が次第に浮き上がり、両足が地面から離れた。


ウワアアアーー!!!


 オーガが大声で吠え、両手のひらが前足のように地面をたたき、咆哮して、アルウィに向かって突進してきた。


 当然、タニルはこのような事が発生することを許さず、長剣を手にして抵抗する。 だが、オーガにあっさり打ち飛ばされてしまった。


 幸いにも長剣が自分を切っていなかったが、タニルは地面に落ちた後、また地面を何度か転がっていた。タニルが再び立ち上がろうとしたとき、もう相当骨が折れる。


「やめろ! タニル!!」


 仲間が怪我をしているのを見て、グランは焦った。彼は弓矢でオーガを撃とうとした。 矢は命中したが、オーガの厚い皮膚を突き抜けられなかった。


 どうしようもなく、グランは仲間の安全を祈るしかなかった。 彼の懸念の目の下で、さっきまでびっこをひいていたタニルが、腰をかがめて地面に落ちた長剣を拾いあげ、再びびっこをひいてアルウィのもとに戻ってきた。


 その後、タニルは気づいた。 さっきから閉じていたアルウィの目が、今はだんだん開いている。 白い強膜は、オイルランプのような、明るい淡い黄色の光を放っている。


「アルウィ……」


 タニルはもはや怪訝そうにする余裕もなく、ただ剣を手にしてオーガを警戒している。


 アルウィの体の現象に魅了されたらしく、オーガは再び前に出ることにした。そしてまた腕を上げ、まず解決すべきことは、もちろん目標の前に立ちはだかるタニルだ。


 タニルは急いでガード。 彼も知っているにもかかわらず、彼の体は再び殴られた飛びる。 それに今回の結末は…


 しかし、手を振り出そうとしていたオーガは、柔らかな光にぶつかってしまった――それはアルウィの体から解放され、本体の見えない柔光のバリアだ。


ドン!


 鈍い音がして、オーガは腕だけではなく、身体全体がバリアにぶつかり、後ろに倒れた。


 遠くない兵士も含めて、誰もがここで起こったことに注目してて。


「おい…いったい何があったんだ?」


 グランは驚いそうに尋ねた。 彼を少し安心させたのは、タニルが無事だったことだ。


 空に浮かんでいる、よく知っていて見知らぬアルウィを、ぼんやりと見ていて、タニルも困惑する。


「アルウィ、きみは一体……」

「やっぱり……!」


 リアは興奮してきた。 目の前の少女の変化は、彼女の予感にそっくりだった。


 何かに憑依されたアルウィは、少し冷たく、少し優しくタニル見ていて、腕を上げて、タニルの体の上に光が降りてきた。


「体が……何故に回復した。」


 本当に不思議だ。体の打ち傷がだんだん薄れ、タニルも痛みを感じなくなった。


「アルウィ……いや。 あなたは、いったい誰か?」


 タニルの問い詰められたわけではないかもしれなく、アルウィ憑いている奴はもう口を開こうとしていたが、適当なタイミングを待っていた。


「私は、光の女神アルウィに憑依者です。」


 タニルの信じられない顔に、相手はただ微笑んで、そして再び口を開いた。


「タニル、あなたの勇気と善良さを認めます。 質問、あなたは選召を受け入れて――選ばれた勇者になりたいですか?」


 光の女神の言葉は、常識を超えていた――—しかし、さっきから、タニルの常識は壊れてしまった。


 大人たちは、この世界には魔法や魔物などようなものが存在すると言いだろう――けど小さい頃から村で育ったタニルは、見たことがない。


「…選ばれた勇者?」

「そうです。」


 光の女神は少年に肯定的な目を向け、この世界について彼に話してくれた――


「魔剣を封じる力は、どんどん衰えつつある。 この世界は、危機に瀕しているのです。」

「ははははは――!!」


 遠くない魔女、リアは思わず声をあげて笑った。


「田舎の若僧に探して救世主にしたなんて!……光の女神の事績も、ついに終わったのだろうか。」


 リアは笑いをこらえ、意地悪そうにタニルを見た――このは運のせいだけに選ばれたような少年だ。


「もっと良い候補者はいないでしょうか?」


 と皮肉に言った。


 しかしタニルは怒っていないし、リアの言葉について、彼の心の中にもかすかに認められていた。 彼は光の女神を見つめ――正確には、宙に浮いた、憑依された少女。


「リアは言うとおりだ。 私は本当に資格があって、あなたの言うことに……勇者になりますか?」


 少年は真実の答えを求めているだけで、是非を問うわず。


 そのとき、体の大きい高いのオーガは、まだそれの太い爪を使って、柔らかい光を放つ透明バリアをパタパタ平手打ちしていた。


「もちろん、タニル。 あなたは本当の勇気と良識を持っている。 このような品質は貴重でございます。」


 光の女神は眉を伸ばし、ようやくかすかな笑みを浮かべた。優しい無限の目つきは、少年の将来の運命を見るようだった。


 オーガは体で柔らかい光のバリアに衝突し始めた。 一部の兵士が前に立ちはだかっていた――それが彼らの義務である。 それでもオーガはついこの間まで、、彼らの騎士様であった。


 兵士たちは槍で止めていたが、効果がなかった。 いかなる努力も、自分に不幸をもたらすだけだ。


 殴られたり、飛ばされたり、オーガの前で倒れたり、地面にひどく落ちたり――


 目下の状況は危機的である。


「勇者になると、新たな力を得られるが、それにも代償が必要だ。」


「……何の代償か?」


 タニルはそう尋ねたが、彼は黙視し続けることができないだった。


 けれども、光の女神はただ憐憫の眼差しで、目の前に起こったすべてを見ているだけだ。


「勇者になるには、魔剣に対抗する使命を果たし、闇の神を阻む必要がある。 しかし、最後の聖戦で、聖剣は断裂を破片としまった。その一部は海底に沈み、残りの部分も、神力を失ってしまった。」


 光の女神は説明をやめ、タニルも頭を下げた。


「わかりました……けど、そんな使命は、私には重すぎる。 私はおそらく――私は勇者の名前は似合いません。」

「もちろん、それは強要ではありません。」


 光の女神が退路を示す。


「あなたは自分の人生を選ぶことができます。 ここは私が守る。」


 光の女神の目に沿って、タニルは周囲を見回した。 さっきそれらの前に立ちはだかったが、オーガに撃退された兵士たちは、実際に怪我をしていなかった。


 光の女神はまた手を上げ、施法の準備をしていた――もちろん、彼女が使っているのはアルウィの身体だ。


 それと同時に、アルウィの体の、今、明滅している光は、示しているようを――光の女神の状態が不安定になり、すぐに消えてしまう。


「でもさ……」


 タニルがつぶやいた。


 光の女神は戸惑い、彼女は手の動きを止めて、少年の次の言葉を待つ。


「お前はアルウィの体に、いるんだよな!?」


 タニル質が尋ねった。


「アルウィだったら、彼女が自分のこんな重い運命を持っていることを知っていたら……彼女はきっと一人で、どこへ行ったのか分からないでしょう?

 放っておくわけないだろ! 勇者にならなければならないなら、 そして何か辛い使命を果たして、何か大きな苦痛を耐え耐えたら。 だったら、先に私に来てください!

 アルウィの体を、偉そうに占有しないでください!


――何かの儀式があったら、早く始めましょう!」


 少年の一連の質問や宣言に、林の中の全員――グランもリアも、まだ倒れていない兵士たちも、全員を驚愕させた。


「やっぱりあなたは特別だ、タニル。 あなたの覚悟は分かりました。では……」


 光の女神は、オーガを攻撃するための魔法を止めた。


 そして、新たな儀式が展開された――


「この世の理は、天に連なる。 この一生の宿命を受け入れよう、選ばれた勇者!」


 儀式のせいか、


 自分でも聞いたことのない言葉、少年は口にした――


「因縁が仮定に打ち勝つ、 恐れも求めるもない。

 心を奪われて勇ましく、善を失い悪を生む。


たとえ一生虚無であっても、 この世の真理を求めろーー!!」


 話が終わったばかりで、少年は全身に苦痛を感じて、思わず大声で叫んだ。


「あああああーーーーッッ!!」

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