第4話 吾輩……異世界転生がなんたるかを知らない????

吾輩は目を覚ました。こうもりが話しかけてくる。


「旦那、お目覚めですか?」

「目覚めている」

「いつになく……真剣な顔つきで」

「また何か気づいたかもしれない」

「いつもの……やつですね」


デットエンドが200万文字来たことで大分見えてきた。いままで吾輩がずっと悩んできたものが、吾輩がずっと抱えていたものがすっと落ちていくような感覚がした。


表現力が足りないのが、一番の課題。


それでも、ずっと何がこの作品でやりたかったのかを悩んできた。


神々が登場して喋っているシーンで分かった。


『吾輩はずっと退屈だったんだ』


別に異世界転生を否定したいわけではないことを先に言っとく。それでも胸にずっとつっかえていたものがあった。何度か書いたかもしれないがもはや大喜利大会にしか見えないのだ。


転生というもので何のスキルを得るのか。それを使って読者の心を掴む。


これが正しい戦略だと分かっている。


だって、読者はそれを求めて来ているのだから。


異世界転生っていうのはそういうものだ。才能というものを神から与えられることで人生が上手くいく。それだけで全てを解決してしまう。それがずっと続く。


どの物語もそういう形になるべきなのだ。


『それが退屈だったんだ』


似て非なることはわかっている。世界観も違うこともわかる。主人公のキャラクターが違う。それでも大多数がそうなのだ。似たようなものをせっせと作って似たようなことを見せて、似たようなヒロインばかりが出てくる。


いくつも見れば見る程に、似たり寄ったり。


個性とかがないように見えてしまう。狙って似せているのだから当たり前の結果でしかない。それが成功のプロセスなのだから。そうやるのが正解なのだから、なんら間違ってなどいない。分かっていてやっているのだから、問題などない。


『ただ、吾輩は退屈だったんだ』


けど、それもいつか終わるのだろう。


実際、異世界もののアニメはやっているけれども、段々と食いつきが悪くなっていることが明白になっている。最近に至っては異世界転生よりもジャンプ漫画のアニメ化が盛り返している。


まぁ、比べてもいけないのかもしれないが……。


書いておきながらも漫画の世界もそうだ。似せてくるものが多くなった。ウケているものがあればそれにかぶせる様にして、キャラクターを変えてウケる設定そのままにやる。


インスピレーションと言えば聞こえはいいが、そうではない。


絶対にそういうものではない。


、似せているのだ。


これが退屈の元になる。


見ていて読んでいて退屈を感じてしまう。昔から少なからずあったのは分かっている。それでも決定的に感じるのは最初だけなのだ。終わりなどは考えていないのだ。掴みだけに力を入れてしまって、後先を何も考えていないように感じてしまうのだ。


本来は似ていても終わりまでの道途中で分岐するはずなのに……何一つ分岐がないのか。ふと、我に返ると……何かとんでもないことを書いてるような気もしてきた。思ったことをそのままに書くのが……良くないかも。


けど、吾輩は考えたい。


どうして、退屈を感じているのか。どうして、そう思ったのか。


その、自分の中にあるものを出したい。


『結局、何を書きたいのかが分からないままで終わるのではなかろうか?』


これだッ! これだッ! これなんだッ!!


吾輩は異世界転生が最後まで終わる瞬間を見たことがない、最後まで見たとして何が異世界にあるのだろう。結局チートを得た後でどうなるのだ。途中でエタるものはいくつも見たが、ちゃんと終わっているものを読んでいないからかッ!?


「旦那……?」

「結局、異世界転生ものってどうやって終わるの? 漫画とかでも途中で完みたいな感じでぶつ切りで終わるんだ……まだ旅は続くみたいなッ!」

「……さぁ」

「いつも最後まで読んでない……?」


webで完結しているものを読めばいいのか。アビスコーリングは見たよな。


それ以外が……ない???


吾輩……異世界転生がなんたるかを知らない????


「旦那?」

「まじかッ!!?」


っていうか、ちゃんと終わってるやつを読んでない!?


衝撃の事実に吾輩は震えて眠る。



《つづく》

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