第11話 パーラー・アテナの籠城戦(へ)

 呼ばれたわけでもないのだが、屋上駐車場やパーラー・アテネ内で奮闘していた団員は全員表へ出て内山さんを含め生き残った特攻班の合計十名を囲んだ。NPCの死体や、団員の死体や、横転したハンヴィーに囲まれた内山さんは、まだそこに佇んでいた。

「!」

 横にいたリサの視線に促されて、

「島村さんは――」

 俺は呟くように言った。近くで島村さんが仰向けになっていた。首の骨が折れている。これは島村さんの死体だ。その亡骸の傍らで斎藤君が膝をついて、ロザリオを握りしめていた。顔はうつむいているし、その顔も耐胞子マスクで覆われているのでわからない。

 でもこれは泣いているのかも知れないね――。

「――ああ、島村はよゥ。無理を言って俺についてこなければ、生き延びていたのかも知れないのになァ。昔から情に脆い男なんだよ、こいつは、島村勇人って野郎はなァ――それで、生き残ったのは、ここにいる三十人で全員なのか?」

 内山さんが団員を見回した。

「うん、今、生きているのはこれだけだろうね――」

 俺は頷いた。

 リサはうつむいている。

「内山さん――」

 秋妃さんの声だ。

「団長!」

 三久保が怒鳴るように呼びかけると、

「団長ゥ!」

 他の連中も口々に呼びかけた。

 特に意味のない呼びかけだ。

 この他に出る言葉もないのだろう。

「そうかァ。俺が考えていたよりもずっと少ないけどな。でも、全滅しなかっただけ良しだよな――」

 内山さんが言った。

 それでもこの男は溜息を吐かない。

「内山さん、まだ問題はあるよ。たぶん、この生き残りのなかに胞子感染者が――」

 俺の声が強張った。

「ああ、まだ問題はあるよな――」

 内山さんが自分の耐胞子マスクをはぎ取った。

「――ああっ!」

 俺は声を上げた。

「!」

 リサが内山さんを凝視した。

 他の団員は声を上げることもできなかった。

「内山さん、マスクを取ったら駄目だよ、まだここは胞子がいっぱい飛んでいて――」

 俺の呻き声を遮って、

「あー、お前ら全員、今からちょっと俺の話を聞いてくれや――」

 内山さんはジャケットの内ポケットから感染者テスタを取り出して、それを自分の目の前へ持っていった。

「ビィィィィィ!」

 感染者テスタの赤いランプが点ると同時に警告音だ。

 もう俺も声が出なかった。

 絶句したままみんなが内山さんを見つめている。

「この通りだ。俺はもう感染者レッドだぜ、コノヤロー。だから耐胞子マスクはいらねェんだ。こんなもの飾りでつけていただけだぜ、バカヤロー」

 内山さんがニタリと笑って見せた。

「ああ――」

 俺の声は掠れてあとが続かない。

「ここで白状をするとな。俺は昨日の晩に自分の検査を済ませておいた」

 顔をしかめた内山さんが警告音を鳴らし続ける感染者テスタを後ろへ放り投げた。

「そうか、やっぱり内山さんは、あのとき――熊型NPCの血を浴びたとき胞子に寄生されていたのか――あっ! NPCは胞子感染者を攻撃しない。だから、内山さんは事前に感染者をまとめて基地の外で戦うことを決めて――」

 俺の声も身体も震えていた。

「おゥ、黒神、わかっているじゃねェか。そういうことだ。俺みたいな短気な馬鹿野郎でもそれなりの知恵を出すことだってあるんだぜ、え、バカヤロー?」

 内山さんが声を上げて笑って、

「――まあ、それでもだ。こちら側から――感染者側から積極的に攻撃するとNPCは反撃をしてくるみてェだな。一方的に殴られてそれを許してくれるほど、NPCは仲間に甘くねェってことだ。これはひとつ勉強になったぜ――」

