第8話 アリシアの秘密
「お前、ドルイド一族の──」
「はい。いままで隠してきてすみませんでした──」
「噂には聞いていたが……」
ドルイド一族。その一族は過去に、
「嫌いになりましたか?」
不安そうな顔をするアリシアに、アレンは笑いかける。
「そんなことないさ。今でもドルイドの事を嫌ってるのなんて、教会とか一部の貴族だけだろ。それに、お前がドルイドだったおかげで、俺も助かったしな」
お前じゃなくてアリシアです、と頬を膨らます彼女の頭を、そうだったなと笑いながら撫でるアレン。
「そういえばアリシア、俺の腕輪知らないか」
「腕輪……あっ」
慌ててポケットの中に手を入れる。指先に堅い何かが触れた。良かった、流されていなかったようだ。
「これですか? すみません、寝ている時に痛そうだったから。大事な物なんですか?」
差し出された腕輪を受け取ると、アレンは答えた。
「こいつは昔俺が旅してた頃、ある魔術師の婆さんを助けた時に貰ったんだ。ドラゴンの力を封じ込めてある、らしい。これを付けるとその力を振るうことが出来るっていう代物だ。完全なパワーじゃないけどな」
「あっ」
その瞬間アリシアは気付いた。どうしてアレンが急に弱くなったのか。
「じゃあ全て私のせいじゃないですか!」
自分を責めるアリシアに、そんな事ないとアレン。
「アリシアは善意からの行動を取ったんだ。何も悪くないさ」
へらへらと笑うアレンに、アリシアは少し安心する。
「さてと、あいつをさっさと倒してナーサリアに帰るぞ」
「でも、武器も防具もありませ──」
アリシアの言葉を遮るように。
「グオォォォォォォォォ‼‼」
雄叫びが、響いた。
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