第7話

「そっか。やっぱり帰る事に決めたんだ。修太郎君」


 次の日の昼休み、奈美に打ち明けると、びっくりした素振りも見せずにそう言った。

「でも、深雪はそれでいいの?」


「良くはないけど。。。でも仕方ないよ。もう決めちゃったんだもん。元々、幽霊みたいな人だったんだよ。実際はこの世に存在しない。。。

 ちょっとリアルな幻」


「そうかもしれないね」


「だけど、それでも修太郎君に会えて良かった。修太郎君のおかげで、大切なものに気づく事が出来たの。自分がどれだけ今まで幸せに生きてきたのかとか、誰かを愛するってことは、その人の幸せを心から祈って、自分がその人のためにしてあげられるサイゼンノ事をしてあげることなんだって。。。

 私なんて、いつも人を好きになると、もっと自分を見てほしいとか、こうしてほしい、ああしてほしいって、要求するばかりだった。

 でも、それじゃちっとも成長しないんだなって」


「そうかな。。。私はそれでいいと思うけど。。。恋愛に正しいも、間違いもないんだし、時には我が儘になってもいいと思うけど。。。

 愛にはいろんなかたちがあるんだよ。

 後悔しないってことも大切なんだと思うよ。

 まだ時間はあるんだし、深雪は、今の深雪の気持ちを、修太郎君に伝えた方がいいと思うよ。

 会えなくなってから後悔しないように」


「でも。。。無理だよ」

 そんな私の言葉を聞かずに、奈美は続けた。


「私さ、明日の休み替わってあげるから、とにかくがんばってみなよ。せめて、最後くらい、いい想い出たくさん残しなよ」


 奈美の優しさに、感謝の気持ちでいっぱいに、なった。

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