ソードの3

灰色の空に真っ赤なハートが浮かび、そこに三本の剣が突き刺さっている。

空には雨が降っている。


<絵柄のイメージ>

心に刺さる出来事を連想させる


<正位置の意味>

「悲しみ」「離散」「喪失」避けて通れない苦しみ、別れ


<逆位置の意味>

「混沌」「困惑」痛みを伴うが現状は終焉、回復の兆し



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



【王様と十本の剣 第三話】


 戦いに敗れた王様は兵を連れ、国を捨てて逃げました。


 「避けられない戦いに負けたんだ」と自分に言い聞かせます。領土、財、民、多くを失った悲しみや苦しみを胸に、自分の国に別れを告げて。


 心中に渦巻くのは混沌とした気持ちです。痛みなどはもはや感じなくなっていました。とにかく一度、立て直さなければ。


 降り始めた冷たい雨が全身を責めるように穿ちます。王様は森の中の砦にたどり着きました。



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



「トップが責任を放棄するなんて、劣悪な王様ね。しかも自分は悪くない言い草」


 姉ちゃんはバニラアイスが包まれた大福をかじり、同情の余地なしと物語を斬る。


「こういうヤツ大っ嫌い」


「まあ好きな人もいないと思うけど……カードの勉強に移るね」


 俺は今回の絵柄を姉ちゃんに見せる。


「うわ何この画……見ているだけで心臓が痛くなりそう」


 ハートに3本の剣がぐっさりと刺さっている。背景はつらい気持ちを煽るような雨模様。どうみても悪い意味を暗示する絵柄だ。


「正位置はつらいこと、悲しいこと、苦しいことって意味。別れや心が傷つくこと、あとは手術って意味もあるらしい」


「大アルカナの『塔』も引きたくない暗示だったけど、こっちは具体性の込められた意味だからしんどいわ」


 暗示するのは人生で避けて通りたいことばかり。それが避けられない不可避イベントの予感を提示するなんてもう、心も瞳も閉じて家に引きこもるしかない。


「でも正位置が悪い意味なら逆位置がいい意味になるパターンもあるし……どう?」


「文献で解釈が異なるんだよね。苦しみから明けることを暗示したり、正位置の意味をより深めたり」


「深めるって……」


「負の感情のごった煮状態。まさに胸が引き裂かれる思い」


 どうして逆位置に「混沌」の意味があるのか不思議だったけど、気持ちが追い付かないほどネガティブの波が押し寄せると考えれば、一応はつながる。


 嫌なことが心の中でぐちゃぐちゃになれば、そりゃ混沌にもなる。最悪の状態だ。


「乗り越えなければならない試練。そう解釈するしか救いはないかも」


「結局は違う角度から見て受け入れるしかないのよねぇ」


 やまない雨はない。そう思って乗り越えていくのが人生だと思う。




※)タロットの絵柄を確認したい方はこちらをご覧くださいませ

↓ブログ「やっぱりたけのこぐらし」小アルカナ:ソードの絵柄紹介↓

https://takenokogurashi.com/tarot-arcana-sword


※)「王様と十本の剣」の参考にさせていただいたサイトはこちら

↓++ヨウコのタロット占い++ 小アルカナの意味早見表・ソード↓

http://www.3tail.net/tarot/card/sword.html

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