調査

 そんな出会いがあって、今の僕はここにいる。あれからかれこれ8年が経った。かの神様はまだ迎えに来てはくれない。僕は今、あのお方への感謝でいっぱいなのだ。

 あれから8年、何度だって死にかけたし、何匹もの生物を殺して来た。両親が殺された後、あの月のバケモノだけを殺していたけれど、それだけではつまらなくなって、気軽に殺すようになってしまった。そう、今はもう、楽しくて仕方がないのだ。今すぐにあってお礼を伝えたい。

 変化する毎日が、命をかけるその日々が、僕のその、鬱屈した今までを、全てを変えた。この8年は、おそらく過去の僕が、彼女の手を取らなかった時に得た一生よりも、それをあと4回生きたとしても足りないほどに満ちた時間だったろう。もし誰かが今の僕を、狂気に侵されていると評価したとして、否定はできないだろう。

 僕はあれから、かのお方にお会いするために、様々な場所を巡った。地球の者だけでは調査しきれなかったが、来訪者の方々にも協力を仰ぎ、招来の呪文を探索したのだ。始めは怒りから。それから後は、感謝から。

 しかし、未だ見つからない。かのお方は数年後には迎えに来ると仰っていた。今思えば、かのお方に時間の概念が存在するのかどうかも不思議ではあるが、おそらく他にも様々な場所をめぐり救済活動をしてくださっているのだろう。

 それにしても、遅いのだ。もし仮に招来の呪文を見つけ出したとしても、本当に来てくれるかどうかはわからない。かのお方達という存在は、そういうものなのだ。

 この手記は、僕の原点を記し、挫けそうになってしまった時に見返すため、保管しておこうと思う。いつか、かのお方に感謝を伝える時に、忘れてしまわないようにも。

 ああ、叶うことならば、今目の前に現れて私をさらなる世界に連れ出していっていただきたいものだ。

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