ソードの2
石の台座の上に目隠しをした女性が座っている。
正面を向いて胸の前で腕を交差させ、両手には一本ずつ剣を握る。
背後には海が広がり、空には三日月が浮かぶ。
<絵柄のイメージ>
視覚を遮断し、近づく者が誰であれ攻撃しようとしている
<正位置の意味>
「均衡」「調和」板挟み、膠着状態、二択を突きつけられている
<逆位置の意味>
「二枚舌」「不誠実」良くも悪くも現状打破、見切り発車は失敗する
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
【王様と十本の剣 第二話】
いよいよ隣国との戦争がはじまりました。しかし隣国の守りは堅く、なかなか攻め入ることができません。
今はなんとか膠着状態を保っていますが状況は王様の国が不利。早くも全滅か降伏の二択を突きつけられています。
兵や国民の間では「敗戦の原因は王様の見切り発車」と政治に対しての不誠実を指摘する声が多く、王様の苦悩は誰にも理解されません。
ほどなく王様は隣国に降伏しました。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「イキがって弱小国が戦いを仕掛けても勝てないでしょうに……私が国民でも批判するわ、王様ダサいって」
フォークで分断されたカステラが、姉ちゃんの口の中に消えていく。スポンジ生地も王様も一刀両断だ。
「自分の国が大きくなれば民も豊かに暮らせるから……みんなのことを思って戦争を始めたと思ってよ」
とか説明してみるが、俺も政治のことはよく分からない。
裏設定で財源が乏しくなり自国に未来がないためとか、隣国が攻めてくる噂を聞いたとか考えたが、カードの解釈から離れすぎるので書かなかった。
物語はあくまでもタロットの意味を覚えるための補助だ。
絵柄の意味を組み込み、関心を向けてもらえればそれでいい。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
カードの解釈は一点、目隠し二刀流の女性だ。
「この人は何をしている場面なの?」
「分かんないけど『王の命により、ここから先へは一歩も通さん』とか言ってそう」
「後ろには海しかないけど」
せめて背景が門だったら格好がつくのに……ゲームなら「やや弱めの中ボス」といった雰囲気を感じる。
「正位置はぎりぎり均衡を保っている状態、逆位置は均衡が崩れて見えなかったものが見える暗示だよ」
「目隠しは現状を見ないってことかしら」
「意図的にね。現状を保つためにとる方法のひとつが、敵だろうが味方だろうが攻撃するって防御策。でも願わくば誰も近づいてこないでほしい。そんな二択が心の中で葛藤していて、緊張感のある絵柄になっているんだって」
腕を交差しているのは心を閉ざしている表現だ。空に浮かぶ欠けた月も、安定しない心を表しているように見て取れる。
「問題を跳ね返すことで居場所を保っているのね。でもこれじゃ精神が消耗する一方よ。なんであれ現状に目をつぶるのは愚策でしかないわ。つらくてもしっかり現実に目を向けないと」
社会で戦う人間の正しい意見だ。
きっとカードの女性も分かってはいるのだろう。それでも剣を持ったのは、よほど切迫した状態なのか。相手の気持ちを汲んだうえで、優しく話しかけてあげたい。
※)タロットの絵柄を確認したい方はこちらをご覧くださいませ
↓ブログ「やっぱりたけのこぐらし」小アルカナ:ソードの絵柄紹介↓
https://takenokogurashi.com/tarot-arcana-sword
※)「王様と十本の剣」の参考にさせていただいたサイトはこちら
↓++ヨウコのタロット占い++ 小アルカナの意味早見表・ソード↓
http://www.3tail.net/tarot/card/sword.html
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