ワンドのキング
玉座に座る王を右側から描いている。右手に木の棒を持つ。
頭に王冠、ローブは火の色、マントは黄色で外側にトカゲの模様。玉座の背もたれにはトカゲと獅子の模様が描かれている。足元には一匹のトカゲがいる。
<正位置の意味>
「情熱的」「カリスマ」力強く頼もしい、意欲と活力に満ちている、守りより攻め
<逆位置の意味>
「頑固」「身勝手」「独裁」過激で独善的、ワンマン、行き過ぎた世話焼き
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「コートカードのラストは王様だよ。クィーンとは逆にスートの性質を外へと表す意味を持つ。『火』の特徴をそのまま投影するから解釈しやすいカードだと思う」
カードの人物の性別を意識する必要はない。あくまでも象徴としてキングの性質を当てはめるので、占う相手や内容が女性だとしても問題ない。
「一国を治める王にしては若いわね」
今日はカスタードを包んだワッフルを食べている姉ちゃんが、ふとした疑問を口にする。
「大アルカナにも王がいたけど、どっちがどのくらい偉いの?」
「いたかな……ああ、皇帝のこと?」
字面だと皇帝の方が偉そうだけど……程度は分からない。
俺も興味があったので、スマホで検索してみた。
「ヨーロッパにおける
以降は歴史について延々と描かれていた。奥の深い問題らしい。
「皇帝の方が偉いっぽいけど、場合によるみたい」
「会社だと『社長』と『会長』みたいな感じ?」
「どういう感じ?」
全然ピンと来ないので質問に質問で返してしまった。
「どっちもトップの役職だけど、会社内の肩書に過ぎないから比べてもどっちが偉いとか決まってないの」
「じゃあ会社に両方いたらどっちが偉いの?」
「一番偉いのは代表取締役。この肩書を名乗っている方が会社の最高責任者になる」
知らなかった。そういうのって会社に入らないと教えてもらえないのかな。少なくとも俺の受けている講義では教えてもらえない。
でも会社に入った時点で知らないと怒られそうだし……社会人って大変だ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「じゃあ正位置のからいくよ。こっちは意欲にあふれる情熱家。みんなをぐいぐい引っ張る頼もしさを持ち、さらに自身も行動的。コミュニケーション能力も高い」
「ベンチャー企業の若手社長ね」
「それでいけば逆位置は意欲が強すぎてワンマン社長になる」
ワンマン社長がどんな存在かは不明だけど、きっと独善的なんだろう。
「ついていくのがしんどいわね……やり方が古くて、労働基準法とかガン無視しそう。やっぱり理想は熱があって視野の広いリーダーのいる会社ね」
「うん……あれ、国王の話なんだけど?」
まあどっちでも同じか。戦隊モノでもリーダーはレッドと相場が決まっているし、熱がないとメンバーも視聴者もついてこない。王道の主人公なら熱血漢だ。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「この王様のマントって……」
「ペイジやナイトの服装にも描かれていた火の精霊サラマンダーだよ」
表面にはびっしりとサラマンダーの模様。尻尾をくわえているので「完成」を表している。さらに玉座の背もたれにも描かれ、そこには同じく火の象徴である獅子の姿もある。おまけにキングの足元にもサラマンダー。
「これでもかってくらい火関係のモチーフばっかり。さすが王様ってことかな」
「私は別のところ見てたんだけど」
姉ちゃんはキングの座り方を指さした。
「お尻の下にマント敷いちゃってるじゃない。ピンと張ってるからすごく立ちにくいだろうなーって」
「どこに着目してるんだよ」
「キングの顔も『あっヤベ』って感じだし。どうやって威厳を保ったまま立ち上がろうか思案してるように読み取れる」
「読み取れないよ。あーもうほら『ヤベ』って顔にしか見えなくなっちゃった」
タロット占いは先入観に捕らわれない柔軟な思考が求められるのに。座り方を失敗した王様のイメージを払拭するまで、しばらくかかりそうだ……。
※)タロットの絵柄を確認したい方はこちらをご覧くださいませ
↓ブログ「やっぱりたけのこぐらし」小アルカナ:ワンドの絵柄紹介↓
https://takenokogurashi.com/tarot-arcana-wand
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