2-4 冒険者ギルド
フレゴルドの街は比較的大きいために、冒険者ギルド、商業ギルド、工房ギルド、それに錬金術・薬師ギルドの支部があるらしい。
フレゴルドは周囲を高い城壁のような石壁で囲まれ四方に大きな門がある。
外から見た感じは中世ヨーロッパの城塞都市だが、内部に入ると道路の舗装は無く、建物も木造建築が多くて、どちらかというとアメリカの西部開拓時代の街並みというイメージに近いかもしれない。
都市に入る際、門衛からチェックを受けたのだが、今回は姫様一行の保証があるので無料だが、本来証明書の無い者は、門の出入りに金がかかると念押しをされた。
そのために俺はとりあえずラノベでは有名な冒険者ギルドに行って、冒険者の登録を済ませ、その上で手持ちの魔核の一部を売って、現金にしようとしていた。
あ、そう言えば、オーク討伐の証拠として右耳を提出すれば討伐賞金が貰えるとのことだった。
近場で少しは探してみたのだけれど、頭部をぶっ飛ばしたために見つかった右耳は3体分だけ、俺がぶっ飛ばしたのは全部で19匹だったけれど、それだけでは倒した証拠にはならない。
まぁ、オークの死骸をギルドまで運べば肉が金になるし、討伐証明にもなるんだけれど、何せオーク一匹で体高2m50、体重300キロを優に超える化け物なんで、馬車でもなければ普通は運べない。
ま、俺はインベントリがあるから少しは運べるんじゃないかと思うんだけれどね。
インベントリ持ちって言うのがばれると
因みに町の中を歩きながら鑑定をしまくって、歩く人のステータスを出来るだけ確認したよ。
一般の人は、子供でも10歳ぐらいになればレベルは10ぐらいになるようだ。
HP(生命力)は人により格差があるが、一般の人で20から30、冒険者や軍人で25から35程度。
MP(魔力)は全くない人はいない様だが、最低線で5ぐらい、平均で10ぐらい、魔法師で15から20ぐらいのようだ。
因みに、ヒーラーの女騎士パメラさんは16だった。
STR/Strength(筋力)は一般の成人男性で10程度、冒険者や軍人などの武人で20前後が平均的である。
DEX/Dexterity(器用さ)は、それこそ人により差が大きい。
武人でも3から7程度、商人では3から5が普通、職工で5から10程度だ。
VIT/Vitality(丈夫さ、持久力)も千差万別ながら3から25程度までである。
INT/Intelligence(知性)のほうは子供で2以上、成人で5から20とこれも差があるが、往々にして商人の数値は高い様だ。
MND/Mind(精神力)は2から10程度まで。
LUK(運)は、1から5ぐらいまでで、2もしくは3が多く、5は滅多にいない。
AGI/Agility(敏捷性)は、一般の人で10前後、武人で20から30前後のようだ。
CHA/Charisma(カリスマ、魅力)は、一般で2から4が普通、5の人は出会った中で一人しかいなかった。
因みにCHA5の人は今目の前にいる冒険者ギルドの綺麗な受付嬢である。
スキルについては、様々であるが、LV5ぐらいが一番高そう。
魔法属性も俺みたいに11個も持っているのはいませんでしたね。
見ている限り、魔法属性を持っていない人も三分の一近くいるのだけれど、一個だけ持っている人が普通なのかな?
二個持っている人はアバウトだけれど百人中二人ぐらいだった。
因みに魔法属性の三個持ちは見かけなかったな。
結果としてわかったことは、やっぱりアルノス幼女神はやらかしたようです。
俺の魔法属性は絶対に多過ぎじゃん。
それにレベル1にしては、他の数値も俺のステータスちょっと高過ぎるぜ。
まぁ、もらう分には構わないんだけれどね。
隠すのに困るかなぁ。
まぁ、そんな次第で途中色々あったけれど、やって来ました冒険者ギルド。
盾の前に交差した剣と槍の看板が目印のようです。
因みに「冒険者ギルド」と記載された文字もしっかりと目に入り、俺の貰った言語能力の凄さを思い知りました。
だってこれまで一度も見たことも無い文字なのに、すぐに意味が分かって読めるってのは凄いじゃん。
で、目の前の綺麗な受付嬢、お名前はレイナちゃんというらしいです。
鑑定かけたら18歳でした。
諺に曰く<<鬼も十八、番茶も出花>>ですが、レイナちゃん鬼じゃないですよ。
多分、冒険者ギルドの看板娘だと思う。
レイナちゃんにっこりとほほ笑んで挨拶代わりのセリフを言う。
「冒険者ギルドにようこそ。
受付のレイナと申します。
今日はどんな御用でしょうか?」
「えっと、冒険者ギルドに登録したいのだけれど。」
「はい、登録ですね。
ギルドへの登録は12歳以上ですが、お客様は大丈夫ですよね?」
おいおい、12歳って、単なる年齢確認だよね?
