第2話
7月の蒸し暑い夜。私は奈美と久しぶりに一緒に飲みに行こうかと盛り上がり、仕事を終えると行きつけの居酒屋に直行した。
立て続けにビール2杯と、二人で食べるにはちょっと多すぎない?と言うほどの焼き鳥だの、お刺身だの思いつくものを片っ端から注文した。
お腹もすいていたけど、仕事のストレスも手伝って、この日は本当によく食べ、話も盛り上がり、気がつくともう午前0時をまわっていた。
「帰りたくないね」
「でも明日仕事だよ」
「だよね。仕方ない。帰るか」
話はつきなかったけど、そこで私達は店を出た。
外は、夜になっても相変わらず蒸し暑かった。
途中で奈美と別れ、コンビニに寄って、朝食のパンとジャムを買い足し、そのまま家へ直行した。
ドアを開けると、家の中はムッとした空気に包まれていて息苦しく、明かりをつけた後、慌てて窓を全開にする。
ー窓を開けても、こんな日は風もそんなに入って来ないから、あまり変わりはないんだけど。。。
やっぱりクーラーほしいなぁ。
電化製品って、いきなり故障するから困る。
せめて今年の夏いっぱい頑張ってくれたら、来年は買えるんだけど、今年はまだちょっと買えないなぁ。
この暑さの中、眠れる自信はちょっと無いけど、明日も仕事だし、がんばって寝よう!
その前にシャワー浴びてこようー
と思い、浴室の方へ行こうとした時。。。
ーアレッ!?人が。。。いる?誰?ー
男の人が。。。ぐっすり眠っている。。!?
ーこの暑さの中、よくまぁこんなにぐっすり眠れるなぁ。。。って、そんな事に感心してる場合じゃない!!
こんな時間に他人の家に潜り込んでるって事は。。。
ドロボー。。。?
だよね。。。!?
やっぱり。。。
にしてもなんなの?
この格好ーーー
まるで。。。
兵隊さんみたい。。
古くさい感じだし、横に置いてあるのはヘルメットみたいだけど、これも随分古そう。
でもどうしよう。
警察に電話するべきなんだろうかー
とにかく、怖いので警察に電話をかけようと、そーっと動きかけたその時、男がもそもそと動き出し、とうとう目を覚ましてしまった。
ーああ、絶体絶命!!ー
「な。。。何してるの?勝手に人の家に上がり込んで」
やっとの思いでそう言った。
心臓から口が飛び出そうだった。
ところが、どうやら驚いているのは彼も同じらしく、見慣れない家の中の光景に戸惑っているようだった。
それでも、私に対して何か話さなければいけないと思ったようで彼なりに言葉を探している。
「すみません。実は。。。僕にもよくわからないんです。気がついたら、ここにいたものですから。。。」
「そんなわけないでしょう。どうせ嘘をつくんならね。もっとまともな嘘をつきなさいよ」
ー新手の詐欺かな。にしても居るか?こんな嘘に騙される奴。何が目的なんだろうー
不安で、思わず拳に力が入る。
「嘘じゃありません。本当なんです。申し遅れましたが、僕の名前は宇佐美修太郎と言います。
今日僕は、敵空母に突撃する為飛び立ったのですが、いざ目標に向かって突撃しようとした時、急に目の前に眩しい光が現れて、それから視界がすべて真っ白で何も見えなくなり、どこからともなく声が聞こえて来たんです。
ーあなたに7日間だけ未来への旅を与えましょう。7日後に、またこの世界へ戻ってくるか、それとも未来の世界へそのまま残るか決める権利を与えます。では7日後の夜12時ちょうどにー
。。。そして、気がついたらここにいたんです」
「。。。。。。」
あまりにも現実離れした話に、どう答えて良いのかわからなかった。
でも、嘘をついてるようには思えなかった。
少なくとも、危害を加えられるという心配はなさそうだ。
でも、これからどうしよう
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます