ワンドの8

空中に木の棒が八本描かれている。すべて横に並べられ、右側に傾いている。


<絵柄のイメージ>

空から地上へと降り注ぐ木の棒


<正位置の意味>

「急変」思いもよらない展開、好機の到来、物事が急速に動く


<逆位置の意味>

「遅延」「立ち往生」勢いがそがれる、横やりが入る、何かを強いられる



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



【シーマの大陸繁盛記 第八話】


 それは奇跡か。

 突如、流星の如く降り注ぐ木の棒に助けられ、シーマは命からがら窮地を脱する。


 予想外の展開、しかしシーマにとっては望むべき急変であり好機チャンスだった。それが実力でなくとも利用できるならば勢いに乗る。商人時代からの鉄則だ。


 横やりの入った国民たちは往生した。思いもよらぬ事態が迷いや混乱を生み、まるで内輪もめのような争いまで繰り広げられる始末。

 シーマを処罰するという当初の目的は方向性を見失い、完全に停滞している。


 傷ついた体で逃げるシーマ。この先に未来はあるのか。



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



 エクレアをほおばっていた姉ちゃんの動きが完全に止まった。


「……ちょっと待って、今までで一番意味が分かんないんだけど。木の棒が降ってくるってどういうこと?」


「いや俺にもさっぱり」


 絵柄の内容が突然すぎる。

 俺には木の棒が地上へと降り注ぐように見えるけど、人によっては別の見方をするかもしれない。トリックアートのようだ。


 ワンドのスートで唯一、完全に人間が描かれていないのも特徴的だ。


 理由は不明だが、きっと人間の力など及ばない運命の変転を暗示しているのだろう。それが歓迎すべきものか、ご遠慮願いたい変化かはカードの上下が知るところ。


「意味の中に迅速じんそくさも含まれているみたい。だから風雲急を告げるような出来事って読み取りもできるし、自身が変化に対して素早く対応できるかっていう素早い行動も求められる」


「巡ってきたチャンスがいつまでも目の前にあるとは限らない。タイミングって本当に重要」


「あのときああしておけばよかった、なんて後悔はしたくないよね」


 人生で瞬間的な判断を求められる場面は必ずある。

 瞬時に正解を選べるような賢さは身につけていたい。




※)タロットの絵柄を確認したい方はこちらをご覧くださいませ

↓ブログ「やっぱりたけのこぐらし」小アルカナ:ワンドの絵柄紹介↓

https://takenokogurashi.com/tarot-arcana-wand


※)「商人シーマの大陸繁盛記」の参考にさせていただいたサイトはこちら

↓++ヨウコのタロット占い++ 小アルカナの意味早見表・ワンド↓

http://www.3tail.net/tarot/card/wand.html

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