それとも、ひょっとして俺ってそんなに若く見えちゃうの?
「ウン、俺は17歳だよ。」
「はい、それでは、この用紙に必要事項を記載していただけますか?」
そう言って出されたのは目の粗いパピルスのような紙だった。
こりゃぁ、いずれ紙も
一応手書きで書かれた枠と文字があり、名前、年齢、得意スキルを記載するようになっている。
それらを記載して、レイナちゃんに渡した。
「はい、リューマ様ですね。
では、こちらの魔核に右手を触れていただけますか?」
俺は言われた通り、その直径10センチほどの水晶玉のような魔核に手を触れた。
「あら?
何も出ないわねぇ。
調子が悪いのかしら?」
レイナちゃんが独り言のように呟く。
「あの、何かが出なければいけないの?」
「ええ、まぁ、普通は犯罪歴の有無とレベルが表示されるはずのに、何も出ないの。
犯罪歴が出ないのは別におかしくないけれど、レベルはゼロなんてありえないし、最低でも17歳なら10程度は出るはずなんだけれど。」
そこで俺はハタと気づいて冷や汗をかく。
隠ぺいをかけているからステータスが全部見えないんだ。
慌ててレベルの項目だけ解除しようとして、またしてもハタと気づいて困る。
あれ、俺ってレベル1じゃなかったっけか?
慌てて確認すると、ステータス上がってましたよ。
名前:リューマ・アグティ
種族:ヒト族
年齢:17歳(23歳)
性別:男
職業:------
レベル :19(+18)
HP(生命力) :280(+180)
MP(魔力) :190(+90)
STR/Strength(筋力) :13(+3)
DEX/Dexterity(器用さ) :40(+30)
VIT/Vitality(丈夫さ、持久力) :13(+3)
INT/Intelligence(知性) :150(+50)
MND/Mind(精神力) :20(+10)
LUK(運) :11(+1)
AGI/Agility(敏捷性) :33(+3)
CHA/Charisma(カリスマ、魅力) :11(+1)
言語理解:5(ホブランド統一言語ほか)
【スキル】
剣術 :LV1
槍術 :LV1
棒術 :LV1
格闘術 :LV1
弓術 :LV1
生活魔法:LV1
鑑定術 :LV1
隠ぺい術:LV6(+1)
射撃術 :LV5(New)
【ユニークスキル】
錬金術 :LV2(+1)
魔法創生:LV2(+1)
インベントリ:LV1
【魔法属性】
火 :LV1
水 :LV1
木 :LV2(+1)
金 :LV1
土 :LV3(+2)
風 :LV3(+2)
光 :LV1
雷 :LV1
聖 :LV1
闇 :LV1
無 :LV2(+1)
【加護】
アルノス神の加護(アップ率上昇)
【称号】
魔弾の射手(new)
レベルを始めとして何か上がりまくりですよ。
射撃術増えた上に「魔弾の射手」とかの称号まで付けられちゃった。
普通はそんなにつかないでしょう。
やっぱりオーク19匹分の
どうしようこのままレベル19でいいのかなぁ。
分隊長のシレーヌさんでレベル25だけれど、他の騎士さんと比べると彼女もやっぱり少し高目なんだよね。
だからレベル19はちょっと高過ぎるかもしれない。
調整してレベル15にしておこう。
で、俺はレベル15と
因みにステータス上のレベルは15《19》となっている。
途端にレイナちゃんの顔がほころんだ。
「あ、出た。
レベル15ですね。
これなら十分です。
では仮のカードを作りますので少々お待ちください。」
それから5分もかからずに、レイナちゃんが俺の名前が刻印された薄い鉄板のカードを渡してくれた。
「はい、これはGランクの冒険者カードです。
Gランクは見習い期間です。
ですから登録料も取りません。
相応の実績があればFランクに上がり正規会員として認められます。
その時には正規の登録料として大銅貨3枚が必要ですので、必ず用意しておいてくださいね。