 内山さんは戦って死んだ特攻班の面々へ――たいていは内山狩人団のベテランNPC狩人の死体のひとつひとつへ視線を送って笑顔を消した。

「これは参ったよ。そんな発想もあったんだな」

 俺は呻いた。

「今になって考えると、特攻班を襲撃していたNPCはおかしな動きをしていた。誰を攻撃していいのか迷っているような感じだ。それだからあれだけ長い時間を、こんな無防備な場所で持ちこたえられたのか――」

 内山さんが頷いて、

「俺はお前らへ『検疫をするな』と告げはしたがな。俺の他にも自分で検査をして胞子に寄生されたことを知った奴は――感染者は多かった。まァ、無理もねェ話だ。俺はそれを責めるつもりもねェぜ――」

「感染者が特攻班に志願したのか――」

 俺は横から身を寄せてきたリサを見つめた。

「おゥ、昨日の夜だ。俺は指令室へ目をつけた奴をひとりひとり呼び寄せて特攻班へ参加する奴を――表に出て戦う奴を絞り込んでおいた。だが、島村は感染をしていなかったんだ。だから本来なら島村は屋上駐車場で指揮をとる筈だった――このバカヤローは俺の指示を聞かずについてきやがって、しかもここで死にやがってな。斎藤だってそうだぜ。もっとも、斎藤は運よく生き延びたけどよゥ。いい腕前だよな、こいつは――」

 内山さんがそこで初めて視線を落とした。

 声が震えていた。

 ここは大の男が泣いても誰も笑うことができない場面だったと思う。

 しかし、泣かない。

「だがまだ俺の方で把握できていない感染者も、このなかに――生き残ったお前らのなかにいるのかも知れねェ。感染者テスタを使っていない連中だな。もしくは感染を知っても、それを隠している奴――」

 内山さんはギロリと眼鋭まなこするどく団員を見回した。

 団員の何人かが顔を見合わせた。

 動揺しているのだろうか。

 耐胞子マスクで表情が隠れているのでよくわからない。

 リサは俺を見上げていた。

「――おい、心あたりのある奴は俺の話を聞け」

 内山さんが言った。

「じきに有馬和義の狩人団がここへ来る。検疫を頼んであるからな。感染者はそこで殺されるぞ。逃げたいなら今のうちに逃げちまえ。人間でいるうちに殺されるのは誰だって嫌なんだろうしな。俺はもう止めるつもりがないぜ。なぁに、NPCは感染者を襲わねェからな。区外でもしばらくの間は人間として生きていられる筈だ。NPC化したあとはNPCとして生きていくのかァ? そこらは俺だってよくわからねェけどよゥ――もうすぐ、ここに到着する有馬狩人団――有馬和義カズへは非感染者の面倒を――人間として生き残った奴らの面倒を見るように、きつく俺から頼んでおいた。だから、そこらは――仕事の面の心配はする必要がねェぞ」

 誰も返事をしなかった。

 それができないのだ。

 少しの間を置いて、

「――だから、まあ、あとはお前らが好きなほうを選べ」

 内山さんが言った。

「――わかった、内山さん、そうするよ。みんなもそれでいいよな?」

 俺は団員へ視線を送った。

 誰も首を横に振らなかった。

 全面的に同意する態度でもなかったけど――。

「――おゥ、それでだ。黒神、ひとつ、俺からお前に頼みたいことがある」

 内山さんが俺へ目を向けた。

「!」

 俺の腰にしがみついて、リサは身構えた。

「――うん。内山さん、何でも言ってくれ」

 頷いた俺はレッグ・ホルスターにあるリボルバーへ――愛銃のS&W M686へ視線を送って、

「俺も覚悟はできている。たぶん、比較的に内山さんと付き合いの短い俺が一番の適任者なんだろ。それに、これまで世話になった礼も内山さんへしておきたい。俺もリサもだよ。随分と内山さんには――内山狩人団には助けられた。本当に感謝している」

「!?」

 リサがガバッと俺を見上げた。

 天使の瞳は揺らいでいる。

「リサ、もうどうしようもないんだよ。内山さんの望み通りにしてやるしか――」

 俺は弱い声で言った。

「ああとなァ――」

 内山さんは視線をちょっとだけ惑わして、

「確か黒神は煙草を持っているよな? ま、斎藤でも良かったんだが、そっちはどうも返事ができる状態じゃなさそうだしな――」

「――あっ、ああ、煙草なのォ?」

 俺はまぬけな呻き声と一緒に顔を上げた。

「!」

 リサも「え?」といった感じで顔を上げた。

 周囲にいた団員は一斉に長い溜息を吐いた。

「そうだ、俺は今、猛烈に一服したい」

 内山さんは真顔だ。

「内山さんは煙草が欲しいの? 頼み事ってそれだけなの?」

 俺がもう一度訊くと、

「二度も俺に同じことを言わせるんじゃあねェよ、黒神、このバカヤロー!」

 内山さんが顔を赤くして怒鳴った。

 短気なひとだよね、本当にね――。

「そっ、それは、まあ、俺は煙草を持っているけど――内山さんは元々、煙草を吸うひとなの? 吸っているのを見たことがないよ?」

 俺はポケットから煙草の箱を取り出した。連鎖の龍。メイド・イン・チャイナの重い煙草だ。内山さんはタクティカル・グローブを外して、箱から煙草を1本引き抜き、それを口に咥えると、俺をじっと見つめた。俺は内山さんへ無言で視線を返した。

「おゥ、黒神ィ、火も貸せよ。案外、お前は気が利かねェ男だよな――」

 内山さんは咥えた煙草を上下させながら呆れ顔だ。

「あっ、そうだそうだ。煙草には火がいるよね。それはそうだよ――」

 俺はオイル・ライターで内山さんの煙草に火を点けた。

「ふいい――」

 内山さんは目をうんと細くして紫煙を吐いた。

 深呼吸をするような煙草の吸い方だ。

「俺は今まで禁煙していたんだ、バカヤロー」

 内山さんは顔の前に漂う煙を愛でるように見つめている。

「へえ、そうなんだ」

 この短気な男がよくも我慢をできたものだ。

 俺はそう思ったが口には出さなかった。

「驚くなよ、コノヤロー?」

 内山さんが煙草で細まった目を向けた。

「いやあ、もう何を聞いてもみんな驚くと思うよ?」

 俺は笑って周辺の団員へ視線を送った。彼らの顔を覆った耐胞子マスクの下から少しの笑い声が漏れた。そんな気がしただけかも知れない。

「汚染前からだ。十年近く、俺の禁煙は続いていた」

 内山さんがそう言って、また煙を深く吸い込んだ。

 俺は頷いて、

「それはまた随分と長かったね。立派だよ。俺なんて禁煙を決意するたび、三日も持たないから――」

「――俺のひとり娘の話な」

「うん?」

「汚染前の話だ。そいつが――俺の娘が初孫を産んだときによゥ――」

「うん」

「俺の初孫は女の子だった」

「そうなんだ」

「まァ、それはどうでもいいか。娘がこう言うんだよなァ。『禁煙をするまで、お祖父ちゃんには孫を抱かせません』ってなァ。孫が産まれたとき、息せき切って病院へ駆けつけた――娘の旦那よりも先に飛び込んだ俺へだ、あいつはそう言い放ちやがった、バカヤローが――」

