第9話 吾輩まさかの毒殺end

吾輩は目を覚ました。こうもりが話しかけてくる。


「旦那、お目覚めですか?」

「あぁー、疲れた」

「お疲れ様です」

「あら、今日は眷属が優しい……」

 

 どういう風の吹きまわしだろうか……?


「まぁ、頑張ってますからね」

「ありがとう……?」


 素直に言われるとちょっと受け止め辛い。


「旦那、お茶でも飲みますか?」

「あっ……ハイ。お願いします」


 今日は何か特別な日だったか?


 吾輩の誕生日でないけども……?


「はい、粗茶ですが」

「知ってるよ、雑草だもんね」


 お茶を頂きながらの吾輩です。久々のバンパイア。


 まぁ、改稿ばかりしているので何か書きたいなー、なんて思ってエッセイに手を出した感じです。物書きなんてものは何か書いてなきゃ落ち着かんのかもしれませんね。書く時間が欲しいと渇望するのも常日頃からですしね。


「お茶の味はどうですか?」

「……?」


 なぞの問いかけに吾輩は湯飲みを覗く。そもそもそこら辺の葉っぱを乾燥させたお茶の味などたかが知れている。どこ産かと聞かれればウチ産ですと言える代物。


 毒でも盛られたか……?


「おかわりはいりますか?」

「いえ……結構です……」


 致死量に足りないだけなのか……?


 今のところ体に異変はない。まさかのバンパイア最終回は毒殺end。


「さぁ、お仕事を再開して下さい」

「あぁ……するよ……する」


 日常がふと突然変わると恐ろしいということを身をもって体験した次第。


 最近は何やら世の中が物騒でありますね。パンデミックと言えるかもみたいなことをふざけた人たちが言いますが、もはやパンデミックですよと現場は言いたいです。


 連日こんだけテレビで騒がれちゃ、パンデミックって何よと、


 言いたくなる昨今です。


 株価も急落していますね。資産家の人たちは阿鼻叫喚でしょう。大丈夫です、長期保有すれば戻るので今が買いですかね。戻らない時は、世界が終わる時です。


 金を持っててもしょうがない。死人に銭なしと。


 お外に出られないかと言えばそうでもなく、みんな結構外出しています。


 なぜか夜だけ出歩く人が少ない気もしますが、家族団欒が増えていい傾向かもしれません。これを機に頼れるお父さん計画なるものを発動するのも良きかなと思う吾輩です。


 ピンチの時こそ、頼りになるお父さんキャラ。


 憧れますね。


 あと引きこもりが生き残る世界ができるやも。これはSFチックな感じですね。人工的に作られた細菌兵器が漏れ出し、動いている人間たちが死んでいくなかで動かなかった人間だけが生き残るデストピア。


 不謹慎ですけど、創作心をくすぐられますね。


 こんなことを考える余裕があるのも、どこかでどうにかなるだろうと思ってるからです。正直この状況で頑張ってくれる人がいるのです。人任せと言われればそれまでですが、その通りです。



 きっと、誰かが特攻薬を作ってくれるさ!



 作る人は大変でしょうが、吾輩には作れないのでお願いしたい。この世界の救世主となって頂きたい。吾輩ではバックアップもできないがどうかお金持ちや政府の方々が支援してあげて欲しい。


 こうやって、考えると意外と人任せで生きている自分がいると気づきます。


 まぁ、でも出来ることと出来ないことがあるのが人間です。


 なんでも出来る完璧超人などいやしない。 


 何かが出来ても大抵のことが出来ないのが人間です。


 それでいいんだと吾輩は思う。そういうキャラたちが居てこその物語。一人でなんでもかんでも出来る超人など出てこない。ソイツ一人でどうなる。みんながいるからこそ出来ることがある。


 だからこそ――世界は回るのです。


「旦那……」

「どうした眷属?」

「もっとしっかり生きてください!」

「うえッ!?」


 このあと説教をされて二時間後に眠りについた吾輩。


 眷属はいったい……どうして機嫌を損ねたのか。


 謎は深まるばかりである。


《つづく》

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