ソードの6

渡し船に乗る男。毛布で全身をくるんでうずくまる背中が描かれている。

男の後ろには立って船を漕ぐ船頭の男。こちらも後ろ姿。

船には六本の剣が突き刺さっている。


<絵柄のイメージ>

逃げ隠れるように湖を渡る人物


<正位置の意味>

「転移」「脱出」困難から逃げる、逃避行、予想外の移動


<逆位置の意味>

「膠着」「停滞」八方ふさがり、逃げることが難しい、どちらが出口か分からない



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



【王様と十本の剣 第六話】


 王様は身を隠すため、国から遠く離れた場所に向かいました。


 他国の領土へ逃避するなど、王様にとっても予想外のこと。


 このままでは膠着状態です。現状を打破する手段もなく、八方ふさがりでどうすればいいのかもわかりません。


 心配はいらない。小さな船はきっと未来に向かっている。

 王様は霧の先を静かに見据えています。



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



「毎日王様の株がストップ安だわ。治める立場なら国と運命を共にしてくれると格好良いけど――」


 言いながら姉ちゃんは即席ワンタンスープに冷蔵庫のごま油を垂らした。湯気に香ばしさが加わる。


「現実的な行動なのかもね。この王様がやってることって」


「国民からすれば、たまったもんじゃないけど」


 トップに立つ者は責任を負う。なんて思っているのは下にいる人間だけなのだろうか。一番偉い立場なら不利益な情報も真っ先に入ってくるから、対処するなり逃げるなり、周りが動く前に行動を起こせる。


 王様も国民も同じ人間。だったら命が惜しいと思う気持ちを否定するのは、難しいのかもしれない。


 ……というテーマを小説に組み込んだら、創作小説に厚みが出るだろうか。

 いろいろな立場で物事を考えられる視点は大切だ。



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


「絵柄の通り、主な意味合いは移動だよ。後ろめたさを感じるのは身を隠しているからかな」


 カードに描かれたフード客の怪しさは満点だ。現代社会なら乗船拒否されても文句は言えないレベルだと思う。


「正位置は困難からの逃亡、意図しない移動を示す。逆位置だと逃亡自体が困難、逃げる場所がない、逃亡する方向も不明のどうしようもない状態を暗示している」


「そんなシチュエーションになりたくないわー」


 特に逆位置はつらい現状から逃げることができない。

 どうにもならない状況下で『逃げる』コマンドが成功しないときは絶望だ。そんなときに限って大金を持っていたり、セーブしていなかったりする。


 立ち向かうことは必ずしも正解じゃない。

 逃げることを間違いと捉えず、その場その場で最善の行動が選べるようにしたい。

 もちろん逃げてばかりも問題だけど。




※)タロットの絵柄を確認したい方はこちらをご覧くださいませ

↓ブログ「やっぱりたけのこぐらし」小アルカナ:ソードの絵柄紹介↓

https://takenokogurashi.com/tarot-arcana-sword


※)「王様と十本の剣」の参考にさせていただいたサイトはこちら

↓++ヨウコのタロット占い++ 小アルカナの意味早見表・ソード↓

http://www.3tail.net/tarot/card/sword.html

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