「へえ、それは結構、きつい娘さんだね」

「そうだろ、あれは俺に性格が似たんだな」

「それから、内山さんはずっとその誓いを守って禁煙をしていたの?」

「まァ、そうだ。俺はあのとき自分の娘に負けたんだよな――」

「可愛い孫のためだろ。年寄りにはよくある話じゃないか?」

「――いや、俺は負けた。娘が俺を本気で睨んで唸るモンだからよゥ、腰が引けたんだ」

「いや、それは内山さんの健康を心配をしていたんだよ。いい娘さんじゃないか」

「どうだかなァ、あれは頑固で思い込みも激しい奴だったから、言い出したら聞かないだけだった気がするなァ――」

 内山さんが短くした煙草を足元へ捨てた。俺は何も言わずにまた煙草の箱を突き出した。内山さんも何も言わずに煙草を引き抜いて口に咥えた。今度は急かされなくても、俺がそれに火を点けた。

「――ま、とにかく俺は、そのときに折れて禁煙したわけだ。俺が他人の意見で折れるなんてのはな、滅多にねェことなんだぜ、バカヤロー」

 内山さんが紫煙をくゆらせながら東の空に顔を見せた朝陽へ目を向けた。

「――ウチの団長は本当に負けず嫌いだからね」

 俺の後ろで団員の誰かが言った。

 たぶん、三久保の声だったと思う。

「あァ、俺は負けるのが大嫌いだ」

 頷いた内山さんが、

「商売敵だろうが、ヤクザが相手だろうが、政治家やお役所が相手だろうが、警察が相手だろうが、何だろうがだ。俺は喧嘩をやって負けた記憶がねェ。そうやってずっとここまで生きてきた――」

「内山さん――」

 俺は呼びかけたのだが続ける言葉が見つからない。

 リサはずっと俺にしがみついたまま内山さんを見上げていた。

 咥え煙草の顔だ。

 背を丸めてリサへ微笑みかけていた内山さんが姿勢を正して団員を見回しながら、

「お前ら、全員だ。後学のために教えてやる。ゾンビ・ファンガスに寄生されてもな。痛くも痒くも何ともねェ。それどころか全身が羽のように軽くなって、何十歳も若返ったような――とにかく、いい気分だ。これが人間を辞めるってことなんだなァ――」

 誰も返事をしなかった。

 できないのだ。

 こんなとき、何を言ったらいいのだろう。

 誰にも、わからなかった。

 俺にも、わからなかった。

 普段は迷うことがないリサだって、今はきっと何をしていいのかわからない。何を言ったらいいのか、何をしたらいいのか理解できないから、俺の天使はこうして怯えている。

「まァ、とにかく俺は負けるのが大嫌いなんだよ、バカヤロー」

 内山さんが笑った。

「そうなんだろうね――」

 俺は視線を落とした。

 咥え煙草のままだった。

「なあ、俺の敵は今、俺の『ここ』にいるわけだろ?」

 内山さんが腰のホルスターから銀色のデザート・イーグルを引き抜いて、その銃口を自分のこめかみに押しつけた。

「!」

 リサが身を固めた。

「内山さん、まさか――」

 俺は呻いた。

 まさかと言ったけど。

 予想はしていた。

 内山佐次郎はこういう男なのだ。

 内山さんならやる。

 俺なら――俺がそうなったらどうするのだろう――。

「内山さん!」

 秋妃さんが鋭い声を上げた。

 怒ったような声だった。

「団長、ちょっと待ってくれよ――」

 三久保が呻いた。

 他の団員も口々に何か言っている。

 そのほとんどが言葉になっていない――。

「――!?」

 これはリサだ。

 リサが前へ出ようとした。

「リサ!」

 俺は進撃しようとする天使を後ろから抱き止めた。

「!?」

 リサは俺の腕のなかで身を強く捩った。

 天使の身体は硬く震えていた。

「リサ、泣くな。内山さんを止めるな――」

 俺は彼女の耳元で言った。

「ここは笑って見送ってやれ。女にはわからないかも知れないけどね、これが男の――」

 ――花道だ。

 その言葉は言わなかった。

 俺は「言って聞かせても、たぶん、リサにはわからないだろうな」と諦めていた。

 実際、俺の腕のなかでリサは力いっぱい暴れている。

 目尻のシワを多くした内山さんが、

「そうだぜ、リサちゃんは笑顔でいるのが一番、可愛いからよゥ――リサちゃん、他のお前らも心配をするな。くどいかも知れんがもう一度言っておく。『人間として』残るお前らのそのあとは、ここへ来る俺の友達ツレへ――有馬和義カズへしっかりと頼んであるからよゥ。生き残った奴は有馬和義の狩人団で働けばいいんだ。遠慮をせず世話になれ。わかったな?」

