収容所
気付いたら僕と彼女は、真っ白な壁に囲まれた収容所のような場所に閉じ込められていた。
どうにか脱出する方法を考えようと、辺りを見渡してみると、扉のようなものと、隣にスイッチのようなものがあった。
「殴れば同時にどちらかが犠牲になる。」
スイッチの説明文にはそう記述されていて、僕たちは頭を抱えて途方に暮れていた。
「どうすればいいんだろう。どちらかが犠牲になる状況には絶対にしたくない。どうにかして2人で脱出出来る方法を考えよう。」
僕たちはまず白い壁を調べた。壁はどうやら壁紙を上に貼った造りで出来ているらしい。
ドンドンと壁を叩くとあまり硬い素材で出来ていない事に気付いた。
なんとか衝撃を与え続ければここから出られるかもしれない。
そうして僕は同じ箇所をずっと殴ったり蹴ったりして、壁を壊そうとした。
すると彼女は、
「待って!殴ったらどちらかが犠牲になるって書いてあったでしょう?壁を壊したらそれも罠かもしれない。もう少し慎重に行動しようよ。」
と言って僕を止めようとした。
僕はそう言った彼女が少し怪しいと思った。
「壁は薄い。ここから出られるかもと言うのに、どうして君は止めようとするんだい?もしかして、この部屋について何か知ってる事があるのか?」
するとどこからかピッピッと何かをカウントする電子音が聞こえてきた。
「何も知らないわよ!それよりも、ねぇ、このカウント音は何?もしかして部屋、爆発するの?私たちどうなっちゃうの!?ねぇ怖いよ!」
彼女はパニックになってしまい、僕もどうにか早く脱出しようと辺りを見回した。
そうだ。扉のスイッチだ。アレを押して脱出しよう。だけど、あの説明文がどうにも頭をかすめた。
「…ねぇ、死ぬとしたら君が生き残りなよ。」
「嘘!?やめてよ…2人で生き残るかどっちも死ぬかのどっちかにしてよ。どっちも離れ離れになるのは嫌だよ…死なないでよ…」
彼女はわんわん泣きながら僕を説得をして、ついには号泣してしまった。
僕も思わずボロボロと泣いてしまい、悔し涙を流しながら彼女を抱きしめてこう言った。
「そうだよな!死ぬ時は一緒に死のうな!生き延びれたら、一緒に生き延びような!!僕は僕たちを閉じ込めた奴らを絶対に許さないからな!」
すると壁がバタンと倒れ、辺りが明るくなった。
「結婚1周年おめでとうー!!」
周りには沢山の人たちが居て、僕たちに拍手を送っていた。
すると僕の友人が前に出てきてこう言った。
「前に言っただろう?次の記念日は非日常的なパーティーにしたいって。」
友人はこう言い、僕は怒って彼を殴った。暴行罪で懲役2年、牢屋にぶち込まれた。
【ハッピー短編集】ストーカー @kurumipunch
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【ハッピー短編集】ストーカーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます