第5話 春日井新団地(ハ)

 正確に言えば幸いではない。

 二度目になった多治見からの撤退戦でも団から多くの犠牲者は出たが、幸いにも俺の見知っている顔――斎藤君だとか橋本だとか三久保だとか秋妃さんは死体にならなかった。俺は汚染後の十年を汚染とNPCに寄り添って生きている。だから、他人の死に心を動かされることは少なくなった。しかしそれでも所属している団から犠牲者が出ると、全体の士気が下がって厄介事が――仕事をする上での危険が俺へ飛び火しかねない。俺がそんなことを本格的に愚痴り始める直前だ。内山さんと島村さん、それに何人かの将棋組が名古屋居住区のNPC狩人組合総本部へ出かけていった。組合上層部へ掛け合って二十三番エリア――多治見侵攻作戦計画の練り直しと増援の要請をするらしい。まあ、簡単に言えば泣きを入れに行ったわけだ。蟻塚を出るときの内山さんはひどく渋い顔だった。皇国軍が展開して背後だけでも確保してくれれば、俺たちだけでも多治見の偵察くらいなら完了できるだろう。しかし、あの腰抜けの兵隊さんは相変わらず春日三山要塞に篭ったままで動く気配はない。支援砲撃の要請には、細かく応じてくれるのだが――。

 まあ、今はそんな状況になった。春日井新団地へ残った俺たちは、今後の仕事の段取りがつくまで休暇だ。食堂で夕食を済ませた――カレーライスを食った俺は貸し部屋に帰った。先に帰っていた筈だが部屋にリサはいない。「うーん?」と首を捻ったあと、俺はエレベーターに乗って蟻塚の最上階へ――屋上へ向かった。

 リサは高くて見晴らしの良い場所が大好きだ。

 だから絶対そこにいる。

 何故、それを断言できるのかはご想像にお任せしよう。

 ともあれ、ベッドの上と風呂場以外なら、きっと蟻塚の屋上で天使は羽を休めているのではないかと俺は考えたのだ。屋上の四方に突き立った胞子放射線観測用のアンテナが、胞子や放射線を観測すると警報が鳴る仕組みになっているらしい。非常用ドアを開けた先にあった静かな夜の音を聞くと、今夜の夜風に危険な因子が乗っている危険はないようだ。

 俺の天使は屋上を囲う白い柵に肘を預けていた。

 長い黒髪が夜風に揺れている。

 薄ら柔い夜気に霞んで、ぼやけた名古屋居住区の夜景を眺めていたリサの背へ、

「やっぱり、ここにいたか」

 と、俺は声をかけた。

「――?」

 振り向いたリサの唇はモグモグだ。

 その端に最中もなかの皮がついている。

 小脇にその箱も抱えていた。

「リサはその最中を箱ごと食べるの?」

 俺は背を丸めて訊いた。

「!?」

 リサは眉間を厳しくして最中の箱を胸元へ引き寄せた。

「いや、俺はそれを――最中を盗りに来たわけじゃないから」

 俺は柵へ背を預けた。

「?」

 リサはムッと警戒したまま顔を傾けた。

 右手に歯形が残った最中を持っている。

「リサはここで食後のおやつだよな?」

 俺が訊くと、

「!」

 リサが警戒した顔のまま頷いて見せた。

「俺が何をしに来たかって言うと煙草を吸うわけだ」

 俺は笑って内ポケットから赤い煙草の箱を取り出した。銘柄は『連鎖の龍チェイン・ドラゴン』だ。名古屋居住区の裏道にいたチャイナの売人からカートンで買った。メイド・イン・チャイナを贔屓にしているわけではない。安かったから試してみようと思っただけだ。俺は煙草の銘柄にこだわりがない。メンソール煙草だとか極端にニコチンタールを減らしたもの以外なら何だって嗜む。何なら葉巻だって構わない。

