第5話 闇夜の敵襲
それから
それに、最初は落ちていたアリシアの金を勝手に使うような、ひどい人だと思っていたが、この数日間行動を共にして、そんなに悪い人じゃないとも思えていた。
ふと、腕を枕にして寝ているアレンの
「食い込んで痛そうだな……起こしてしまわないと良いけど」
アリシアはそっとアレンの腕をずらし、腕輪を外した。それをローブのポケットにしまい、アレンの腕を元に戻す。これで少しでも気持ち良く眠れると良いな、と思った時だった。
音が聞こえた。まだかなり遠いが、間違いなくズシンズシンと何かが近づく音がする。
「何の音だろう……近づいてくる……」
焚火はまだ燃えている。魔物は普通、炎を嫌う。自ら進んで近づいてくる事は無いはずなのだが。
「ア、 アレンさん! 起きてください! 何か来ます!」
慌てて杖を持ち、音の方を
「なんだ、一体どうした⁉」
「向こうから何かが近づいてくる音がするんです!」
「……確かに聞こえるな。しかもだいぶ近いぞ」
耳を澄まし、音を確認した後、すぐ隣に置いてあった長剣を抜く。
「炎の裏に回るぞ」
アレンの指示通り、音がする方向と自分達の間に焚火を挟む形に移動した。
息を
四メートルほどの、
「グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」
それは二人の姿を目視すると、大きな雄叫びを上げた。
「オーガだったか、この森に住み着いた魔物ってのは」
長剣を構え直すアレン。
「山脈でも越えて来たのか? そしてまた
オーガの手には、巨大なファルシオンのような
「ぴったりなサイズじゃないの。なんだ、お前ら
にやにやと笑うアレンを一瞥すると、「グオォォォォォォォ」と叫びながらオーガが横薙ぎの一撃を繰り出した。
アレンはすっと腰を落とし、その攻撃を長剣で受け止めようとして───吹っ飛んだ。
「なっ⁉」
優に五メートルは吹っ飛び、したたかに木の幹に叩きつけられる。
衝撃で肺から全ての空気が吐き出され、腕と腰に激痛が走った。
「ぐっ、なんで──」
アレンが右腕に目をやると、腕輪が無くなっていた。寝る前に外した覚えはない。痛みを
「おい!何してる! 早く逃げろ!」
叫ぶアレンの声に、なんとか立とうとするが、力が入らないらしく、立とうとしてはこける
「ちっ」
軽く舌打ちし、
大きく振り上げられたオーガの大剣が、アリシアを叩き潰さんとしているところに、なんとか間に合ったアレンが彼女を抱きかかえ
「馬鹿! 何してる! 死にたいのか!」
下ろしたアリシアの目を見つめて大声で叫ぶ。それが
「あ、ありがとうございます!」
「礼はいい、それよりお前──」
アレンが何かを言い終わる前に。
「グォォォォォォォォォォ!」
雄叫びに振り返ると、オーガが大振りの攻撃を放つところだった。
「まずいっ」
アレンはアリシアを思いきり突き放した。そしてオーガの上段からの攻撃を横っ飛びで避ける。ドゴッ! と重い響きを立てて地面に大剣がめり込んだ。安心したのも
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