ソードの5

灰色の雲が流れる青空の下、三人の男が描かれている。

手前にいる男は左手で二本の剣を抱え、右手に一本の剣を持つ。足元には剣が二本落ちている。顔は遠くにいる二人の男を見つめている。

他の男は背中を向けたり、背中を丸めている。


<絵柄のイメージ>

争いに勝った男と、負けてその場を去る者たち


<正位置の意味>

「争い」「不名誉」「敗北」相手より優位に立つ、なりふり構わない、妥協する


<逆位置の意味>

「卑怯」「破綻」「失敗」奪い奪われる、関係の修復は程遠い



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



【王様と十本の剣 第五話】


 王様は奪い取られた自分の城へ奇襲を仕掛けました。

 相手から奪った武器を利用して戦います。


 もはやなりふり構っていられません。汚いと罵られようが、相手に勝つためあらゆる手段を講じました。


 国民の信頼は破綻しているでしょう。関係修復も困難です。

 でも今は城を奪い返すことが優先。


 ――必死の戦い虚しく、奇襲は失敗。

 兵のほとんどを失い、王様はまたしても逃げ出しました。



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



「話が進むたびに王様の無計画っぷりが露わになっていくわ……」


 残念極まりない表情で春巻きにかじりつく姉ちゃん。上司だったらマジ勘弁とか思っているんだろうな。


「仕事は先を見据みすえて行うものよ。自転車操業で続けていたら必ず破綻する」


「ビジネスじゃなくて統治なんだけど……王様に国を治める才能がないから、今の状態になったと思って」


「なんとも歯がゆい内容ね」


 姉ちゃんは昔っから俺の要領が悪いと口を出してくる。プラモデルのパーツはきれいに切り離せとか、手持ちのカードで相手に逆転できる方法とか……興味がなくても説明すれば上手にできるところが悔しい。不器用な俺にはうらやましい才能だ。


 でも姉ちゃんは女王という雰囲気ではない。例えるなら――お節介な秘書。

 会社も国も、こういう人に支えられて回っているんだと思う。



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



 そろそろ読み取りの話に切り替えよう。


「正位置はなりふり構わない気持ちを表している。近いところで妥協かな。あとは敗北とか」


「絵柄の男は剣を何本も拾ってどうするつもりなのかしら」


「火事場泥棒じゃない? 売ってお金にしそう」


 使用済みでも半値や耐久度に応じた金額で買い取ってくれる。

 というのはゲーム世界での取引。


「逆位置は意味がさらに悪化、気持ちが一回りして虚しさや諦めすら漂う」


「『俺は一体何やっているんだろう、このままでいいのかな』って考えてるのかしら。そうは見えない顔してるけど」


 どちらにしても人間関係のバランス変化を暗示する。親しい人や職場の仲間に向けてカードを引いてしまったら、ちょっとだけ意識を傾けて接してみるのがいいかもしれない。




※)タロットの絵柄を確認したい方はこちらをご覧くださいませ

↓ブログ「やっぱりたけのこぐらし」小アルカナ:ソードの絵柄紹介↓

https://takenokogurashi.com/tarot-arcana-sword


※)「王様と十本の剣」の参考にさせていただいたサイトはこちら

↓++ヨウコのタロット占い++ 小アルカナの意味早見表・ソード↓

http://www.3tail.net/tarot/card/sword.html

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