ワンドの7

一人の男が崖の上に立つ。両手に持つ木の棒を斜めにして胸の前に構える。

崖の下からは六本の木の棒先が突き出している。


<絵柄のイメージ>

崖下から突き上げられる木の棒から身を防ぐ男。


<正位置の意味>

「孤軍奮闘」「対決」余裕のない防衛戦、大切なものを守るために戦う


<逆位置の意味>

「撤退」「困惑」「骨折り損」「優柔不断」信念が揺らぐ



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



【シーマの大陸繁盛記 第七話】


 シーマが国を乗っ取ろうとしている。あらぬ噂は瞬く間に国中へと広がり、英雄は一転して反逆者となった。


 全国民の糾弾に孤軍奮闘するシーマ。余裕などない。しかしあと少しなのだ。懸命に戦えば、必ず願いは叶う。必要なのは信じる覚悟。


 たとえ撤退することになっても、努力が徒労に終わろうとも諦めない。信念に曇りが生じても捨てることはない。今までも、これからも。


 心身ともに限界が近かった。ここで朽ちてしまうのか——。



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



「急展開につぐ急展開ね」


「書いている俺もそう思う」


 ただ勢いで書いているわけじゃないので予定通りのペースだ。


「でもシーマの目的がイマイチよく分からないんだけど……商売人として大成するのが人生のゴールじゃないの?」


「意外と興味持ってくれてるんだ……シーマの動機は最後に出てくるよ」


「ラストがどうなるか楽しみね」


 姉ちゃんが春巻きにかじりつくと、パリパリと小気味よい音が響いた。



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



「絵柄の通り絶体絶命の大ピンチを表しているんだけど、逆になっても必死に頑張るところは変わらない」


 上下で意味が変わらないパターンのカードだ。数字による意味の変化に法則性があれば理解しやすいけど、残念ながら見つけられなかった。努力するしかない。


「いずれにしても踏ん張りどころってわけね。しいて違いをあげるなら?」


「頑張ったあとの展開かな。正位置だと目標は達成できる暗示、逆位置だと頑張りが報われない可能性を含む」


 さらに逆位置は心が折れたり立場を失ったりと、踏んだり蹴ったりのつらい将来を示す。


 努力が報われないのは精神的ダメージが大きい。労力も時間も無駄になるから。


「『頑張った過程も大切だよ』なんて言う人もいるけど、努力に価値をつけられるのは本人だけなのよね。客観的にはゼロ点。そしてこの世は結果主義……世知辛いわ」


 飲み屋で管をまくサラリーマンがぼやきそうな愚痴だ。まったくその通りだとは思う。だからこそ努力を成果にしたいと強く思うわけだ。




※)タロットの絵柄を確認したい方はこちらをご覧くださいませ

↓ブログ「やっぱりたけのこぐらし」小アルカナ:ワンドの絵柄紹介↓

https://takenokogurashi.com/tarot-arcana-wand


※)「商人シーマの大陸繁盛記」の参考にさせていただいたサイトはこちら

↓++ヨウコのタロット占い++ 小アルカナの意味早見表・ワンド↓

http://www.3tail.net/tarot/card/wand.html

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