三年の時を経て3
部屋に戻った後も、なんだかんだで慌ただしかった。
最初と比べ、石化こそしなかったものの、二人の動きはかなりぎこちなかった。
使うベッドも決めた。
夕方になり、私達は四人で食堂に向かい、夕食を食べた。この学園の食堂はメニューから料理を選んで料理人さんに作ってもらい、それを食べるという
私達はそれぞれ
その後は、部屋でしばらくのんびりした後、四人で一緒にお風呂に入った。同年代の中では飛び抜けて大きいであろうカルミナのおっぱいに私とアトラさんが
そして、日は完全に落ち、夜となった。
使い慣れていないベッドだからだろうか、布団にくるまってから二時間は経っただろうに、全く寝付けない。他の三人はとっくに眠りについている。カルミナに至っては、一番最初に
「……お手洗いに行って、ちょっと外の空気でも
学園の
用を足した後、寮の入口から外に出る。この時間には寮長もとっくに寝ているし、
空は少し
「命の
火属性魔法の
小さな火によって明かりと温もりを得た私は、少し寮の周りを
寮と校舎の間を西へと進み、寮の一番端へと来た。
「なんの木だろう」
植物にはそこまで詳しくないから種類までは分からない。とはいえ、この立派さなのだから、きっといい名前が付いているのだろう。
そう結論付けて、奥へと進んでみる。
一番奥まで進むと、
近寄ってしゃがみ、火を近づけすぎないように気を付けながら、左手で断面を
そして、指先のひんやりと
「……
私は、三年前までシンド村という、フェルメリアの西門を出て馬車で十分ほど森の中を進んだ場所にある、小さな村で暮らしていた。シンド村で暮らしていた頃、私は村唯一の宿屋で育った。育ての親が、そこの
その宿屋の前には、この切り株ほどではないが、子供が
「……座っちゃえ」
火を
布越しにお尻から冷たさが伝わり、一瞬ブルっと震える。先にお手洗いに行っておいて正解だった。
「……ちょっと固いかな」
村の切り株とは木の種類が違うからか、はたまた私が三年間
空を見上げる。晴れていれば、きっと星がたくさん輝いて、月も明るくて、
次はもっと晴れてる日に来てみよう、と
耳を
そう思い至った瞬間、脳内に三年前の
「……なきゃ。やらなきゃ。こうなった時のために、三年間頑張ったんだから!」
歯を食いしばり、顔を上げる。まだ涙が目尻から一滴、一滴と頬を伝うが、そんなことは無視だ。さっきと同じように火を作って明かりを
そして、出来る限り音が出ないように
残り時間は大体二、三時間。余裕があるからこそ、やれるだけの準備をしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます