ミッドナイト・タロットーク

ペンタクルの5

細かな雪が降り、地面に積もっている。

ボロボロの衣服を着た者が二人、雪の中を歩く。一人は片足に包帯を巻き、松葉杖をついている。

カード上部にはステンドグラスが描かれ、装飾として五枚の金貨が施されている。

＜絵柄のイメージ＞

冬空の下、貧しい身なりの二人が歩いている

＜正位置の意味＞

「貧困」「欠損」経済面が苦しい、持ち物を失う、健康を損なう

＜逆位置の意味＞

「光明」存在そのものがありがたく感じる、現状から回復の兆し

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【幸せの中で　第五話】

　聖なる夜。雪が降っていても待ちゆく人は暖かな表情を浮かべている。一方でおれは空腹と寒さに耐え忍ぶ。賑やかに光を放つ教会のステンドグラスが恨めしい。

　職を失ったおれは家も売り払い、豪華な家具も高価な服も失った。続く貧困生活で体の具合も悪い。どうしてこうなった。

　仕事があったときは良かった。金をもらった時はもちろん嬉しいが、自分の技術を評価され喜ぶ人の顔もありがたく感じた。もう一度感謝されたい。

　それぞれの家の窓に映る暖かな光景を横目に見つつ、雪の降り積もる街をさまよい歩く。今日はどこで一夜を過ごそうか。

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　うわーかわいそう。物語の男を憐れみながら、姉ちゃんは湯気の立つスープカレーを食べている。ザ・他人事だ。

「お金が大事とか言ってたのに、貯蓄はしてなかったの？」

「自分の欲しい物にはどんどん出費していたから、手持ちとしてはそこまで残していないんだ」

　主人公の想像する「金持ち」は現ナマをたくさん持っている人間ではなく、ゴージャスな生活を堪能する生活。だから大きな家での暮らしを夢見ていたのだ。お金を貯めることが目的ではない――というのが設定だ。

「いざって時のためにお金は持っておかなきゃ。立て続けに結婚式の招待状が届いたらどうするつもりかしら……って、こいつは躊躇なく欠席にマルつけるか。悩む必要がないのはうらやましいかも」

　姉ちゃんは招待状が届くと「これで今月の休みがつぶれる……」と悲しんでいた。

　それでも出席する姉ちゃんは偉いと思う。当たり前なのかもしれないけど。

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「カードの正位置は損失、困難、欠損などハズレの暗示ばかりなんだ。特に物質的なトラブルや金銭面・健康面での問題に注意すること」

「見た目以上に不幸な意味ね。大アルカナの『塔』に負けないくらい嫌だわ」

「あと何もない状態を示すこともある。持っていたものを失ったのか、初めから持っていないのかは場合によるけど」

　無の状態ならまだしも、紛失となれば明らかにマイナスだ。

　さらに恋愛ごとでは「気持ちが育っていない」という暗示になる。悲しい。

「正位置がネガティブなら逆位置はポジティブのパターンかしら。なら失ったものを取り戻すの？」

「ちょっと違うよ。逆位置は現状からの回復を暗示する。でも紛失物が戻ってくるんじゃなくて、失ったものがどこかにあるという安心が得られる。気持ちの回復だね」

「なにも解決してないけど……とりあえず一安心ってやつかしら」

　心が落ち着くだけでも、悩む人にはうれしい暗示になるだろう。

　気持ちが充実すれば取り戻しに動くこともできる。

※）タロットの絵柄を確認したい方はこちらをご覧くださいませ

↓ブログ「やっぱりたけのこぐらし」小アルカナ：ペンタクルの絵柄紹介↓

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※）「幸せの中で」の参考にさせていただいたサイトはこちら

↓＋＋ヨウコのタロット占い＋＋　小アルカナの意味早見表・ペンタクル↓

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