ワンドの3

崖の上から黄金に輝く海を見渡す一人の男。カードには背中を向けている。

周囲には三本の木の棒が立つ。男は右手でそのうちの一本をつかむ

海には帆を張る船が小さく三隻描かれている。さらに向こうには別の大陸が見える。


<絵柄のイメージ>

眼下に広がる大海原を見渡す男。表情は一切分からない。


<正位置の意味>

「成功」「成長」「発展」仕事やライフワークに成果が見える、良好な手ごたえ


<逆位置の意味>

「停滞」「遅延」思ったように進まない、目標に関して協力を得られない



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



【商人シーマの大陸繁盛記 第三話】


 黄金に輝く海向こうを眺めるシーマ。次なる目標はあの大陸だ。


 国の発展に貢献したシーマが目指すのは、別大陸への事業展開。

 実績を作った商人を人々はたたえる。その声は国内で熱を帯び、シーマ自身の情熱を燃やしてくれる。だがこれからだ。


 これまでにない進展に準備は遅れている。だからこそ焦らず、慢心せず、やるべきことを見定めよう。それが賢明な判断だ。



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



「ここまでが起承転結の起、第一部のシーマ立志編です」


 各種ビタミンが含まれたゼリー飲料の吸い口をちゅぽんと離し、姉ちゃんが感心したように資料を置く。


「国内から世界進出……ユニクロとかソニーみたいね。シーマの取り扱っている商材ってなに?」


 やべ、考えてない。


「……ポーションみたいな回復アイテムとか」


「なるほど医療系ね。日本の医療機器が海外でもニーズを満たす話は珍しくもないし、ビジネスチャンスとしては納得がいくわ」


 適当な思いつきを言ったら、勝手に納得してくれた。

 やっぱり「作らなくていい設定」と「作るべき設定」はしっかり精査しておくべきだな。意外なところで勉強になった。


「ともかくここまで築き上げた地盤は前置き。ここからさらに大きく展開するから」


 俺が勝手に考えたストーリーだけど、カードにも『一つの節目』という意味がある。あながち的外れでもないはず。



 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆



「カードの絵柄で気になるのは『黄金の海』と『船』かしら」


 空と同系色なので分かりにくいが、立っている場所と向こうの大陸の間には黄金色の海が広がっている。夕日に照らされているのだろうか、ロマンチックでしかない。


「明確な記述がなくて想像で考えると、未来にある自身の理想や魅力的なものを表していると思う。あとは乗り越えるべきこと、より広い世界への出発かな」


渡海とかいに即した読み取りね。そうすると船の暗示は?」


「カードには貿易や通商のほかに、協力者という意味があるんだ。大きなことを成すためには協力者が必要。だから船は仲間とか、そんなところかな」


 こじつけ感はあるが、理解のための紐づけとしてはまずまずだろう。


「逆位置になると協力を得られない意味になるし、停滞とか遅延も暗示する。正位置の発展とは対象的だから覚えやすいよ」


 ゆっくりでいいから、風を帆で受けて前進する人生でいたい。

 そんな風に思うカードだ。



※)タロットの絵柄を確認したい方はこちらをご覧くださいませ

↓ブログ「やっぱりたけのこぐらし」小アルカナ:ワンドの絵柄紹介↓

https://takenokogurashi.com/tarot-arcana-wand


※)「商人シーマの大陸繁盛記」の参考にさせていただいたサイトはこちら

↓++ヨウコのタロット占い++ 小アルカナの意味早見表・ワンド↓

http://www.3tail.net/tarot/card/wand.html

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