ソードのスート

ソードのエース

雲間から突き出した右手が一本の剣を握っている。

剣先は王冠の輪に刺さっていて、草やツタが垂れ下がっている。


<正位置の意味>

「勝利」「征服」強い決断力、逆境に打ち勝つ力、努力の末に成果が出る


<逆位置の意味>

「優柔不断」「過激」決断力の不足、自分の都合を優先する、不安ゆえの攻撃



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



【王様と十本の剣 第一話】


 むかしむかし、ある国の王様が隣の国に攻め込もうとしました。自分の国をもっと大きくするためです。


 王様の国は強い力を持っていません。攻め込まれたらひとたまりもないからこそ、攻めようと決めました。強い意志で困難を乗り越えれば必ず成果を掴むことができると思ったのです。


 兵士や国民は隣の国と戦うことに反対の意を示しましたが、過激な王様は自分の考えを優先しました。攻撃されたらおしまい、その不安が先に攻撃を仕掛ける考えに至ったのです。


 これは、ある王様の悲劇の物語。



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



「今回は童話風の話だよ」


 ワンドやカップとは毛色を変えようと考えた結果、昔話の語り調に落ち着く。初めて書く文章だけど楽しめた。


 姉ちゃんはたこ焼きをはふはふしながら、今日も俺の勉強に付き合ってくれる。


「悲劇の物語って先に言ってもいいの?」


「ソードの絵柄って全体的に暗めなんだよね」


「出てほしくないカードばかりってこと?」


「そういうわけじゃないけど……読み取りは今までよりも難しいかも」


 今までのカードに比べると、意味を調べるのに時間がかかった。ストレートにポジティブ、ネガティブを暗示していれば解釈しやすかったのに。


 ちょっと苦労しそうなスートだけど、ほどほどに頑張っていきたい。

 


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



「ソードは風の性質を持つスートで知識や情報、コミュニケーションの暗示が多い。積極性や攻撃性も表現していて、成果に苦痛を伴う場合がよくある――っていうのが大まかなところかな。あくまでも俺個人の感想だけど」


「努力したぶんがきっちり報われるわけじゃない……現実的ね」


 爪楊枝が次に刺すたこ焼きを探している。どれも一緒に見えるけど。


「性質の純粋な意味を暗示するエースはの正位置は、精神的な強さと困難の末の勝利を暗示してるんだ。逆位置は力の過不足。意思が弱すぎて優柔不断になったり、逆に強すぎて強引だったり自分本位になったりする」


 鋭い刃が未来を切り開き、使い方によっては自分も傷つけてしまう。

 刃が鈍いと切れない、鋭すぎると怪我をしかねない。すぱっと切れるように手入れをしたうえで、注意して使用するしかない。


 剣という武器から連想しやすい意味だ。


「強すぎても弱すぎても不利益になる……でもちょうどいい感情なんてどう測ればいいの?」


「感情的になりすぎないよう制御してバランスを取るとか」


「その結果、精神的負荷に耐えられなくなって心と身体を壊すのが社会の難しさなんだけどね……あ、これタコ入ってないじゃない。せっかく美味しそうなのを選んだのに。もうっ」


 文句を言いながら別のたこ焼きを刺し、次も入ってなかったらクレームねと頬を膨らませている。

 爪楊枝に突き上げられたたこ焼きは、奇しくもエースの絵柄を彷彿とさせる。次は望む結果が出ればいいけど。






※)タロットの絵柄を確認したい方はこちらをご覧くださいませ

↓ブログ「やっぱりたけのこぐらし」小アルカナ:ソードの絵柄紹介↓

https://takenokogurashi.com/tarot-arcana-sword


※)「王様と十本の剣」の参考にさせていただいたサイトはこちら

↓++ヨウコのタロット占い++ 小アルカナの意味早見表・ソード↓

http://www.3tail.net/tarot/card/sword.html

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