登録が初めてならば、冒険者ギルドの規則や注意事項をご説明しましょうか。
ここで説明を受けずとも構いませんが、以後は、一応規則や注意事項は知っている者として扱われます。
後で訊いていませんという抗弁は認められませんので注意してください。」
「はい、全くの初心者なので説明をお願いします。」
それから小1時間ほどは、レイナ嬢の懇切丁寧な説明が続いた。
お陰で、ちょっと別の冒険者に白い目で見られたことは間違いない。
どうやらレイナ嬢目当てでギルドにやってきている冒険者たちも少なからずいるようだ。
要約するとGランクのカードは鉄板、Fランクも鉄板だが赤い縦ラインが右脇に入る。
Eランクは、それにもう一本の赤い横ラインが下部に入ることになる。
Dランクになると銅と灰銀と呼ばれる金属との合金からなる板になり、全体が薄赤色になる。
Cランクは、黒がねと呼ばれる黒色合金となり、Bランクではそれに白い横ラインが一本入り、Aランクでは縦のラインが加わり右下隅で交差するようになる。
更にその上はSランクで、金と灰銀の合金で金色を呈している。
SSランクは、白金と呼ばれるプラチナ合金で白色を呈し、SSSランクになると紅白金と呼ばれるピンク色に近い色合いで光を浴びると虹色を呈することからレインボーカードと呼ばれるらしい。
それぞれランクアップには必要な実績を上げなければいけないのだが、冒険者カードを取得してからの魔獣や魔物討伐の実績などは、カードを身に着けている限り自動的に記録される様だ。
因みにCランクからAランクまではランクアップに実地試験があるようだ。
実績についてはカード単体では見られないが、ギルドの解析機にかければ実績履歴が一望できるらしく、その記録はその都度ギルド内にある大きなデータ保存用魔核に複写される様だ。
まぁ、ラノベで凡そのことは知っていた知識の再確認なのだが、ラノベによっては色々設定が違ったりしているからね。
その辺を間違いないようにしておかねば・・・。
説明を終えて何かご質問はと聞かれたので、冒険者になる前に魔核を入手したのでそれをここで売ることはできるかと尋ねた。
別の窓口で審査して買い受けられるということなので、レイナ嬢にお礼を言ってから買い受け窓口に赴いた。
買い受け窓口では、アルノス幼女神様から渡された魔核で一番小さなものを出したのだが、それでも窓口の人に驚かれてしまった。
何でも魔物としてはAランクに相当する黒岩トカゲの魔核らしく、討伐するにはAランク冒険者数人若しくはBランク冒険者ならば少なくとも20人以上のパーティで立ち向かわねばならないらしい。
俺はそこでも
結局、冒険者の門出のお祝いとして田舎の爺様からもらったものだと説明した。
その場を何とかごまかして得た金額が金貨15枚である。
通貨単位は良く知らないが、受付のレイナ嬢が大銅貨と言っていたから銅貨若しくは小銅貨があるに違いなく、金貨があるなら銀貨もあるに違いない。
仮に銅貨、大銅貨、銀貨、大銀貨、金貨の順ならば、1の下にゼロが4個付くほどの金額。
通貨の¥、$、€などと同じく若干の価値の違いはあるだろうけれど、普通ならば金貨一枚は10万円ほどの価値じゃないかと思う。
商社という商売柄か、研修中に見せてもらったことのあるクルーガーランド金貨で、二分の一オンスで直径が3センチほど、重量は約34グラム、純度91%超の22金だった。
今回ギルドで支払われた金貨はそのクルーガーランド金貨よりも少し大きめなのだ。
で、クルーガーランド金貨のお値段は研修当時で12万円を超えていたから、1,000$(ドル)から1000€(ユーロ)ほどには間違いなくなるだろう。
仮に銅貨がドルレートの1セント程度なら金貨で100ドルと少し安くなってしまうのだが、最小通貨単位はどうなんだろう?
疑問を抱えながらも、俺は、ギルドを出て宿を探した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます