第11話

「深雪、あのね、澄子おばぁちゃんが、深雪に話したい事があるって。。。」


 なんとか気力をふりしぼって職場に行くと、奈美が走ってきて、そう言った。

 ドアを開けると、澄子おばぁちゃんが、そこに座って泣いていた。


「あの人が。。。来てくれたの」


「えっ!?」


「修太郎さんが。。。私に会いに来てくれたの」


「本当に?修太郎君。。。いえ、修太郎さん、変わってなかった?」


「あの人。。。私に合わせて、年を取った姿で会いに来てくれたのよ。あの人、私が年を取った姿を見られるのが恥ずかしいってわかっていたのね。

 ちゃんと自分も年を取った姿で会いに来てくれたの。そういう優しいところのある人だったもの。でもね、昔の面影がそのままだったからすぐにわかったの」


「すごくステキなおじいちゃんだった?」


 私はその姿を想像しながらそう訪ねた。


「ええ。とてもステキなおじいちゃんだった?おじいちゃんだった」


 私も、嬉しくなって涙が出た。

「良かったね。良かったね。澄子おばぁちゃん」


「やっと。。。やっとあの人に許してもらえたの」


「そう。本当に良かったね」


 ー修太郎君、会えて良かったねー


 澄子おばぁちゃんは、それからしばらくして老衰で亡くなった。

 とても安らかに微笑みをうかべて、静かに息をひきとった。


 ー良かったね。これでやっと二人になれたね。

 いつかまた生まれ変わったら、今度こそ一緒になれるといいね。

 きっとなれるよ。

 だって二人はソウルメイトだもんね

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