冒険者学園2
二つの学年のほぼ全員が
ここで一つ
この世界……は主語が大きいかもしれないので、この国フォーティラスニアでは、フォーティラ語という言語が使われており、それに
これだけ
「今日はゴブリンについて話をする。本来はもう少し先に教えるのだが、
ランクで使われているアルファベットについて
「せんせー!」
少し鼻にかかった、この世界に来てからは
「朝からイセリ―の調子が悪そうなので、保健室で休ませてあげてもいいですか!」
「……何故今になって言う。朝から調子が悪かったなら、休めばよかっただろう」
「えと、そ、それはぁ……授業はなるべく休まない方がいいかなぁて……」
ピンと伸びていた右手が尻すぼみになる声と一緒に下ろされていく。実際、イセリ―は朝の時点では全然元気そうだったし、朝食もしっかり食べていた。カルミナが何故こんなことを言ったのか、いまいち分からない。
「まあいい、
「はい!」
声に元気が戻ったカルミナが、
「では、授業を始める」
そうして授業が始まった。イセリ―のことは心配だが、ゴブリンはいずれシンド村を取り返す時に戦うことを想定して、話くらいは聞いておいた方がいいかもしれない。そう思い、頭を振ってイセリ―のことを意識から追い出す。
「ゴブリンはどこにでもいる一般的な魔物だが、恐らく一般的な魔物の中では最も
三年前のシンド村。この世界に転生して、幾度となく聞いた話だ。
それに、プロティアの記憶にも強く刻まれている。転生した直後に、ボクとプロティアの記憶がごちゃ混ぜになった時、ボクの記憶は死ぬ直前が中心ながらも全体的に
本当に強い子だ。ボクには出来なかった。いや、初めは頑張ったけど、どこかでぽっきりと折れた。多分、大学を出てから。どうしてかは、思い出せない。工房を作って
「その後、村はゴブリンに
三年前の話に一区切りつき、奪還作戦という言葉に意識を戻される。
是非参加したいものだが、周りの様子を見るにそのつもりがある生徒はほとんどいないようだ。それもそうだろう。大半はシンド村のような小さな村など
「ゴブリンの装備は基本的には
武器に毒を塗ったゴブリンの群れというのは、
あの毒は
ゴブリンとの戦いに思いを
「ゴブリンは基本連係を取らない。しかし、群れによっては
かれこれ十数分ほど授業時間は進み、カルミナが教室に帰ってきた。イセリ―は一緒ではなさそうだ。かなり体調が悪そうだったし、午前中に戻ってくるかどうかも微妙かもしれない。
返事をしてカルミナが席に戻ると、授業は再開した。どうやらこれからゴブリンの種類を見ていくようだ。教科書の次のページを開くよう指示が入る。授業が始まってすぐに開いておいたゴブリンの項目の最初のページから一枚
「原理は
――それって裏を返せば、キングやクイーン以上のゴブリンが現れた時に統率の取れた群れが現れるのでは。
そう疑問が浮かぶが、ここで質問するような度胸はボクにはない。今後の参考に、と心のノートに書き
「ゴブリンが脅威と言われる理由はもう一つある。
ゴブリンの繁殖力は数多くの作品で取り上げられるが、この世界のゴブリンも例に漏れていないようだ。もし先日のゴブリンが
それに、万一全勢力でフェルメリアへ攻めてきたとしたら、この前のように防衛し切れるか分かったものではない。対応が遅れるようなことがあれば、一般民に被害が出ることも十分に有り得る。食料等の問題もあるだろうからそう簡単に数が数千に至るようなことはないと思うが、この世界の知識が疎いボクの予想では当てにならない。
「もし群れのゴブリンと
こうしてすぐに三十分が過ぎ、一コマ目が終わった。イセリーは教室に戻ってくることはなく二コマ目も始まり、結局次に姿を見せたのは昼食になってからだった。
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