 返事は一つもなかった。

「――おい、返事はどうした、このバカヤローども!」

 内山さんの渾身の怒鳴り声だ。

 でも、その顔は笑っている――。

「ああ――」

 俺は呻き声と一緒に頷いた。

「わかったわ――」

 諦めたように秋妃さんが頷いた。

「はい」

「はい」

「わかった」

「団長ゥ!」

 団員の声が重なった。

「おゥ。じゃあ、俺は先に逝くぜ、コノヤロー、バカヤロー」

 内山さんが笑顔を大きくした。

「あっ、内山さん、ちょっと――」

 俺のなかではもう言う言葉は何もなかったのだ。

 それでも、意味もなく呼びかけたところで、内山さんのデザート・イーグルが「パァンッ!」と咆哮した。

 世界最強の自動拳銃が放つ五〇口径弾だ。

 内山さんの頭半分が吹き飛んだ。

「!」

「!」

「!」

 俺の腕に捕らえた天使は無音で慟哭した。

 人間のまま、内山さんは前のめりに崩れ落ちて死んだ。

 後ろへは倒れない。


 §


 最終的に、内山狩人団の生き残りは二十人にも満たなかった。自分が感染者であることを知っていた団員の十人はハンヴィーに乗って多治見の東へ消えていった。それを見送った俺は「まあ、これでもいいだろうな」と思った。「NPCに化けても元気でやれよな!」とおかしなことを叫んでいる団員がいた。俺はちょっとだけ笑ってしまった。リサは呆れた顔だったと思う。耐胞子マスクで顔は隠れていたがそんな雰囲気だった。

 有馬狩人団の合流後、増援の手で俺たちの検疫が行われた。これで残ったのは十九人だ。感染したことを知らない感染者が一人いた。特攻班で奮闘して生き延びていた双子の兄弟の片割れ――深沢さんだった。顔は青ざめていた。

 それでも、

「おっと。ま、そうじゃねェかなァと俺のほうも思ってたからな。驚きゃしねェよ。じゃ、俺は今から兄貴のところへ行くわ」

 深沢さんは無理に笑った。

 それが深沢さん流の別れの挨拶だった。パーラー・アテナの表で感染者の駆除は行われた。俺たちは立ち会わなかった。その銃声だけを聞いた。

 有馬狩人団の面々と一緒にパーラー・アテナを修復してすぐだ。また増援がここに来た。九六式装輪装甲車に一〇式戦車が交じった部隊だった。ここにきてようやく皇国軍が重い腰を上げたらしい。連隊か旅団か師団か――とにかく大人数の皇国軍がパーラー・アテナの周辺へ展開を始めた。

 俺はそこでまた奴と会った。

 見たくない顔だ。

 リサもきっとそうだろう。

 基地引継ぎのために敷地内へ入ってきた皇国軍の装甲車の上からだ。

「何だ、黒神。お前はまだ生きていたのか?」

 俺は御影大佐から声をかけられた。

「――ああ、生憎だったな。この通り俺たちはまだ生きているぜ」

 俺はそう返してやった。

 俺の横でリサが猛然と殺気立っていた。

 皇国軍の陸戦部隊へ前哨基地の引継ぎを終えた俺たちは一旦、春日井新団地へ帰還することを許可された。

 何が許可だ。

 俺は胸糞が悪かった。

 きっと、命と身体を張ってパーラー・アテナを防衛した他の団員だって同じ気持ちだった筈だ。

 俺たちは有馬狩人団に交じって春日井新団地へ生還した。

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