第10話 小アルカナの基礎知識を勉強しよう 後編【ニューメラルカードとコートカード】
「さて次は、スートを構成する『ニューメラルカード』と『コートカード』について勉強しよう」
グラタンを食べ終わった姉ちゃんが、エナジードリンクのプルタブを起こしながらこくりと頷く。
「まずはニューメラルカードから」
俺はスートの説明時に並べたカードを指さす。
「十四枚のうち、エースから十までの数が書かれたカードをニューメラルカードと呼びます。ニューメラルは『数字の』って意味だよ」
「これはワンドのスートだから絵柄に木の棒が描かれているのね」
もしかして、と姉ちゃんが大きな数字のカードを見て数える。
「描かれている木の棒の数って、数字と連動してる?」
「そうだよ。『ワンドの3』なら木の棒が三本って感じで、必ずスートのマークが札の並びと同じ数だけ描かれているんだ」
これは他のスートにも共通したルール。逆にそのほかは規則性がなくて、自由だと思う。だからこそ、各札がしっかりと意味を持つ。
「絵柄は日常の風景を切り取ったものが多いんだけど、一目見てカードの意味を連想できるものばかりじゃないから、大アルカナ以上に理解が要求されると思う」
「描かれている背景とか道具から読み取るわけじゃないの?」
「大アルカナはヒントになるポイントが多かったけど、小アルカナはわりと簡素なイラストが多いからなあ……難易度は高めだよ」
とはいえ、大アルカナで勉強したことは無駄にならない。
「数字の持つ意味とかは共通しているから、既存の知識に肉付けしていくような感覚で勉強していこうかなと思ってるんだ」
復習も兼ねて、今日の
『1』根源・可能性・統率を示す。スタートの数字でありスートの意味を純粋に表現
『2』対称性・調和を示す。様々な局面でのバランスを表すことが多い
『3』理解・生産を示す。スートから生み出される心の力や結果を表す場合もある
『4』安定・完全を表す。成果へと至るための基盤や道筋を、構造化して表現
『5』変化を示す。小アルカナでは困難や喪失に結び付き、試練を要求する
『6』調和を示す。
『7』幸運・勝利を示す。望みの結末のためにすべき行動を教えてくれる
『8』責任・管理を示す。それぞれ動きは極端に描かれ、良くも悪くも捉えられる
『9』到達を示す。各
『10』完了とその先を示す。スートが表すゴールはベストを示さない場合が多い
「でもこれがそのまま当てはまるとは限らない、と」
「絵柄を理解するためのヒントくらいに使うのがいいかも」
数字の意味に縛られてしまうと、カード自体の意味を取りこぼしてしまうかもしれない。ほどほどの参考にしておこう。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「次はコートカードだ。コートは『宮廷』って意味で、そこにいる四人の役職が描かれている」
順番に説明していこう。
【ペイジ】
騎士見習いのこと。四大元素では『地』に属する役職。
未熟さや成長途中にいる学習状態であり、同時に可能性を秘めた存在。
【ナイト】
一人前の騎士で、もっとも行動力がある若者。『風』の属性をつかさどる。
活動的な暗示を教えてくれることが多いこともあり、全スートのナイトが馬に乗っている。
【クィーン】
地位や権力を持つ成熟した人物。属性は『水』を受け持つ。
元素の性質をもっとも表現する役職で、クリエイティブな面を教えてくれる。
【キング】
ナイトよりも年上で、クイーンと同じく高い地位にいる。『火』の属性に当たる。
成功の暗示と共に、支配者としての力や社会的責任などを表す場合が多い。
「ややこしいのはコートカード自体に属性が定められていることなんだ。スートの属性と一緒なら意味の強化で理解しやすいけど、それ以外だと関係性を見極めなくちゃいけない」
「役職ごとの大まかな意味が決まってるから、法則化できれば読み取りやすそうにも思えるけどね。ちなみに男性を占っているときにクイーンが出たらどうなるの?」
「役職の性別とか年齢よりも、性質とか経験で読み取っていくのがいいらしい」
「コツを掴むまで解釈が難しそう」
姉ちゃんの言う通り、俺も一番難しいカードなんじゃないかと思っている。
「じゃあ小アルカナの基本はここまで。明日から各スートのカードを攻略開始だ」
あとは実戦を重ねていくのみだ。
とはいえ大アルカナよりもヒントが少なく、読み取りは難しそうだ。意味を覚えるのも一苦労しそう。何かひと工夫ほしいところだけど……。
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