 オイル・ライターで紙巻煙草の先を炙る俺を、

「!?」

 リサはずっと睨んでいた。

「ここは外だから、いいだろ。好きに煙草を吸わせろよ」

 俺は紫煙を噴いた。重い紫煙が漂う視界は涙で揺らぐが気分はいい。脳髄で凝り固まった不穏と不満がニコチンで溶ける感覚だ。俺はたぶん死ぬまでこの感覚を繰り返していく。

「!」

「!」

「!?」

 リサは煙草の健康被害に関係するジェスチャーをバタバタ並べて抗議している。箱に文面で書いてある煙害の症例だね。意味が伝わるのだから器用なものだ。

 それを横目で眺めながら、

「じきに春だ、今夜は夜風が生ぬるいな――」

 俺は呟いた。

「?」

 動きを止めたリサは最中を乱暴に食べた。

「――あのな、リサ。俺は仕事の話をしにきた」

 俺は言った。

「?」

 リサがモグモグする顔を俺へ向けた。

「危ない真似はもうやめてくれよな。次にあんなことをやったら、俺は女を殴ることになるかも知れんぜ」

 俺は笑みを消した顔をリサへ向けた。

「!?」

 不満気に眉を寄せたリサが箱から最中を取り出した。足元を見ると最中の包み紙が何枚も落ちている。一体、何個食うつもりだ。夕食の直後なんだけどな。それにゴミを平気で放る癖も良くないぞ――。

「リサ、ゴミはゴミ箱へだな――」

 考え直した俺は、

「――まあ、それはどうでもいい。俺が言っているのは一昨日のあれだ。リサちゃん特攻ね。NPCから逃げる人間はこれまでたくさん見たことがあるけどな。自分から突っ込んでいく奴を俺は初めて見たぜ」

「!」

 リサはふんっと鼻を鳴らしてそれを返答にした。

 殴ると脅してみたけれど、だ。

 俺はきっとリサを殴れない。

 俺が女を殺したことは――生命の活動を止めるという意味で殺したことは何度もある。

 でもそれは、あくまで仕事の上で、やむを得ない場合のみのことだ――。

「――リサはNPCあれが怖くないのか?」

 俺は訊いた。

「?」

 リサは首を捻っただけだった。区外の厳しい環境で生きてきたリサにとって戦場の危険は――NPCと正面から対峙するのは生きていくために受け入れるのが当然という感覚なのだろう。しかし、たいていのNPC狩人ハンターは生活をするために危険をあえて呑んでいる連中だ。そこまで徹底的に――シビアな戦士にはなれない。あのとき独断専行したリサを、内山さんが援護する判断をしなかったらどうなっていたか――。

「あのな――」

 寒くはない。

 だが、俺は身震いした。リサが猪型NPCへ突撃を慣行したとき骨身が凍えるような汗を流した。仕事中、あそこまで恐怖を感じたのは何年か振りの経験だった。

 リサは怯えないのかも知れない。

 だが、俺はお前の怯えない態度が怖い。

 それを言いたかったのだが、

「とにかく、もうあんな無茶をするな。ここで俺と約束をしてくれ」

 臆病な卑怯者を自認する俺はこんな曖昧な要求をした。

「!?」

 何なのよ、この腰抜け!

 言葉が出るならそんな発言だったのだろう。

 リサは俺をジロリと一瞥してプイと横を向いた。

「まあ、今後はリサが無茶をしたくてもそう簡単にできなくなるか。多治見へアタックする人数が増える予定だしね。これからは腰を落ち着けて――安全に仕事ができる筈だろ。そう願いたい、というかね――」

 俺は苦い気分で言った。

「――?」

 リサは眉を寄せたまま首を捻っている。どうも増援を呼ぶことにした内山さんの判断が気に食わないように見えた。我が天使様はNPCの殺戮を生き甲斐にしているような部分がある――。

「――いや、今回の内山さんの判断は手堅いぜ」

 俺は言った。

「多治見へ俺達の団だけで――内山狩人団だけで入るのは危険だ。実際、二回とも偵察班を分散させるだけで持ちこたえられなかっただろ?」

「!」

 リサがフンと目を細めて見せた。

「そうやって俺を煽っても駄目」

 俺も笑顔を作ってやると、

「!?」

 リサはむっと表情を変えて強く睨んできた。

「睨んでも俺の意見は変わらん」

 俺は頭を小さく振って、

「これ以上、団員を死体にするわけにもいかんだろ。若い奴らの顔色が変わり始めてきた。あれは、完全に怯えているぜ。突っ込んでくるNPCへ震えた銃口を向けると、撃ち漏らす弾が増えて、そいつの死ぬ確率は高くなる――」

 俺は短くなった煙草を足元へ落した。

 リサはむうと眉を寄せたまま名古屋居住区の夜景へ目を向けた。

 俺も肩越しにその夜景を眺めながら、

「リサはまだ戦えるさ。それは俺も知っている。だが他の連中は――俺も含めて、団にいる連中は、お前のようには戦えない。大人ってのは子供よりもずっと臆病な生き物だからな――」

「?」

 リサが横目で視線を送ってきた。

「――ああ、内山狩人団の運営のこと?」

 俺は少し考えたあとに訊いた。リサは難しい顔で頷いて見せた。リサは最近になって増えた質の悪い団員とそれを賄うために内山さんが苦労していることを何となく心配しているようだった。

「そんなのは俺の知ったことじゃないよ。だから、俺は望んで一兵卒をやっているのさ。いつでもこの団を――内山狩人団を見限れるようにだぜ?」

 俺がせせら笑うと、

「!」

「!」

「!」

 リサはぱたんぱたん地団太を踏みながら色々なジェスチャーをした。

 お金がなくて見たいテレビが見られない、

 お金がなくて欲しいお洋服が買えない、

 お金がなくて毎日お菓子が好きなだけ食べられない、

 そうなったらお前は一体どうしてくれるのだ!

 顔を赤くしたリサのそんな主張だ。

 本当に強欲な奴だよなあ――。

「まあ、確かに、リサが言う通り、景気が悪くなった団から出る給料が減って、俺達が貧乏をするのは困るよな。他の居住区では、また細かい仕事しかないのだろうし、アブラ狸をもう頼りたくないし――皇国軍の砲撃が、多治見のNPCを減らしているといいんだけどな――」

 俺は名古屋居住区とは逆の方角へ――北東の方角へ目を向けた。春日三山要塞のあるほうだ。そこから、定期的に光の尾を引く砲弾が多治見へ発射されている。その発射音も遠く聞こえた。

「?」

 リサが顔を傾けた。

「照明弾を上げても夜間だぜ。ほとんどは盲撃ちだろ。効果があるかどうだかは知らんよ。わかるのは綺麗な花火でないってことくらいだな――」

 俺は肩を竦めて高所で炸裂した照明弾を見つめた。

「?」

 リサの顔が益々傾いた。

 俺は少しその顔を見つめていたあと、

「リサは花火を知らんのか?」

「!」

 リサはこくんと静かに頷いた。

「へえ、テレビとかでも見たことないのか?」

 俺が気のない声で言うと、

「!」

 返事はリサの鋭い肘鉄だ。

「――げっふん。花火というものを教えろ?」

 俺は脇腹を押さえて上半身を斜めにした。

「!」

 リサが顎をしゃくって俺の話を促した。不機嫌な顔だが瞳がちらちら星が見えた。これは好奇心という星だ。

「花火っていうのは――火薬玉を、夜空にポンと打ち上げるものだよ」

 俺は言った。

「!」

 リサは北の夜空で尾を引いた迫撃弾へ目を向けた。

 何か勘違いした感じの凛々しい横顔――。

「ああ、いや、リサ。迫撃砲だとか対地ロケット弾じゃない。照明弾は近いけどね――でも、照明弾と違って花火は観賞用の火薬玉なんだよ。ひとを傷つけない。パっと輝く色彩を夜空へ散らせるだけなんだ。ただ、それだけ――」

 俺は説得するような口振りになっていた。

「?」

 じゃあ、何よ?

 そんな感じでリサが首を捻った。

「――うーん、火薬に仕込んだ金属が燃焼をして色をつけるわけだ。火で作られた花。だから、花火って名前なんだよ。それをお祭りとかのイベントで打ち上げるんだな。景気づけというか――まあ、日本に古くからあるアトラクションなんだ。火の花で飾られた夜空を、みんなで眺めて楽しむと。リサが生まれてくる前――汚染前は夏にそんな行事が日本中であった。夏祭りには花火がつきものだよ。リサもお祭りは知っているだろ。どうだ、これならわかりやすいか?」

 俺は柵に肘を預けた。

「――!」

 なるほど承知した。

 そんな態度で頷いたリサが小脇に抱えていた箱を開いた。

 最中の箱だ。

 これは内山さんからの貢物だ。

「ああ、ご褒美に最中を俺にひとつくれるの?」

 俺はリサから渡された最中を見つめた。

 リサは何の反応も見せずに自分の手にある最中の包装紙をびりびり破いている。

 まだ食べるつもりらしい。

「甘いもの嫌いなんだけどなあ――リサはお茶も飲まずによく食べられるな、こんなに甘いもの――」

 俺は最中を口に入れて顔を歪めた。歪んだ俺の顔の横でリサはニンマリ笑顔を見せている。諦めた俺は最中を無理して食った。

 胞子のない夜風の先にあった名古屋居住区の夜景の光は考えつくたいていの色が揃っていた。


 §


 内山さんたちが組合でやっている打ち合わせは長引いているらしい。

 そんな連絡が蟻塚に残っていた斎藤君へあったと聞いた。

 蟻塚の休暇は今日で二日目になる。

 ここに残った団員は食堂で思い思いの博打をして夕方になると屋台で大酒を飲んで、夜になると廓で遊んで――朝からずっとそんな生活をしていた。狩人団は荒っぽい野郎どもの集まりだから休日になるとこんなものだ。新団地のなかでは行く場所も限られているからこの他にやることもない。

 俺はと言えばだ。

 屋台で売られていた缶ビールをダース単位で調達して、これを飲みながらできる限り貸し部屋から出ないようにした。これが逆効果だった。休日になるたび外へ飲みに出たがる俺がずっと部屋にいるので、リサは不審に思ったのだろう。ちょっと目を離した隙だ。歓楽エリアへ探索に出かけたリサは結局、聖空と愛空が廓で働いていることを知ってしまったらしい。俺が必死で隠しても無駄だったわけだ。

 その日の夕暮れどきだった。

 蟻塚の貸し部屋へ戻ってきたリサは、むっつり視線を落とし、俺が食堂へ誘っても首を左右に弱く振っただけだった。俺は胸中で舌打ちをして、リサが廓の周辺で聖空と愛空に会ってきたことを確信した。リサはここで怒ったり、下手をすると、泣き喚いたりするのか、そうも考えて身構えたが、それはなかった。リサはベッドの上で膝を抱いてテレビを見始めた。初めて見るリサの横顔だった。

 何かに深く傷ついた感情――。

 リサが怒ったり泣いたり暴れたりするよりも、このほうが俺にとって厄介だし重かった。いつ起爆するかわからない時限爆弾を首に結わえつけられたような気分だ。俺は何も言わずに一人で食堂へ行って五辛のカレーライスを食った。夕めしの時間帯だったが、ただっ広い食堂は閑散としていた。団員は屋台で酒でも呷っているのだろう。厨房を仕切っている組合職員のおばちゃんが窓口で暇そうにあくびをしていた。

 俺が夕めしを済ませて貸し部屋へ戻ってきても、リサはまだぼんやりテレビを眺めていた。

「――リサ、食堂が閉まる前にめしを食っておけ」

 俺は風呂へ入ったあと、リサが点けっぱなしにしてあったテレビを眺めた。リサは食堂へ行ってめしを食っているようだ。テレビではNRHKのニュースで藤枝居住区の防衛が今回も無事成功したことを告げていた。静岡居住区の壊滅以降、各地の居住区の障壁防衛に皇国軍も参加するようになった。もうロシアや中国相手に戦争ごっこをする余裕もなくなってきたのだろう。テレビを眺めている俺の顔がどんなものだったのかは自分ではわからない。たぶん、表情らしい表情はなかったと思う。

 次の日、リサは貸し部屋のテーブルへ何個も積まれていた菓子折り(内山さんから貰ったものだ)を全部持って出かけていった。夕方にリサは手ぶらで帰ってきたから、きっと聖空や愛空お菓子を全部くれてやったのだろう。

「おかえり」

 俺はベッドの上で缶ビールをちびちびやりつつそれだけ言った。リサは何の反応もせずにベッドの上でテレビを眺めだした。しばらく一緒にテレビを眺めていた俺たちはそのあと一緒に食堂で夕めしを食った。リサも俺も食堂のおばちゃんにカレーライスを注文した。他のメニューだってあるのだ。だけど、俺たちが選択したのは今日もやっぱりカレーライスだ。これで夕食は四日連続でカレーライスになる。お互いによくもまあ飽きないものだよな。そう考えた俺は四辛のカレーライスを食いながら声を出さずに笑った。リサは零辛のカレーライスをモグモグしながら横目で視線を送ってきた。

「おゥ、リサちゃん、黒神、ここにいたな、コノヤロー」

「いや、待たせて悪かった。今回の打ち合わせはひどく長引いたよ――」

 俺がカレーライスの皿から顔を上げると内山さんと島村さんが立っている。

「団長に副団、ようやく戻ってきたね。今後の仕事の段取りはどんな塩梅になるの?」

 俺は少し笑った。

「黒神、そこらは明日の朝一番に団の会議で話をするぜ、コノヤロー」

 内山さんは珍しく疲れているように見えた。

「会議ばかりだな――」

 島村さんは苦く笑った。

「!」

 顎をしゃくったリサだ。

「リサちゃんはすぐ話を聞きたいのかァ?」

 内山さんがボヤくように言った。

「!」

 リサははっきりと頷いた。

「まあ、リサちゃんだけでなくて、すぐ話を聞きたい奴も多いだろうがな――そうでもねェか。団の連中が食堂にほとんどいねェぞ。どこをほっつき歩いているんだ?」

 内山さんが食堂を見回してまたボヤいた。

「ああ、たいていは検問ゲート付近の屋台へ飲みに出かけている筈だよ。あとは例の廓通いかな――」

 俺が苦笑いで告げると内山さんが鼻先にシワを作った。

「まあ、団長。今、蟻塚にいる連中だけでもここへ集めて軽く話をしておこうか。派手に散財しているようだから、団の若い奴らも仕事がしたくなる頃合いだろう?」

 島村さんが苦く笑った。

「島村、先に夕めしを食うぞ、コノヤロー」

 内山さんが鼻を鳴らして厨房へ足を向けた。

「どうも内山さんは機嫌が悪そうだけど――なあ、島村さん、組合はこっちの要求を呑んでくれなかったのか?」

 俺はカレーライスを口へ運んだ。

 島村さんが苦笑いを左右に振って、

「黒神さん、それは違うんだよ。組合の用意してくれた宿で出てきためしがね――」

「うん?」

「?」

 俺とリサは同時に顔を傾けた。

「毎度毎度、不味くて不味くて本当に参ったよ――」

 島村さんも厨房の受付へ歩いていった。新団地の食堂は何を食っても味は悪くない。リサと俺のテーブル席へ戻ってきた内山さんも島村さんはカレーライスの皿を手に持っていた。俺は意味もなく声に出して笑ってしまった。内山さんと島村さんは怪訝な顔だ。そのうち団長と副団の帰還に気づいた団員が集まってきた。

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